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オムロンなど3社、M2Mによる新サービスを発表

2000年10月03日 21時40分更新

文● 編集部 小磯大介

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オムロン(株)、(株)野村総合研究所(以下NRI)、ならびに(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下NTTドコモ)は3日、都内で記者発表会を開き、新サービスを発表した。3社は、“M2M”(マシン・ツー・マシン)で工業機械やパソコン、その他の機械を遠隔監視/制御できるようにするサービスを提供する“M2Mビジネス”を開始すべく、協力関係を結んだ。

発表会では、オムロンの取締役 執行役員副社長の増田英樹氏が、今回の発表について説明した。

増田副社長

“M2M”

M2Mとは、オムロンが提唱するビジネスの形態。B2CやB2Bでは、売り手と買い手の関係は企業とエンドユーザー、もしくは企業と企業だった。つまり、日本国内で考えれば、B2Cのビジネスチャンスは日本の人口である1億2~3000万人分。B2Bでは国内の企業総数がビジネスチャンスとなる。しかし、M2Mがターゲットとしているのは、企業と個人間や、企業間取引ではなく、あらゆる機器/機械(マシン)間のデータのやりとり。国民1人あたり約10台のマシンを使っているとして、10億台を超えるマシン間に、M2Mでデータのやりとりを行なえるようにサービスを提供し、その対価を得るビジネスを、同社ではM2Mビジネスと呼んでいる。

具体的には、以下のサービスを提供するために3社が協力する。

  • “M2Mネットワークセンタ”事業:パソコンや携帯電話など、外部の端末からインターネットを介して、目的の機器にアクセスするための接続センター運営事業。M2Mネットワークセンタは、DoPa(※1)端末によるモバイルネットワークを通じて、目的のマシンを遠隔監視、ならびに遠隔制御する
  • 通信端末事業:マシンの持っている情報を、モバイルネットワークを通じて外部の端末へ送信するための通信端末を提供する
※1 DoPa(DoCoMo Packet):NTTドコモが提供する、携帯電話によるパケット通信サービス。インターネットの標準プロコトルであるTCP/IPに対応する。携帯電話で最高28.8kbpsの速度でデータ転送可能なのが特徴

なお、オムロンでは、これらのサービスの付帯サービスとして、遠隔/制御機器や、サービスを利用するためのソフトやシステム開発用ライブラリーを開発、提供する予定。また、遠隔監視/制御システムのホスティング事業なども計画しているという。

これらのサービスを開始するに当たっては、M2Mネットワークセンタや、実際に遠隔監視を行なうためのセンサー機器をオムロンが提供する。DoPaとマシン間に入り、実際にマシンを制御する機器も、基本的にはオムロンが提供する。オムロン以外のベンダーによる制御機器も使えるが、その場合は、プロトコルを含めて1から制御システムを開発する必要がある。また、NRIは、シンクタンクとしてのキャリアを生かしてビジネスモデルのデザインや、全体的なシステム設計、コンサルティングを担当。NTTドコモが、DoPa端末用の回線やプラットフォームを提供する。

実際のサービス開始はまだ先

「M2Mで、サービスのサプライチェーンを目指す」という増田氏は、3社をコアとするアライアンスについても言及。「さまざまな業界と多角的に提携し、M2Mのサービスを展開していきたい。すでに営業活動は開始している」として、M2Mビジネスのアライアンス例について説明した。

M2Mビジネスの一例として紹介された自動車業界の例。M2Mを使って、遠隔地からドアロックの開閉を行なったり、車上荒らしや事故情報をその場から遠隔地へ送信したりといったことが可能になるという。イメージとしては、M2Mは、B2B2Cの形に近い
ドアロックや窓の開閉をiモード端末から行なえる
工業機械を遠隔監視/制御するデモ。実際にiモード端末からM2Mネットワークセンタにアクセスして、写真手前の機械を動かしていた

増田氏によれば、オムロンではすでにM2Mネットワークセンタを設立しており、「技術的には実用レベルにあって、ほとんどの問題は解決した」とのこと。しかし現実には、まだ3社は協力を開始したという段階。サービスの開始には3社の正式な提携が必要で、実際にビジネスが動き出すにはまだ少し時間がかかりそうだ。なお、オムロンでは、3社協同出資による新会社の設立も視野に入れているという。

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