19日(現地時間)、ついにNAB'99の展示会がスタートした。昨日までのカンファレンス&セミナー形式と異なり、サンズエキスポ会場前はパーキングを探すだけでも大変な模様。
ゆっくり了解、ゆったり取材
アップルブースに急行すると、QuickTimeのトレードマークが目につく。本日からQuickTimeのリリースが開始となった。この記事が着くころにはすでに日本へもたくさんのインフォメーションが流れていることだろう。オープンしたばかりのアップルブース。人もまだ少なめ |
アップルのブースは、広大な会場の比較的奥に位置し、空間を広く取ってシンプルな作りにしている。幕張コンベンションセンターで開催されるMACWORLD
Expoと同様、参加者への個別のデモンストレーションに対応できるように机を配置している。ゆったりと納得がいくまで話ができるので取材するにも好都合だ。
他社のブースと違うのは、何かとPRパーソンの許可がいる点が。このため、待たされる時間が多い。効率よく取材をする上で、若干のネックになっている。
ブースでは、ゆっくりと納得がいくまで担当者のデモを見ることができる |
テレビのメタファーに近付いたQT4プレーヤー
QuickTime4を見てまず最初に感じた印象は、プレイヤーのデザインが大幅に変更されたということだ。個人的には以前のシンプルな方がよかったが、会場でのデザイン評価は高い。また、NABは放送関係者を対象としているだけに、参加者の中では映像のプロフェッショナルが多数を占める。このため、「コンピューターのことはよくわからない」という向きが多い。そうした人にもこのインタフェースへの親しみはわくようだ。“ドロワー”と呼ばれる“引き出し”にはさまざまな、チョイスした番組を格納することができる。テレビのチャンネルというメタファーに、まさに近付いている。
プレイヤーのインターフェース。まったく新しくデザインとなっている |
MP3を標準サポート
会場でのデモでは、『スターウォーズ』といった映画のシークエンスを利用し、さまざまなファイルフォーマットでの採用をアピールする。実際、ストリーミング用のデータは、“Export”から、“Movie to hinted movie”をチョイスするだけで、QuickTimeStreaming Server(Mac OS X Serverのエクステンション)に対応できる。これをFTPするだけで、数千人同時アクセス可能なストリーム映像サーバーとなる。日本の“ホームページブーム”に再度、火をつけるかもしれない。今回のトピックは、MP3のファイルフォーマットを標準サポートしている点であろう。通常のサウンドファイルとして、ドラッグ&ドロップだけで扱えることは、MP3ファイルを一気に業界のデファクドスタンダードにしてしまったといえる。また、採用されたファイルフォーマットの数も多く、メディアのコンバーターとしても活用できるだろう。
DTVもアップルから引っぱる
米本国の展示会のメリットの1つは、実際に製品を担当している人物のコメントが聞ける点である。USビジネス・セールス担当のCarl Flygare氏は、次のように語る。「アップルはDTPの時代をPostScriptによって築き、続いてプリンター『Laser Writer』を発売することで市場を牽引してきました。そして今度も同じように、DTVの時代をQuickTimeによって築き、FinalCutProのようなソフトでさらに強力に牽引しようとしている。もちろん、業界のスタンダードとなるためには、技術だけではなく、サードパーティー群とのべネフィットも大事にしていかなければなりません」――。
Carl Flygare氏 |
QuickTimeエンジニアリングチームのIan Ritchie氏は、「とにかく、早くこの“4”をみんなに見せたかったんだ。しかし、やっているうちにいろんなことができるようになったり、新しい技術を取り入れたり試行錯誤をで大変だったけど、できた結果がこの形さ、いいだろ?」と語った。
Ian Ritchie氏 |