(株)東芝と独インフィニオンテクノロジーズ社は21日、次世代メモリーである強誘電体メモリ“FeRAM”(Ferroelectric Random Access Memory)の共同開発で合意したと発表した。これにより開発スピードを加速し、 急増する携帯電話向けのメモリーとして“FeRAM”の早期市場投入を図る。
“FeRAM”は、消費電力が低く、電源を切ってもデータが消失しない不揮発性メモリーで、 同じ不揮発性メモリーであるフラッシュメモリーと比べ高速なデータの読み出し・書き換えが可能。 また、プログラムメモリーとファイルメモリーの両方の性質を併せ持つため、SRAMとNOR型フラッシュメモリーを積層した携帯電話向けマルチチップパッケージモジュールの置き換えをはじめ、モバイル製品、無線タグ、ICカード、ゲーム機器など広範な応用が可能なメモリーとして期待されているという。
東芝は、すでに独自で開発した8Mbit FeRAM(2001年3月サンプル出荷予定)において独自の“チェーン構造”を考案したほか、1T1C(1トランジスター1キャパシター)のセル構造、 強誘電体膜のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)プロセス技術を有している。 一方、インフィニオンテクノロジーズは、読み出し・書き換え回数増加に関するノウハウや製造工程におけるシリコンウエハーの金属汚染防止技術を持っており、 両社の技術を持ち寄ることで、大容量のFeRAM開発を加速できるとしている。
チェーン構造:従来直列接続されていた強誘電体キャパシターとトランジスターを並列接続した構成のメモリーセルをチェーン状に配列した構造。これにより、不揮発性メモリーとして高速のデータ読み出し・書き込み動作とチップ面積の縮小を実現できる。なお、共同開発は、2001年1月初頭から東芝のアドバンストマイクロエレクトロニクスセンターおよび半導体システム技術センター大船分室(いずれも横浜市)で行ない、インフィニオンテクノロジーズから20人の技術者が派遣される。