(財)マルチメディアコンテンツ振興協会(略称:MMCA)は7日、通商産業省との共催による“マルチメディアグランプリ 2000”のグランプリを発表した。
マルチメディアグランプリは、コンテンツ産業の総合的育成や発展、創造を図るため、さまざまな分野のマルチメディア作品および制作者を選出、表彰する総合コンテスト。15回目となる今回は、“作品表彰の部”に161点、“新しい才能の部”に40組の応募があった。
作品表彰の部の最高賞である通商産業大臣賞には『黒澤明映画のための村木与四郎・忍デジタルアーカイブ』((株)黒澤プロダクション/村木与四郎/(株)大林組)、人物表彰の部の最高賞である『MMCA会長賞』には、『ファイナルファンタジー』シリーズのプロデューサーとして知られる坂口博信氏((株)スクウェア代表取締役副社長)がそれぞれ選ばれた。
『黒澤明映画のための村木与四郎・忍デジタルアーカイブ』は、黒澤映画の美術監督である村木氏が記録した戦後の日本の街並みや生活風景のスケッチ500点と写真1000点をデジタル化し、戦後復興期の日本の街並みをCGで再現した作品。
村木氏のスケッチ |
スケッチをもとに作成したCG |
表彰式に登場した黒澤久雄氏は「新しいものが賞賛されているが、20世紀から21世紀へ持っていかなくてはならない古いものもある。これはその代表として選ばれたのだと思う」、また村木氏は「50年の成果が出て光栄だ。この50年の間に忘れていしまったものがうんとある。それを思い出してもらいたい」とそれぞれコメントした。
黒澤氏(左)と村木氏(右) |
MMCA会長賞に選ばれた坂口氏は、現在、米国で2001年夏公開予定のフルデジタルCG映画『FINAL FANTASY』を制作中。表彰式に登場した坂口氏は「フルデジタル映画は3年半以上かかって制作している。辛い道のりだが、納得のいくものができ上がりつつある。日本発で世界に向けて一歩踏み出せた。価値のあるものに仕上がったと思う。正月は日本がいいなと思うが、たぶん大晦日もスタジオは働いているので、仕事しながら新世紀を迎えるのもいいかな(笑)」とコメントした。
スクウェアの坂口氏 |
マルチメディアグランプリ 2000の各部門賞の受賞作品は以下の通り。
●パッケージ部門
- 最優秀賞:『アルファベット』(株)NHKエデュケーショナル
- アーカイブ賞:『古今東西噺家紳士録』(株)エーピーピーカンパニー
- アート賞:『ウィリアム・フォーサイス「インプロヴィゼーション・テクノロジーズ」日本版』William Forsythe、Zentrum fur Kunst und Medientechnologie Karlsruhe、松澤慶信、慶応義塾大学出版会
- インタラクティブ賞:『びっくりマウス』うるまでるび、岩井俊雄、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント
- エンターテインメント賞:『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』任天堂(株)
- 教育・教養賞:『マンダラ・コスモロジー チベット仏教の知恵と心の芸術』(株)デジタローグ、(株)アカンパニー・カンパニー
●展示・イベント部門
- 最優秀賞:『本阿弥光悦マルチメディア展示プロジェクト「巻子鑑賞のための装置(鶴下絵三十六歌仙和歌巻)」「茶碗鑑賞のための装置(黒楽茶碗 七里)」』本阿弥光悦マルチメディア展示プロジェクト実行委員会、IAMAS光悦プロジェクトチーム
- イベント賞:『QFRONT MIKEHEAD ライブ』(株)キューフロント、(株)メガキュービックピクチャーズ、(株)トライコムアーツ
- エンターテインメント賞:『Digital Fukuwarai』的場ひろし、日本電気(株)
- 技術賞:『AquaGauntlet』(株)エム・アール・システム研究所
- 教育賞:『ガイアビジョン』(株)乃村工藝社
- 地域文化賞:『渤海使の来たまち・富来』石川県富来町、(財)電源地域振興センター、(財)新映像産業推進センター
●ネットワーク部門
- 最優秀賞:『ドットブック/立て書き・立ち読みシステム』(株)ボイジャー
- 公共・教養賞:『ETをさがせ! ヒトは宇宙でひとりぼっちか?』科学技術振興事業団、(株)ウイルアライアンス
- 情報デザイン賞:『INFOTUBE』松本文夫、松川昌平、脇田玲
- 特別賞:『StarFestival Network』Shigeru Miyagawa、Michael Roper、Ellen Sebring、Tom Chang
- ビジネス賞:『Web現代』(株)講談社 Web現代編集部
- モバイルパイオニア賞:『OH! NEW? (おニュー)』(有)デジタルストリート
●CG部門
- 最優秀賞:『黒澤明映画のための村木与四郎・忍デジタルアーカイブ』(株)黒澤プロダクション、村木与四郎、(株)大林組
- エンターテインメント賞:『Laserium』Animusic
- エンターテインメント賞:『MASTERMIND』富岡聡、DJ HASEBE、D's Garage 21
- サイエンス賞:『Le Relief de l'Invisible: Papillon』ALTOMEDIA、cite des Science et de l'Industrie、Ex Nihilo、Aune Production
- テクニカル賞:『NHKスペシャル「モナリザ・どうしてあなたは名画なの?」』日本放送協会
- デザイン賞:『Dare to Dream 2020』ミズノ(株)、(株)電通関西支社
- 特別賞:『HOLLOW MAN』SONY PICTURES IMAGEWORKS
●新しい才能の部受賞者
- 最優秀賞「金の翼」賞:ソーマ カズオ(デザイナー)
- 優秀賞「銀の翼」賞:池田爆発郎(クリエイター)
- 優秀賞「銀の翼」賞:今泉兄弟(OH! NEW?のプロデュースと開発を行なった兄弟)
●人物表彰の部受賞者
- MMCA会長賞:坂口博信((株)スクウェア代表取締役副社長)
- MMCAアーチスト賞:石茂雄(映像デザイナー)
- MMCA技術賞:ソニー(株)24P開発グループ
- MMCA特別賞:梶原拓(岐阜県知事)