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【INTERVIEW】「2足歩行ロボットは『ザク』でやってますね」--“バンダイのロボット博士”芳賀義典氏(後編)

2000年05月02日 00時00分更新

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昨年来、精力的にロボット製品を発表しているバンダイは、もともと'80年代からこの分野に積極的に取り組んでいたメーカー。そのバンダイでずっとロボット関係のおもちゃに携わってきた“バンダイのロボット博士”メディア統括部の芳賀義典氏にお話をうかがった。

バンダイ メディア統括部の芳賀義典氏とロボットたち
バンダイ メディア統括部の芳賀義典氏とロボットたち



(前編の続き)

ターゲットは20代の男性?

--ターゲットは男の子、女の子を意識されるんですか?

芳賀「ワンダーボーグは男の子向けですが、お父さんといっしょに買ってほしいですね。BN-1は当初は20~30代の男性だったんですが、外観をめいっぱい猫にしちゃったので、ターゲットが男性でいいのか?、という感じになってます(笑)。でも20代の男性はこういうファンシーなデザインでもOKみたいですね。特にメカニカルでなくてもいいようです。20~30代前半の女性というターゲットもありますね。BN-1をいろいろな人に見てもらって参考にしているのですが、女性がメインターゲットという考えもありなのかもと思ってます」

--小さい女の子がメインターゲットではないと?

芳賀「やっぱり価格の問題ですね(現時点では未定。約5万円以下を予定)。子供はなかなか買いにくいですよね。家族で1体買うならばいいのですが。ただ、このペットロボットを買ったからといって、部屋が涼しくなるわけでもないですから、これに何らかの価値観を見いだしてくれる人でないといけない。でもその価値が何かというと難しいわけです。購買層を聞かれるのがいちばんつらいですね(笑)」

「そういう意味もあって、最初はBN-1はインターネットで販売するんです。プログラミングができる要素は残してありますし、もちろんプログラムができない人でも、“ビヘイビアシンセサイザー”といって性格付けができるような機能があります。そういう意味ではパソコンという切り口を持とうかなと思っています。最近は女性でもパソコンの所有率が高いですからね」

机の上で飼うロボット『BN-2』

机の上で気軽に飼える小型のペットロボット『BN-2』。動き回る様子を楽しむ観賞用のハムスター的ペットロボット。BN-1と同様の光フェロモンセンサー、赤外線対物センサー、障害物に触れると避けて動く触覚センサー、明るさセンサーを内蔵する。電源はニカドバッテリーで充電式机の上で気軽に飼える小型のペットロボット『BN-2』。動き回る様子を楽しむ観賞用のハムスター的ペットロボット。BN-1と同様の光フェロモンセンサー、赤外線対物センサー、障害物に触れると避けて動く触覚センサー、明るさセンサーを内蔵する。電源はニカドバッテリーで充電式



--BN-2はどういう位置付けなんですか?

芳賀「最初はビートロイドの次に来るものだったんです。デスクトップで机の上でロボットが飼えたらいいねと。足を車輪にして動きの緩急を実現して、ちょろちょろと動くようなハムスター的な遊びをやろうとしたんです。ただ技術的な問題が残ってまして、動き続けられるよう電源を供給するにはどうするか、消費電力のコントロールなどを研究中です」

--ハードウェア的にはワンダーボーグと同じなんですか?

芳賀「もっと賢くなってます。ワンダーボーグが脳ミソが8つですが、BN-2は1000近くありますから。あと机の上で動作するということで行動範囲が限られてしまうのも、それで本当にいいのかと思案中です」

ロボパルから2足歩行ザクへ

--'80年代には、バンダイさんの作られたものをはじめ、たくさんのロボットおもちゃがあったと記憶していますが、ロボットおもちゃ開発は昔から取り組んでられるわけですよね?

芳賀「最初は'84年、PCにつながる『ロボパル』というのを出したんですよ。私が関わったんですけど、ちっとも売れなかった(笑)。現在は広報にも資料が残ってないほどで。それ以外にも『ロボテック』といって組み立てモノもやってました。あのころは、ただ“ロボット”というテイストだけで作っていたんです。遊びを積極的にやるには技術的に未熟でした。今はパソコンが普及しているので、それを使って遊ぶというのもムリがなくなってきてるんですね。富士通さんのキティちゃん人形なんかも人気がありますけど、ああいう部分は市場としてムリなく受け入れられてるんです」

--ロボパルとか古いロボットはもう残ってないんですか?

芳賀「たしか………(と実物を持ってきていただいた)」

これが『ロボパル』。しかも箱付き。芳賀さんの実家に置いてあったものだそうで、その後会社に持ってきて、そのまま保管していたそうだ。バンダイ社内にある唯一の現物
これが『ロボパル』。しかも箱付き。芳賀さんの実家に置いてあったものだそうで、その後会社に持ってきて、そのまま保管していたそうだ。バンダイ社内にある唯一の現物



新旧ロボットが芳賀さんの前に揃う
新旧ロボットが芳賀さんの前に揃う



芳賀「これはPC-8801につながるロボパルです。あと何バージョンかあってMSXにつながるものもありましたね。当時はウチも『RX-78』*なんてパソコン出してましたから(笑)。このロボパルは当時の“おもちゃショー”でかなり大きなスペースをとってデモをしましたが、反響はチラホラでしたね(笑)」

*連邦軍の白いモビルスーツ……ではなくて、'83年にバンダイが発売した8bitパソコン『RX-78 GUNDAM』のこと

写真提供:月刊アスキー'83年8月号
写真提供:月刊アスキー'83年8月号


メモリーにSRAMを採用したホビー向け8bitパソコン『RX-78 GUNDAM』と別売のジョイスティック。CPUはZ80A-4.1MHz。8KBのROMと30KBのRAMを搭載していた。ソフトウェアの供給はROMカートリッジで行なう。本体価格は5万9800円。キーボードにゲーム専用オーバーレイシートを付けることも可能だった

--ずっと続いているんですねえ

芳賀「ええ、トミーさんも“ロボット・トイ”をやられてましたけど、うちはどちらかといえば本格的な路線ですね。ただ、これはいかんせん単なるラジコンなんです(笑)。PCから走行シミュレーションをしたり、機械語のドライバーが入っていて自作プログラムから呼べるようになってました。音声認識と組み合わせて何か取ってこいというようなこともできましたね」

--今日はこれを見られただけでもウレシイです(笑)

芳賀「これは激レアですよ、きっと(笑)。バンダイにも1台しかない」

--いくらだったんですか?

芳賀「1万6800円ですね。パソコンが20万円とかの時代でしたが、それでもやっぱり高かった。シャーシーは意外といいモノを使っていて、モーター1つで2輪を動かして、モーター自体でギアを変えたりしてました」

--これがバンダイさんのロボットのスタートだったんですね。2足歩行ロボットはやられていないんですか?

芳賀「『ザク』でやってますね」

--あれはアツクなりますねえ(笑)

芳賀「今、社会で活躍しているメインの世代がガンダム世代なんですよね。だからいろんな人から言われましたよ。この間も不動産屋へ行ったら『バンダイさんて、歩くザクやってましたよね』って言われて(笑)。あれは企画の勝利ですよね。しっかりターゲットを狙ってますから。ただあの歩行メカは本当の2足歩行じゃない。本当に歩くものもあるんですが、あのザクのようなサイズでやると重々しくないんですよ。“おっとっと”という雰囲気になる。なのであのザクは棒が出ていて厳密な2足歩行じゃありません。ホンダの『P3』ぐらいにキッチリと重心制御ができるといいんですけどね」

「歩き方で3タイプくらい作ったんですけど、結局あの形に落ち着きました。ほかにも重心制御のある/なしとかいろんな歩行メカについて研究しています。ただそれを使うメリットが見出せないといけない。コストとの兼ね合いもありますすからね」

“東京おもちゃショー2000”で話題をさらったラジコン仕様の2足歩行ロボット『機動戦士ガンダム』の『ザク』。プロトタイプは上半身と下半身が別々で、下半身は2足歩行、上半身は腰をひねってBB弾(エアーガン用のプラスチック製の弾丸)を発射できる“東京おもちゃショー2000”で話題をさらったラジコン仕様の2足歩行ロボット『機動戦士ガンダム』の『ザク』。プロトタイプは上半身と下半身が別々で、下半身は2足歩行、上半身は腰をひねってBB弾(エアーガン用のプラスチック製の弾丸)を発射できる



--先日のおもちゃショーを見ても、いつの間にかロボットだらけでした。何でもロボットになっちゃって、ちょっと違和感を感じたりもしたのですが、そのあたりはどうお考えですか

芳賀「まあ、それがおもちゃ業界の特性ですから(笑)。ただバンダイとしては、おもちゃ的なロボットとして『VARSX』*的なものと、もうひとつは本格的なものの両方をやっていきます。一過性のブームではなく、あくまでも将来ロボット的なおもちゃを認めてもらって遊びの中に入っていくのを目標にしています。ですから、こう言ってはなんですけど、あんまりツマラナイおもちゃを出してほしくないですねえ(笑)」

*VARSX:バンダイがこの春に発売した廉価な対戦競技用ロボット。基本的にはリモコン操作で対戦。さまざまな拡張パーツが用意されている。

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