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【CA Asia 番外編2】上海の“秋葉原ラジオ会館”を私は見た!

2000年11月08日 02時41分更新

文● ASCII24 Business Center 高島茂男

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記者は、米Computer Associates社主催の「CA-World Asia 2000」の取材で上海に来たわけだが、初日に見たADSLの看板を写真に収めようと上海の街をさまよった。そしてADSLの看板が見つからなかった代わりに、上海の“秋葉原ラジオ会館”といえる建物に偶然行き当たってしまった。

電脳市場、電脳広場と2つの“ラジオ会館”が並んで建っている

一坪店舗が所狭しと軒を並べる

そのラジオ会館は、本当の名前を「電脳市場」と「電脳広場」という2つの別々のビル。建物は別なのだが、中の雰囲気は似ている。これらのビルは、上海の銀行や取引所などが立ち並ぶ金融街にあり、場違いと思える場所に建っている。

それぞれ建物の1F~3Fにコンピュータショップが入っている。コンピュータ関連のみで、電子パーツやオーディオといった類の店舗はない。ショップはいわゆる一坪店舗で、店の中には箱と机が1つのみという店舗が多い。1フロアに約20店舗。1つのビルで約60店舗、2つあわせて100店以上が軒先を並べて営業している。

店舗のほとんどが、それぞれのショップが組み立てたパソコンを売っている店だ。一部が周辺機器やソフトだけを扱う店といった具合。店員と客がハードの組み合わせや価格交渉を真剣にしている店がある一方で、ゲームやDVDに見入る店員や、みんなでトランプをしていたり、あげくには2人いる店員が2人とも寝ているなんていう店もあった。

部屋になっている店舗、ガラスケースだけで営業している店舗の2通りがある

モノは潤沢に揃っている

ハードウェア類がどうやって中国に入ってきているのは知らないが、製品は潤沢に揃っている。ここでは大陸と台湾の隔たりはあまりないように思える。

価格は、日本と同等か少し高い程度。たとえば、Pentium III-800MHzが1980元(約2万5600円)、IBMのHDD(30GB)が1330元(約1万7200円)といった具合だ。もちろん中国の人にとっては高価だろう。しかし、高級外車で買いに来るなんてことはなく、若者がバスからATXケースを抱えて降りてきて、ビルに消えていったりする。

ショップが組んだパソコンの値段は、各ショップのチラシや張り紙を見る限り、4000元(約5万1800円)~1万元(約12万9500円)ぐらいの価格帯で販売されている(セットにはディスプレイを含む)。

一例を挙げると、Pentium III-800MHz、メモリーが128MB、HDDが20GB、最大40倍速のCD-ROMドライブ、FDD、グラフィックスカードはTNT2(16MB)、3Dサウンドボード、56kbpsのモデム、17インチのCRTディスプレイの構成で8998元(約11万6500円)となっている。数軒を見たが、なぜかグラフィックスカードはTNT2が主流だ。OSを添付している場合も、日本では考えられないことだが、PC-DOS 2000かLinuxがほとんどを占めている。


やはり著作権はないに等しい

ソフトウェアを扱っている店舗に行ってみると、ソフトウェアはゲームなどは紙ケースにCDが1枚入っているのみ、ビジネスソフトになるとシュリンクラップされたトールケース(DVDやゲームソフト用のケース)に収まっていた。シリアルナンバーはケースカバーに印刷されている。もちろんすべてが同じナンバー。全部海賊版コピー製品というわけだ。中にはCD-Rを山のように積んであって、客の要望にあわせてソフトウェアを焼きこんでくれる店舗もある。

これがこっそり売られているのかというとそうではなく、実に堂々と悪びれることもなく、ガラスケースの上にソフトが陳列されている。海賊版ソフトウェアの価格は、10元(約130円)~100元(約1300円)程度。ちなみに「正版Windows 98」は780元(約1万100円)している。

書店に行くと、コンピュータ書籍のコーナーには、ビジネスやデザインソフトの教本がずらりと並んでいるが、パソコン雑誌は並んでいない。買ったソフトには取り扱い説明書が添付されていないから、その教本が売れるというわけだ。

ある人が「中国はコピーできない物には金を払うが、コピーできる物には払わない」と言っていたが、まさにその状態だ。日本でもかつて表計算ソフトなどが9万8000円もした頃、「高いから買えない。コピーを使う」とあまり罪悪感もなく、それがまかり通っていた。しかしパソコンの出荷台数が増加し、それにつれてソフトウェアの価格が下がるに従って、急速に違法コピーは減少していった。中国で著作権意識が根付くには、1、2カ月分の給与でパソコンが買えるようにならないことには無理なのかもしれない。

通路に張ってある「正しいWindowsパッケージの見分けかた」がむなしい

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