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【東京モーターショー2000 Vol.2】運転者の注意力をモニターして事故を防止するシステムが展示

2000年10月31日 22時41分更新

文● 編集部 佐々木千之

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31日に開幕した東京モーターショーで、クルマにおける情報処理システムの展示を追ってみた。今回は商用車がテーマということもあってか、未来のクルマといったイメージの展示はなく、実用化されているかあるいはあるいはもうすぐ実用化するという技術が中心で、あまりIT関連の展示は多くなかった。その中から見つけたものをいくつかを紹介する。

三菱自動車工業(株)は、ダッシュボードに組み込む“運転者注意力モニター”システムを展示。クルマのスピード、ハンドルの操舵量、クラッチの単調度、蛇行の程度などを常にモニターし、そのデータから“ファジイ推論”によって運転者の注意力低下を1分間に1度の割合で判断して、メーターパネル中央の小型ディスプレーで注意を促すというシステム。注意力低下があるレベルに達すると、音声により「注意力が低下しています。休憩をとってください」などの警告が流れる。さらに、エアコンを通して、注意力維持機能があるという柑橘系の香りが運転席に流れる仕組みも備える。

パネルの中心にある赤いディスプレーが“注意力インジケーター”

また、ナイルス部品(株)は、日産自動車(株)と共同開発中の居眠り防止システムを展示していた。CCD画像センサーによって運転者の目をモニターして、その目の瞬きの回数や時間から、居眠りに入りそうな状態を検知して警告音を出す。運転者を登録する必要はなく、運転席につくとシステムが自動的に目の位置を検出する。

左手前の黒い箱に見えるものが居眠り防止システム。この箱の中にCCD画像センサー、32bit CPU-60MHz、メモリーなどのシステムボード1式が内蔵されている。CPUおよびOSは非公開だが、CPUは日立のSHシリーズと見られる
居眠り防止システムが瞬きを検出している様子。なお、夜間は赤外発光LEDランプで照らす仕組み

そのほか、商用車ということでトラックなどが多く展示されていたこともあり、流通業社向けの車両位置管理システムも目立った。ほとんどはGPSによる車両位置監視と、携帯電話(NTTドコモのDoPa網を使うものが多い)によるデータ送受信という組み合わせだったが、(株)デンソーが'96年に実用化ずみということではあるが、赤道上の静止通信衛星を使って通信するというシステムを展示していたのが目を引いた。

三菱自動車工業が、三菱ふそうトラックを利用する流通業者向けに開発した車両モニターシステム。保冷車のこない温度もモニターできる
上のモニターシステムの車両側端末。システムとしてはWindows CEを利用しており、ここではクラリオンのAutoPCを使っていた。システム価格が1台あたり45万円と高価なのが当面の問題という。未確認だが、AutoPCの国内向け販売としては唯一のものの可能性が高い
デンソーのトラック向け衛星通信システム。通信衛星はJC-SATを利用する。左側のドームの中にアンテナがあり、移動中も常に衛星方向を向くようになっている。災害などで地上のシステムが使えなくなった場合でも通信できるというメリットがあり、JR貨物では貨物列車に導入しているという

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