米アドビシステムズ社は9日、同社のウェブサイトにおいて、Acrobat
Readerの最新バージョンとなる『Acrobat Reader 4.0 Pre-Release』を公開、配布を開始した。
これは、同社のドキュメント配布テクノロジー『Adobe Acrobat』で作成したPDFファイルを閲覧するためのビューワで、『Adobe
Acrobat 4.0』は今春のリリースが予定されている。Adobe Acrobat 4.0ではフォントのエンベット(埋め込み)が可能で、Acrobat
Reader 4.0 Pre-Releaseはフォントエンベットされたpdfファイルを表示できるのが特徴となる。こうしたアドビシステムズ社の動きに呼応して、関連する各フォントベンダーの動きが活発化してきている。
MacとG3 Macにおけるフォントメーカーの課題とは?
先月、アドビシステムズ(株)と(株)モリサワは、『NewCIDフォント』に関しての発表を行なった。この発表の際、フロッピーディスクからインストールを行なう従来のフォントでは、FDDを装備していないiMacや新型Power
Macintosh G3にインストールができないという問題を提示した。実際にはUSB仕様のFDDが次々に発売されていることから、フォントベンダー各社には、USB仕様FDDへの対応が求められている。このFDDの問題とCID対応に関して、各社の対応が着々と進んできている。
ニィスはエンベットに積極的
(株)ニィスは、『字識人(CIDフォント形式)』と『ライブラリー壱・弐』のプリンタパックに関して、3月中にUSB仕様フロッピーディスクへの対応を行なう。ユーザーの都合にあわせ、専用CD-ROMとインストール用のPowerBookを無償で貸し出すサービスも実施している。その後は、インストール時にフロッピーディスクを必要としない“FontOnDemand方式”(CD-ROMから希望のフォントをダウンロードできる)に変更するとしている。また、同社はAdobe Acrobat 4.0へむけたエンベット可能なPostScriptフォントを開発した。同社社長の伊藤晃氏によれば、「そのサンプルとしてフォントをエンベットしたpdfドキュメントを作成し、現在、検証しています」という。近々、その成果を公開したいと語っている。
フォントワークスはUSB対応ファイルを配布
『ロダン』など、プロフェショナルデザイナーのあいだで使用頻度の高いフォントを提供している(株)フォントワークスジャパンでは、2月初旬に開催されたPAGE '99において“外付けUSBフロッピーディスクドライブの対応ファイルのダウンロードサービス”を行なうことによる対応を表明したが、2月25日から、このダウンロードサービスを提供している。公開された対応ファイルをiMac及び新型Power Macintosh G3にインストールすることで、USB仕様FDDを使用してのフォントのインストールが可能となる。すでにUSB仕様FDDとしてイメーション(株)の『スーパーディスクドライブ/SDD-120USBMAC』での動作を検証済み。ドライバーはver.1.31。旧製品(フロッピーディスク版、インストーラv3.x)では、USB仕様FDDが2DDディスクに対応していないため、インストールすることができない。
同社では、他モデルFDDの検証についても順次進めているという。確認が取れ次第、順次同社のウェブサイトなどで公開する予定だ。
エヌフォーはPDF埋め込み可能フォントで対応
(有)エヌフォー・メディア研究所は、CID(CID-Keyed Font)フォーマット採用の新パッケージ『ENFOUR TYPE COLLECTION タイプバンク01』を2日から発売している。価格は7万円。本製品からUSB仕様FDDに対応している。今回発売されるパッケージには、印刷関係者の評価も高いタイプバンク社の『タイプバンク明朝 M/DE/E/H』『タイプバンクゴシック R/M/DB/B/E/H』など全16書体を、最新のCIDフル対応で収録している。ATMフォントは、字体切り替え、詰め、PDFへの埋め込み(Adobe Acrobat 4.0から有効)に対応。PostScriptフォントでは、CID対応非対応のプリンターに関わらず字体切り替え出力に対応する。
これまでタイプバンク社のフォントを提供していた『タイプバンクプロフェッショナルフォントシリーズ』は、USB仕様FDDに対応していない。このため、同製品の登録ユーザーを対象に、『ENFOUR TYPE COLLECTION タイプバンク01』へのアップグレードサービスを行なっている。アップグレード料金は1パッケージにつき3150円。
モリサワは対応を準備中
さて、肝心のモリサワの対応についてだが、アドビシステムズ(株)との発表会において、対応策として「市販の外付けFDDを利用してインストールできるよう模索している。また、長期的にはフロッピーディスクなしでインストールできる製品を開発中」というコメントを発表している。同社のウェブサイトによれば、現在“USB対応FDDを利用してインストールする手段の最終評価段階に入った”とのこと。対応するUSB仕様FDDは、SDD-120USB MAC、および同型で松下電器産業(株)の『LS-120』の2製品。他メーカー製品への対応は調査中とのことだ。これらのUSB仕様FDDに対応する機能拡張ファイルのダウンロードサービスを、3月中にも開始するとしている。
なお、今回対応するのはCID製品だけで、OCF製品への対応はまだ時間がかかりそうだ。