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1台のPCの中で複数のPCを動作―VMwareのサーバ版が登場

2000年12月12日 00時07分更新

文● 編集部

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VMwareのサーバ向け製品のラインナップは、

  • VMware ESX Server
  • VMware GSX Server

の2点である。GSXはサーバの監視や遠隔操作を行なえ、企業サーバに組み込んで使用する。ESXはパッケージではなく、パフォーマンスを上げたVMwareの環境を貸し出すASPサービスとなる。

VMware GSX Server

VMwareをサーバマシン上で動作させるために、さまざまな仕組みを備えた製品。Workstationには実装していない、

  • Webブラウザによる各ゲストOS管理
  • ゲストOSの遠隔操作

などを行うことができる。

「WebブラウザによるゲストOSの管理」とは、たとえば各ゲストOSが動作中であるか、レジューム中であるか、停止中であるか、といった違いや、ホストOSのCPUやメモリをどの程度使用しているのか、といったリソースが管理できるということだ。さらに、個々のゲストOSに対してハードウェアがどのように設定されているか(マウスやディスク容量など。くどいようだがVMなので、そのVMに仮想的に接続されているハードディスク容量などはユーザーが決定できる)を見ることが可能だ。

VMware GSXゲストOS管理画面
VMware GSX Serverで、ゲストOSすべての状況を把握できる。

個々のゲストOSのステータスを確認する画面
同じくVMware GSX ServerのWeb管理画面。ここでは、個々のゲストOSのステータスを確認することができる。

また、「ゲストOSの遠隔操作」とは、ゲストOS上の画面を監視するマシン上に表示できるようにするものだ。この機能があれば、Windows NT系のサーバを遠隔地で使用していても、シャットダウンや再起動を行なうことができる。

リモート画面
遠隔地にあるVMの画面を表示

このほかVMware GSX Serverは、PerlベースのAPIを備えており、

  • VMの生成、起動、中止、一時中断、再起動
  • VM自体の設定
  • ホストCPUやメモリの使用状況、ディスク状況などをモニタリング
  • 各VMのディスクやネットワーク使用状況などのステータスを管理

などを、スクリプトによって自動化することが可能だ。

  • 出荷予定……2001年1月
  • 動作環境……Linux(Windows NT Serverは2001年第2四半期)
  • 価格……36万4000円(アカデミック版は146000円)
  • サポート……60日間無償オフサイト・サポート(それ以上は別途有償サポートを用意)

VMware ESX Server

ASPモデルでの収益を考えた、インターネット事業者向けバージョン。顧客はxSPが運用するESX内に環境を構築し、CPUの使用量に応じた料金を支払う。2001年第1四半期にサービスを開始し、料金は米国では1カ月に2万ドルが予定されている。

ESXでは、PCをベースにしたハードウェアに、独自のカーネル「VMwareカーネル」を組み込み、その上でゲストOSが動作する。通常のVMwareではホストOSとしてWindows 2000やLinuxを使用するが、ESXではホストOSの代わりをVMwareカーネルが行なうため、汎用OSを使った場合のオーバーヘッドがない。VMwareカーネルの詳細についてはそれ以上言及してもらえなかったが、I/O周りのパフォーマンスに注力したマイクロカーネルといった存在だという。

VMwareの利点

VMwareは、1台のマシン上で複数のOSを運用できることだけがメリットではない。特にサーバ分野においては、ハードウェアが丸ごと仮想化されたことにより、

  • いつでも任意の環境に復旧できる
  • 手軽に持ち運べる
  • VMの動作する環境であれば、コピーするだけで使用できる

といったメリットが出てくる。

こうして、たとえば特定のサーバ環境をVM上で運用しておき、必要に応じてCD-Rへ環境ごとコピーし、別のハードウェアに持って行ってしまえば、それだけでリプレイスの完了である。これにより、システムがスムーズにスケール可能となる。たとえ同一プラットフォーム間でも、サーバのリプレイスは手間のかかる作業だろう。これが、VMwareであれば単なるファイルコピーで済むわけだ。


国内ではまだまだメジャーな存在とまではいえないが、環境の保存や移行の手軽さによるメリットは大きい。まだベータテストの段階だが、VMware GSX Serverのパフォーマンス如何によっては、国内のPCサーバ環境を大きく塗り替える可能性は充分にある。パフォーマンス面では、クライアント版である「Workstation」は、VMとはとても思えない速度で動作すると、定評を得ている。

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