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オリンパス、ハイエンド向けデジタルカメラ2製品を発表──400万画素CCD搭載の一眼レフ機など

2000年08月22日 20時04分更新

文● 編集部 小林久

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オリンパス光学工業(株)は、コンシューマー向けデジタルカメラのハイエンドモデルとして、400万画素CCDを搭載した『CAMEDIA E-10』と、毎秒15コマの撮影に対応した光学10倍ズーム機『CAMEDIA E-100RS』の2機種を発表した。レンズにはデジタルカメラ用に開発した一体型レンズを採用。35mm用レンズに対応できる他社のハイエンド一眼レフデジタルカメラとはひと味異なったアプローチを見せている。

CAMEDIA E-10

400万画素CCD時代が到来したが……

製品発表会の壇上に立った、DI事業推進部長の小島佑介氏は「高いコストをかけて得られるものが少ない既存の35mmフィルムの資産に固執するつもりはない」と断言した。同氏は「デジタルカメラは銀塩カメラの置き換えではない」ことを強調し、既存の35mmフィルム用レンズに対応したハイエンド一眼レフ機ではなく、デジタルカメラで必要とされる収差が少なく高い解像力を持つレンズの必要性を指摘。さらなる高画素化やAPS、35mmサイズのCCDを搭載したモデルの投入とは距離をおく姿勢を示した。

発表会に出席したDI事業推進部長の小島佑介氏

オリンパスが発表したCAMEDIA E-10と同E-100RSは、ともにプロユースを視野に入れたコンシューマー向けのハイエンド機だ。同市場をターゲットにしたデジタルカメラには、ニコン(株)の『D1』、富士写真フイルム(株)の『FinePix S1 Pro』など、既存の35mm一眼レフカメラのレンズを使用できる機種も発売されている。しかし、(1)一般ユーザーが購入できる20万円以下の価格帯に抑えたかった、(2)交換レンズを一度発売した場合、長期にわたるサポートが必要でCCDサイズの変更など技術革新のメリットを生かせなくなる、という2点から交換型レンズの搭載は見送り、同社では他社とは異なる道を選ぶ。

E-10にはCCDメーカーとの提携で開発した、2/3インチサイズの400万画素CCDを搭載している。しかし、その一方で、同社代表取締役社長の岸本正壽氏は「高画素化競争はそろそろ打ち止め。技術的には可能でも過剰仕様と言える。今後は操作性など市場の要求を汲んだアイデア競争の時代になるだろう」と述べている。マーケティング主導の高画素化競争の弊害も指摘されるデジタルカメラ市場の中で、ユーザーの操作感を中心に付加価値を見つけていく方針だ。

代表取締役社長の岸本正壽氏

小島氏は「500万画素クラスのCCDを搭載した他社製品も出てくるだろうが、画質と性能のバランスがもっとも取れたのが400万画素」。「大きな出力画素はユーザーには使いにくい。今後高画素なCCDを用いる際も、(色補完などを行なわない)画質向上のために用いるといったアプローチを取るだろう」とコメントした。

CAMEDIA E-10とE-100RSに付けられた“E”の型番は、Evolution(進化)、Excelsior(向上)、Excellence(卓越)の意味を込めて名付けられた。

E-10は、総画素数400万(有効390万)で2/3インチと大型のCCDを搭載した一眼レフ機。レンズには開放F値が2.0~2.4と明るい新開発の光学4倍ズームレンズ、堅牢なアルミダイキャストボディー、可動式のLCDモニター、コンパクトフラッシュ/スマートメディアの2種類のメモリーカードスロットを搭載した、コンシューマー向けデジタルカメラの最上位モデル。

E-10はアルミダイキャスト製。放熱に気を配り、CCDのノイズを減らしている
E-100RS

E-100RSは、総画素数151万画素、サイズ1/2インチの高速駆動CCDと28MHz駆動の新開発画像処理チップを搭載し、15コマ/秒の連写機能、30fpsのVGA動画記録に対応。1万分の1秒と高速なシャッタースピード、焦点距離7~70(35mmフィルム換算38~380mm)の手ぶれ補正つき光学10倍ズーム、レリーズを押す前のシーンを撮影可能な“プリキャプチャー”機能、画像書き込みを停止し不要な撮影を回避できる“書き込みキャンセル”機能などを搭載した、報道カメラマンを視野に入れた製品だ。

同時に発表された昇華型プリンター。USBとパラレル経由でPCに接続できる

オリンパスは、'96年9月に81万画素CCDを搭載した『CAMEDIA C-800L』の発表以来、'98年のメガピクセル機、'99年の200万画素機、そして今年前半の300万画素機を他社に先駆けてリリースしてきた。日本写真工業会の2000年上半期の統計で、ついに出荷台数が銀塩カメラを超え、今年度中に1000万台の大台に到達することが予想されるデジタルカメラ市場。同市場をリードしてきたと自負する同社が、マーケティング主導で高画素化を続けてきた同市場にどのような影響を与えるか興味深い。

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