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メッツ、PC関連製品のネット販売子会社を設立――ソフト販売もすべて直販に移行、EC時代で先行を狙う

2000年05月31日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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(株)メッツは31日、電子商取引(EC)をメインとしたパソコン関連商品販売会社“イープレジャー株式会社”を設立し、7月に販売業務を開始すると発表した。新会社はメッツとしては初めての連結対象子会社となり、パソコン関連商品を扱う商社である新光商事(株)と合弁で今月19日に設立済み。メッツ製品のユーザー情報を活用し、デジタルカメラやプリンターなどマルチメディア関連商品を主に取り扱う。メッツは自社のグラフィックス関連ソフトをすべてネット販売のみとする戦略を打ち出しており、EC市場で先行することで顧客の囲い込みを狙う。

都内で新会社設立を発表するメッツ社長の永田典久氏 都内で新会社設立を発表するメッツ社長の永田典久氏



新会社は5月19日付けで都内に設立された。資本金は3億円で、出資比率はメッツは80パーセント、新光商事が20パーセント。社長はメッツ社長の永田典久氏が兼任する。「新会社は販売専門のマーケティング会社。ソフト会社のメッツと性格が異なる」(メッツ社長の永田氏)として別会社の設立に踏み切った。

商品販売は7月3日に開始する予定。デジタルカメラやカラーインクジェットプリンター、CD-Rドライブといったマルチメディア関連のパソコン周辺機器をそろえた。当初は約30製品のラインナップでスタートするが、USB接続のHDDやUSB-SCSIアダプターといったオリジナル商品も今後用意する予定という。ユーザーはネット経由か、電話とFAXなどで注文し、クレジットカードか代金引換で決済する。

商品仕入れは新光商事が担当し、販売窓口となるECサイト構築や決済機能はメッツに委託してコストを最小限に抑える。また独自のSCM(Supply Chain Management)を導入して“完全無在庫経営”を実現するという。販売にあたっては、「約100万人」というメッツ製品のユーザー情報をマーケティングデータとして活用。商品ラインナップにユーザー情報を反映させるほか、ダイレクトメールを使った告知活動も展開していく。

新会社の設立は、メッツが進めるインターネット戦略の一環。メッツはDTPソフト『G.Crew』など主力製品の販売チャネルをネットのみに絞る方針を打ち出しており、昨年11月には店頭在庫の解消を図るため製品の出荷を停止。販売シェア上位を占める売れ筋商品にもかかわらず、製品パッケージが小売りの店頭から消えるという“異常事態”が続いていた。

この間、メッツは「ECサイトの準備に集中していた」(永田氏)という。さらに東証マザーズに上場し、60億円を超える資金を調達して準備を整えた。新会社設立と同時に発表したグラフィックス関連ソフトはすべてダイレクト販売に移行し、新会社の取り扱い製品と同じサイトで同時に販売を開始、両者の相乗効果も狙う。

メッツではソフトパッケージの直販に加え、今後はダウンロード販売も開始する予定で、例えば『PhotoCrew』の画面キャプチャーソフトだけを購入するといった“バラ売り”も可能にするという。さらにASP(Application Service Provider)としてPIMソフトやG.Crewを提供することも予定しているという。

メッツ社長の永田氏は、「ソフトはネット販売の方が向いている。店頭販売より直販のほうが市場は伸びるだろう」と判断。上場で得た資金を活用してEC分野で先行し、「勝ち負けはここ数年で決着がつく」(永田氏)というネット販売で同業他社を一気に引き離す腹づもりのようだ。

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