ATIテクノロジーズジャパン(株)は、8日、ハイエンドデスクトップPC用の3Dグラフィクスアクセラレーター『RADEON(ラデオン)
256』を発表した。“Rage6”のコードネームで呼ばれてきた製品。メインターゲットは、高速な3Dグラフィクス処理を必要とする、ゲーム/ワークステーションユーザーで、同チップを搭載したビデオカードの出荷は7月を予定している。価格は未定。
ATIが発表した『RADEON 256』 |
発表会には、カナダの本社からCEOのK.Y.Ho(K.Y.ホー)氏が出席。RADEONによるハイエンド市場の開拓で「5年以内に年商50億ドル(約5275億円)を目指す」と述べた。同社は、従来メインストリーム/モバイル市場に強みを持ってきたが、今回のRADEON
256、また3月に吸収合併した米ArtX社の技術を生かしたアプライアンス市場向けの製品を通して、トータルなビデオチップベンダーを目指すという。
今回来日した同社CEOのK.Y.ホー氏 |
製品の概要を説明したデスクトップ・コンポーネント・マーケティングシニア・グループのプロダクトマネージャーKevin Oerton(ケビン・オートン)氏 |
RADEON 256は“Charisma Engine”と名付けられた毎秒最大3000万トライアングルのジオメトリーエンジンと、“Pixel
Tapestry”と呼ばれる毎秒1.5GTexelのレンダリングエンジンを中心に構成された3Dビデオチップで、その概要はすでに4月に米国で開催された“WinHEC
2000”で発表されている。
Charisma Engineには、“TCL(Transform Clipping Lighting)エンジン”と呼ばれる、“ハードウェアT&L(座標変換・光源計算)”機能を装備。人物の表情の最初と最後のコマを指定すると、自動的に中間の絵を計算してくれるキーフレームアニメーションやキャラクターの関節の動きをよりリアルに表現できる4マトリクススキニングなどを利用して、より自然に人物の動きを表現できる。
RADEON 256は、指定したコマとコマの間のコマを計算によって求めるキーフレームアニメーション機能を搭載。 |
Charisma Engineを使用することで、従来のビデオチップを大幅に上回るリアリティーの高い人物の表現が可能 |
一方、Pixel Tapestryは、1クロックで3つのテクスチャー(Base Texture、Light
Map、Shadow)を処理できる“Parallel Texture Processing”を搭載。対象の素材感を表現する“Dot3
Bump Mapping”、周囲の反射を正確に表現する“Environmental Bump Mapping”などを通じ、DirectX7でサポートされた一連のバンプマッピング機能に対応、霧などの遠近感を表現する“3D
Texture”によってゲームの背景など、複雑な環境での光と影をリアルに再現できるという。
また、従来から同社がサポートしてきた、MPEG-2再生支援(動き補償、逆離散コサイン変換のハードウェアサポート)なども健在。さらにHDTVのデコード機能やインターレース方式のビデオ信号をPCで表示する際に最適化する“Adaptive
De-intelacing”機能など、PC/AV機器間の連携に関しても多彩な機能が詰め込まれている。
今回展示されていたRADEON搭載ボード。DVI出力を搭載した製品(右上)とコンポジット出力を搭載した製品(左下)が用意されていた。メモリはともに64MBで、64bit×8枚を実装。左下のカードは裏表に4枚ずつ実装している |
RADEON 256は、ビデオメモリーに200MHz駆動のDDR SDRAMを使用。メモリー容量は最大128MBで、データ量を約20パーセントカットすることで、効率的なデータ転送を行なう“HyperZ”技術なども搭載されている。プロセスルールは0.18μmで、集積トランジスタ数は3000万個。なお、当初発売される製品は128MBの製品だが、今後32/64MBの製品に関しても製品化を検討しているという。