NTT移動通信(NTTドコモ)・TZ-803B 携帯電話 |
木暮編集長 これ、懐かしいでしょ? 1989年発売のTZ-803B携帯電話、今から11年前の携帯電話です。
桃井はるこ すごーい!
木暮 これ、商品名が「携帯電話」っていうんです。これ以降に発売された携帯電話のことを、NTTドコモでは「ムーバ」と名づけています。カタログとか見ると製品名はみんな「ムーバ」になっているはず。
桃井 ムーバになる前の電話機ってことですね。ということは、「携帯電話のご使用はお控えください」って電車でアナウンスされますけど、これを使っちゃいけないってことなのかあ?
木暮 そうかもしれません(笑)。で、形の特徴は見ての通り。辞書みたいに大きいのですが、当時はこれでも画期的な小ささだったんです。曲面と平面がうまく構成されていて、じつにすっきりしたデザインでしょ? それから電池には手を通すベルトがついてるんです。
桃井 デザイン素敵です。それに、なんか持ちやすそう。
木暮 意外にグリップ感が良くて、いい感じなんですよ。
桃井 ホールド感がいいですよね。
木暮 ちなみに、このベルトがストラップに発展したと言われています。ストラップって、本当は携帯電話落下防止のために腕に通して使うものでしたから。
木暮 当時は携帯電話は大変高価なものでした。ですから、これを持つことがひとつのステイタスだったんです。これを持っている人っていうのは、お金持ちか政治家くらいでしたね。
桃井 89年頃というと、私は小学生だったんですけど、六本木に遊びに行った時にかけてる人を見かけましたね。
木暮 なんと! 六本木に遊びに行く小学生(笑)
桃井 持っている人は、すっごく誇らしげに「今アマンド前に~」って電話をかけているの。あと、秋葉原のジャンク屋で最近まで、なぜかこの電池部分だけ大量に売っていましたね。この電池が必要な人って、まだいるのかな?
桃井 メモリーダイヤルはついているのですか?
木暮 今の携帯電話のように、名前を登録するものではなく、あくまで数字に割り当てる「短縮番号」みたいなものでした。件数もほんのちょっと。
桃井 友達が少ない人だったら、それでもいいけど。
木暮 文字入力することもないので、数字キーにABCとかって書いてないでしょ?
桃井 だからすっきりしているように見えるんだ!
桃井 この「F」っていうボタンは「機能(ファンクション)」ですか?
木暮 そのとおり。それから、「音量」っていうボタンをおすと、このアンテナのマークが、音量の大きさの表示になります。当然3段階表示。
桃井 おお! アンテナのマークで音量表示を代用してるんだ。かっこいいな、表示もデジタルっぽくて。
木暮 こちらのボタンは受話音量。まあ、古い携帯電話でもこんなことができます。
桃井 これはどのメーカーが作ってたんですか? えいっ、電池カバーを開けちゃえ。あれ? メーカー名が見あたりませんね。
木暮 これは複数のメーカーが、すべて同じ形で作っていたのです。そしてあえて製造メーカー名も入れなかった。昔はそんなものでした。メーカー独自の形になったのは、これ以降のムーバからです。
桃井 だから、メーカー名は書いてないんですね。へえー、今は製造メーカーで選んだりするのにね。
木暮 ちなみに認定は「日本電信電話株式会社」で取ってるんですよ。ほら、書いてあるでしょう。
桃井はるこ 日本電信電話? あ、本当だ。
木暮 ほら、当時はまだNTTドコモ発足前でNTT移動通信という会社がサービスしていたのです。
桃井 グレーのツートンで、色も渋い、すごくがっしりしていて高級感さえ感じる。現在の携帯電話がみんなおもちゃに見えてきちゃうほど。昔の携帯電話ってなんだかすごくカッコイイ!
木暮 でしょでしょ!!!
携帯24 木暮編集長 携帯電話コレクターでもある。自宅には500台以上の携帯電話をコレクションする。 |