日本アイ・ビー・エム(株)の10日付けの報道資料によると、米IBM社が10日(現地時間)、解像度3840×2400ドット(921万6000画素)の22インチ液晶ディスプレー(縦横比が10:16)を開発したと発表した。
22インチ液晶ディスプレーでX線写真をデジタル表示 |
上の写真で左上の赤枠で囲まれた部分を拡大して表示 |
同ディスプレーは、液晶パネルのガラスを張り合わせる前に液晶材をガラス表面にたらす工程技術“ODF(Open Drop Fill)”や、平面スイッチング技術“IPS(In-Plane Switching)”などの新技術を採用。このため、液晶パネルの精細さは1インチ(2.54cm)当たり202画素となり、同サイズのHDTV(ハイビジョンテレビ)に比べ約4.5倍の精細な表示が可能という。特に、ODFは、従来の注入孔から液晶材を注入する方式に比べ、工程数を削減し、液晶の応答時間を短縮するという。
印刷物の上に花を載せたイメージを利用して解像度の高さを見せるデモ |
同社のワトソン研究所と日本IBMの大和事業所が新技術を研究し、同事業所が同ディスプレーを開発。液晶パネルは、ディスプレイ・テクノロジー(株)の野州工場が製造。第1弾として、米エネルギー省のローレンス・リバモア研究所に納入され、核実験シミュレーションの3次元モデル用のディスプレーとして使用されるという。2001年内に一般への出荷を開始し、開発した新技術は他のディスプレーメーカーにライセンス供与する計画があるとしている。同社では、X線写真のデジタル表示、衛星画像の表示、天気予報のデジタル地図などへの利用を見込んでいる。