(株)日立製作所は、パソコン雑誌の記者を対象に、同社の電子デバイス事業部茂原工場内にある液晶製造ラインの見学会を開催した。同工場では現在、パソコンディスプレー用の液晶パネルを生産しており、厚さ0.7mmのガラス板を液晶パネルのモジュールに加工する工程を一貫して行なっている。
同事業所のプロダクトマネージャー、田嶋善造氏によると、昨年7月から本格稼動を開始したTFT液晶の量産第2生産ラインは、830×650mmの基板を採用しており、この基板サイズは現段階では世界最大規模のものだという。この基板1枚から、12.1インチが9枚、13.3から15インチが6枚、18インチなら4枚の液晶パネルを一度に取ることができるという。
同事業所にはもうひとつ、470×370mmの基板を採用したラインがあり、他社はこの大きさで液晶パネルを生産しているという。日立としては、今後液晶パネル市場のニーズは大型パネルへとシフトすると予測していることもあって、830×650mmの基板を採用したという。
また、同社独自の横電界(IPS)方式を開発したことにより、従来のTFT液晶パネルよりも広い視角と、視野角による色変化の低減を達成したという。同社ではこのTFTパネルを『スーパーTFT』と名づけ、『FROLA
Prius』シリーズに採用して、昨年4月から出荷している。また、7月17日には、Windows98にも対応したPentiumiII搭載のニューモデルを発売する予定で、見学会会場に展示されていた。
同シリーズを担当する同社PC事業部の小泉憲一氏は、ニューモデルリリースに際し、「日本のパソコン市場は、省スペース・コンパクト化が重視される世界的に見ても特異なものだ。『FROLA
Prius』シリーズはそのニーズにもマッチしている」と自信を見せる。
見学会の最後に田嶋氏は、「これまで“技術の日立”と言われてきたが、これからは“液晶の日立”を目標に開発していきたい」と、液晶に対する意気込みを語った。(報道局 白神貴司)
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