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ナナオ、液晶ディスプレーとCRTディスプレー新製品を発表――シンクライアントやDV編集マシンなど新コンセプトの商品も

2000年05月19日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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“EIZO”ブランドでコンピューター用ディスプレーを販売する(株)ナナオは19日、新製品8機種を発表した。液晶ディスプレー3機種とCRTディスプレー2機種に加え、同社としては新分野となる液晶ディスプレー採用のシンクライアント、プラズマディスプレー(PDP)によるコンテンツ配信システム、DV編集用パソコンの3製品も含まれる。同社は「ディスプレーで培った映像技術を活かし、さまざまな分野に展開していきたい」と意気込んでいる。

発表会場に並んだ新製品
発表会場に並んだ新製品



液晶ディスプレーはデジタルインターフェースを標準搭載

液晶ディスプレーの新製品は『FlexScan L671』『FlexScan L371』『FlexScan L351』の3機種。デジタルインターフェースを標準装備した点が特徴となっている。また本体カラーは新たに青みがかかった明るいグレー“セレーングレー”を採用した。同社は液晶ディスプレーのデジタル対応を強化するほか、高解像度化やタッチパネルを採用した製品の開発を進めていくという。価格は3機種ともオープン。

『FlexScan L671』 『FlexScan L671』



L671は18.1インチのカラー液晶TFTパネルを搭載したハイエンドモデル。最大解像度は1280×1024ドット、最大表示色は1677万色。画素ピッチは0.28×0.28mm。水平周波数は27~82kHz、垂直周波数は50~85Hz(1280×1024ドット時は50~75Hz)。“スムージング機能”を搭載し、テキストをシャープに表示できるという。

入力はアナログRGB(D-Sub15ピン)に加え、デジタルインターフェース“DVI-I”(DVI-I29ピン)も備え、今後の普及が見込まれるデジタル接続にも対応できるという。

4ポートのUSB Hubを内蔵する。スタンドを含むサイズは幅430×高さ455×奥行き218mm、重さ9kg。発売は6月30日。店頭での実売価格は40万円を切る程度と見られる。

『FlexScan L371』 『FlexScan L371』



L371は15インチTFT液晶パネルを採用し、デジタルインターフェースにも対応した。最大解像度は1024×768ドット、最大表示色は1677万色。画素ピッチは0.297×0.297mm。水平周波数は24~61kHz、垂直周波数は50~85Hz(1024×768ドット時は50~75Hz)。L671と同様にスムージング機能を搭載。入力端子としてアナログRGB(D-Sub15ピン)と、デジタルインターフェース“DVI-I”(DVI-I29ピン)の2系統を備えた。

4ポートのUSB Hubなど、基本仕様はL671と同様。スタンドを含むサイズは幅397×高さ397×奥行き193mm、重さ5.7kg。6月21日発売で、実売予想価格は13万円程度。

『FlexScan L351』 『FlexScan L351』



L3511は15インチTFT液晶パネルを採用したディスプレー。採用したデジタルインターフェースが“DVI-D”(DVI-D24ピン)である点がL371と異なる。USB Hubも内蔵していない。

最大解像度は1024×768ドット、最大表示色は1677万色。画素ピッチは0.297×0.297mm。水平周波数は31~49kHz、垂直周波数は60~70Hz。テキストをシャープに表示するスムージング機能を搭載する。入力端子としてアナログRGB(D-Sub15ピン)と、DVI-Dの2系統。

スタンドを含むサイズは幅384×高さ386.2×奥行き171.4mm、重さ5.4kg。6月30日発売で、実売予想価格は11万円程度。

動画再生対応を強化したCRTディスプレー2機種

CRTディスプレーは『FlexScan T962』『FlexScan T761』の2機種。表示用途に合わせてコントラストを調節する“ファインコントラスト機能”に、DVDソフトなどの動画を明るくメリハリのある表示にする“ムービーモード”を追加した点が特長だ。また液晶ディスプレーと同様、本体カラーはセレーングレーを新採用した。

『FlexScan T962』
『FlexScan T962』



T962は平面アパーチャーグリルCRT(FD トリニトロン)を採用した21インチディスプレー。アパーチャーグリルピッチ(AGピッチ)は0.24mm。水平周波数は30~130kHz、垂直周波数は50~160Hz。推奨解像度は1600×1200ドット(垂直周波数100Hz)、最大解像度は2048×1536ドット(同80Hz)となっている。

入力はD-Sub15ピンとBNC×5の2系統。常に一定の色温度で表示する“自動カラー補正機能”により色再現性を向上させたほか、2系統にそれぞれ独立して色温度を設定できる(4000~10000Kまで14段階)。

本体に4ポートのUSB Hubを内蔵した。サイズは幅494×高さ486×奥行き520mm、重さ36kg。6月1日発売で、価格は19万8000円。

『FlexScan T761』
『FlexScan T761』



T761も平面アパーチャーグリルCRT(FD トリニトロン)を採用した19インチディスプレー。AGピッチは中心部で0.24mm、周辺部で0.25mm。水平周波数は30~115kHz、垂直周波数は50~160Hz。推奨解像度は1280×1024ドット(垂直周波数100Hz)、最大解像度は1600×1200ドット(同80Hz)。入力はD-Sub15ピンとBNC×5の2系統。“自動カラー補正機能”、2系統での独立色温度設定、4ポートの内蔵USB Hubなど、機能面は機能面はT962と同様。サイズは幅452×高さ455×奥行き478mm、重さ27.5kg。5月25日発売で、価格は9万9800円。

新構想に基づく“コンピューティング関連商品”

同社はコンピューター用ディスプレーを中心に販売展開していたが、今回新たに“コンピューティング関連商品”の第1弾として3製品を発表した。同社では「ネットワーク時代に最も重要なインターフェースはディスプレー」とし、機能を集約した“インテリジェント・ネットワーク・ディスプレー構想”を掲げ、ハードウェアに留まらずアプリケーションソフトやコンテンツ配信などに取り組んでいくという。

『eClient 530L』
『eClient 530L』



『eClient 530L』は、15インチTFT液晶ディスプレーを採用したシンクライアントマシン*。OSにWindows CE 2.12日本語版を搭載するほか、マイクロソフト(株)の『Windows-based Terminal Kit 1.5J』を内蔵。Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition/2000 Server/2000 Advanced Serverを搭載したサーバーマシンに接続し、ソフトをネットワーク経由で利用することができる。またシトリックスの『Citrix ICA Client 4.10』も内蔵、『Citrix MetaFrame 1.8』搭載サーバーにも対応する。

サーバー内のアプリケーションをネットワーク経由で利用するために、最低限のハードウェアで構成されるクライアントマシン


CPUは168MHz動作のMIPS互換64bit RISCプロセッサーを採用。内蔵ソフト用に16MBのフラッシュROM、実行用に32MBのRAMを搭載する。2Dグラフィックスコントローラー(VRAM 2MB)を搭載しているため、1024×768ドット、6万5536色の表示が可能。マウス/キーボード接続用のPS/2ポート×2、パラレルポート×1と10BASE-TのEthernetポートを備えている。

サイズは幅395×高さ390×奥行き164mm、重さ約5kg。発売は6月21日。価格はオープンで、受注台数によって納入価格は異なる。ネットワーク関連商品のため、同社単独ではなくパートナー契約を結んだSI向けに販売していく方針という。

『i・Caster』
『i・Caster』



『i・Caster』は、42インチのカラープラズマディスプレー(PDP)と管理ソフトで構成するコンテンツ配信システム。管理ソフト『InfoPlanner』を使って表示スケジュールを10分単位で設定し、マイクロソフトの『PowerPoint』で作成されたデータや動画像を表示する。コンテンツ配信は公衆回線のほか、LANや無線LANにも対応する。発売は7月21日、価格はオープン。販売はコンテンツ制作や配信システム込みで行なわれる。

『MediaDirector GP4000』
『MediaDirector GP4000』



『MediaDirector GP4000』は、デジタルビデオ(DV)レコーダーで撮影した動画像の編集専用に構成されたパソコン。動画キャプチャーボードに『DVRaptor』、グラフィックスカードに同社の『DVXPLODE』(VRAM 32MB)とDV編集分野で定評のあるカノープス(株)製品を採用。また編集専用コントローラー『VIDEONICS CommandPost』を付属し、編集作業の効率アップに配慮したという。ディスプレーは新発表されたT761が標準で付属する。

CPUはPentium III-733MHz、メモリーは128MB(SDRAM)を搭載。HDDは2基内蔵し、システム用のCドライブが10GB(Ultra-ATA)、編集作業用のDドライブが20GB(同)となっている。サウンドチップはクリエイティブメディア(株)のES1373をオンボードで搭載。ナナオのディスプレー一体型スピーカー『i・Sound V1』で再生する。

OSはWindows 98 Second Edition。カノープスのDV編集ソフト『RaptorEdit』と、アドビシステムズ(株)の『Adobe Premiere R5.1 LE』が付属する。

発売は7月1日。価格はオープンで、実売予想価格は45万円程度。量販店でのデモ機展示や、初心者向けのDV編集教室といったプロモーションを予定している。

同社は19日、同社製品の一般ユーザーを対象に新製品発表会“E-LIVE”を都内で開催。同社製品のデザインを一貫して手掛けるデザイナーの川崎和男氏(名古屋市立大学大学院教授)を招いて講演を行なったほか、同社スタッフが製品について説明した。同社は今年の国内売上をディスプレーで140億円を見込むが、参入したばかりのコンピューティング関連商品は10億円とディスプレーに比べると少ない。それでも「ディスプレーで培った技術を活かして新分野に挑戦していく」と意気込んでいる。

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