VMwareのサーバ向け製品のラインナップは、
- VMware ESX Server
- VMware GSX Server
の2点である。GSXはサーバの監視や遠隔操作を行なえ、企業サーバに組み込んで使用する。ESXはパッケージではなく、パフォーマンスを上げたVMwareの環境を貸し出すASPサービスとなる。
VMware GSX Server
VMwareをサーバマシン上で動作させるために、さまざまな仕組みを備えた製品。Workstationには実装していない、
- Webブラウザによる各ゲストOS管理
- ゲストOSの遠隔操作
などを行うことができる。
「WebブラウザによるゲストOSの管理」とは、たとえば各ゲストOSが動作中であるか、レジューム中であるか、停止中であるか、といった違いや、ホストOSのCPUやメモリをどの程度使用しているのか、といったリソースが管理できるということだ。さらに、個々のゲストOSに対してハードウェアがどのように設定されているか(マウスやディスク容量など。くどいようだがVMなので、そのVMに仮想的に接続されているハードディスク容量などはユーザーが決定できる)を見ることが可能だ。
VMware GSX Serverで、ゲストOSすべての状況を把握できる。 |
同じくVMware GSX ServerのWeb管理画面。ここでは、個々のゲストOSのステータスを確認することができる。 |
また、「ゲストOSの遠隔操作」とは、ゲストOS上の画面を監視するマシン上に表示できるようにするものだ。この機能があれば、Windows NT系のサーバを遠隔地で使用していても、シャットダウンや再起動を行なうことができる。
遠隔地にあるVMの画面を表示 |
このほかVMware GSX Serverは、PerlベースのAPIを備えており、
- VMの生成、起動、中止、一時中断、再起動
- VM自体の設定
- ホストCPUやメモリの使用状況、ディスク状況などをモニタリング
- 各VMのディスクやネットワーク使用状況などのステータスを管理
などを、スクリプトによって自動化することが可能だ。
- 出荷予定……2001年1月
- 動作環境……Linux(Windows NT Serverは2001年第2四半期)
- 価格……36万4000円(アカデミック版は146000円)
- サポート……60日間無償オフサイト・サポート(それ以上は別途有償サポートを用意)
VMware ESX Server
ASPモデルでの収益を考えた、インターネット事業者向けバージョン。顧客はxSPが運用するESX内に環境を構築し、CPUの使用量に応じた料金を支払う。2001年第1四半期にサービスを開始し、料金は米国では1カ月に2万ドルが予定されている。
ESXでは、PCをベースにしたハードウェアに、独自のカーネル「VMwareカーネル」を組み込み、その上でゲストOSが動作する。通常のVMwareではホストOSとしてWindows 2000やLinuxを使用するが、ESXではホストOSの代わりをVMwareカーネルが行なうため、汎用OSを使った場合のオーバーヘッドがない。VMwareカーネルの詳細についてはそれ以上言及してもらえなかったが、I/O周りのパフォーマンスに注力したマイクロカーネルといった存在だという。
VMwareの利点
VMwareは、1台のマシン上で複数のOSを運用できることだけがメリットではない。特にサーバ分野においては、ハードウェアが丸ごと仮想化されたことにより、
- いつでも任意の環境に復旧できる
- 手軽に持ち運べる
- VMの動作する環境であれば、コピーするだけで使用できる
といったメリットが出てくる。
こうして、たとえば特定のサーバ環境をVM上で運用しておき、必要に応じてCD-Rへ環境ごとコピーし、別のハードウェアに持って行ってしまえば、それだけでリプレイスの完了である。これにより、システムがスムーズにスケール可能となる。たとえ同一プラットフォーム間でも、サーバのリプレイスは手間のかかる作業だろう。これが、VMwareであれば単なるファイルコピーで済むわけだ。
国内ではまだまだメジャーな存在とまではいえないが、環境の保存や移行の手軽さによるメリットは大きい。まだベータテストの段階だが、VMware GSX Serverのパフォーマンス如何によっては、国内のPCサーバ環境を大きく塗り替える可能性は充分にある。パフォーマンス面では、クライアント版である「Workstation」は、VMとはとても思えない速度で動作すると、定評を得ている。