オムロン(株)は10日、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモのパケット通信サービス“DoPa”に対応した、産業機器の遠隔管理用ワイヤレス端末を発表した。ワイヤレスモデム『WM21』シリーズはDoPa端末を内蔵した親機と子機を特定小電力無線を利用して接続する。端末契約は親機のみで済む上、通信料はデータ通信時のみに課金されるため、自動販売機などの遠隔管理システムの運用コストを抑えられるという。またDoPa端末を内蔵可能な自動通報装置『K5S』シリーズも発表された。
DoPa対応ワイヤレスモデム『WM21』。左が親機、右が子機 |
DoPa対応ワイヤレスモデムは、親機が『WM21-MD』、子機が『WM21-S』。親機はNTTドコモのDoPa端末『Mobile
Ark』を内蔵し、9600bpsのパケット通信が可能。子機とは429MHz帯の特定小電力無線で接続し、1台の親機に対し子機は最大99機まで接続可能。親機と子機の通信距離は屋内で約100mという。
外部との通信機能を親機に集約したため、DoPa端末としての契約は1台で済む。また親機にTCP/IP変換機能を搭載したため、管理対象となる機器にTCP/IPを実装する必要がなく、子機と機器との接続はRS-232Cで行なえる。DoPaで通信できない地下などでも、親機を通信可能な場所に配置して子機の電波を受けることでリモート管理が可能になる。
販売はSI事業者を通じて行なわれ、価格は構築するシステムによって異なる。自販機の売上や在庫を管理するシステムなど産業向け遠隔管理システムを主な用途に想定し、初年は合計2万台の販売を目指す。同社では自販機運営の近畿コカコーラボトリング(株)と自販機メーカーの三洋電機(株)と共同で、8月に完成予定の同社京都センタービル内の従業員用自販機で、同製品を採用した管理システムを設置するという。
自動通報装置『K5S』シリーズ |
自動通報装置は、DoPa対応の『K5S-AD』と、公衆電話回線対応の『K5S-A』の2機種。K5S-ADはMobile
Ark(別途契約が必要)を接続でき、センサーから通報命令を受けるとインターネットメールを送信する。iモード端末などでも受信できるため、人口音声による音声通話やFAXに比べ、通信履歴の保存やリアルタイム性で優れているという。K5S-Aは一般電話回線に対応し、音声通報機能やハンズフリー通話機能を備えている。
同社ではK5S-ADの用途として、一般電話回線を敷設しにくい農業用ハウスの温度管理といった用途を想定している。価格はK5S-ADが12万8000円、K5S-Aが9万8000円。初年は合計6000台の発売を目標にしている。
オムロン産機コンポ統括事業部長の飛田甲次郎氏 |
都内で開かれた記者発表会で、オムロン産機コンポ統括事業部長の飛田甲次郎氏は、「FA(ファクトリーオートメーション)やライフセキュリティー分野でもITインフラが整ってきた。パケット通信を利用すれば常時接続が可能な上、通信データ量に応じて課金されるため、低コストで大規模な機器管理が可能になる」と述べた。
同社では、インフラの普及と機器の稼働率向上を図りたい企業のニーズから産業用機器のワイヤレス管理市場が拡大すると見ており、2000年度の無線機器全体で10億円、2003年度で50億円の売上を目指している。