ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(以下、SCN)は6日、インターネット音楽配信サービスのプラットフォームの提供を事業とした新会社“株式会社レーベルゲート”を4月上旬に設立すると発表した。新会社社長は、SCN社長の山本泉ニ氏が兼任する。同社は、レコード会社12社*の参画を得て、楽曲検索用のポータルサイト“Label
Gate”を、5月下旬に本格スタートさせる。
![]() | SCNと新会社の社長を兼任する山本泉ニ氏 |
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ここでは、山本氏をはじめ記者発表会に出席したレコード会社各社の代表のコメントを紹介する。
*現時点で“Label
Gate”への参画が確定しているのは、エイベックス(株)、キングレコード(株)、(株)ジャニーズ・エンタテイメント、(株)ゼティマ、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)、(株)徳間ジャパンコミュニケーションズ、(株)BMGファンハウス、(株)フォーライフレコード、(株)プライエイド・レコーズ、ポニーキャニオンの12社。そのほか、(株)バップ、(株)ワーナーミュージック・ジャパンが参画を予定しているという
記者会見に出席したのは、エイベックス、キングレコード、SME、徳間ジャパンコミュニケーションズ、フォーライフレコード、ポニーキャニオンの6社。
「この手のサービスについて、30社から提案を受けている」
会見に出席したキングレコードの寺島昭彦社長が「この手のサービスについて、30社から提案を受けている」としているように、複数レーベルが混在するポータルサイト構想を打ちたてているISPやソフトウェアハウスは非常に多い。大手レコード会社はこれまで、こうした構想に対して非常に消極的であった。例えばその1つ、米リキッドオーディオ社や(株)リキッドオーディオ・ジャパンは、LiquidAudio形式の楽曲を販売するサイト同志をネットワークで結ぶシステムを構築しているが、「米国でも国内でも、有名レーベルから賛同を得ることはなかなか実現しない」とある社員は語っている。
主役は音楽レコード会社
SCN・レーベルゲートの山本氏は、「新会社はあくまで、各レコード会社の音楽配信事業のバックヤードを受け持つ会社で、“裏方”的な役割。各社の音楽配信事業に対して中立な立場であり、So-netのインフラを有効に活用するということで各社から賛同を得た」と、“裏方”であることをアピールした。![]() | SME社長の丸山茂雄氏。「レコード会社の立場から言えば、(新会社は)“業者さん”なんですよ」。同社所属のアーティストは、DREAMS COME TRUE、ラルク・アン・シエル、JUDY AND MARYなど |
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今回発表された“Label Gate”に参画を決めた要因として、SME社長の丸山茂雄氏をはじめ、会見に参加したほとんどの企業の代表が、“レコード会社主導のシステム”ということを挙げている。
“Label Gate”で提供するサービスは、(1)ダウンロード楽曲データのホスティングサービス、(2)楽曲検索用のポータルサイト“Label
Gate”の開設、(3)ユーザーサポート、(4)課金・決済と著作権保護を目的としたユーザー認証のためのプラットフォームの提供*。ダウンロード販売はレコード会社のサイトで行なうため、オーサリングはもちろん、価格設定や、配信技術などの決定権はレコード会社にある。
*課金・決済システムについてはSCNが受託
丸山氏は続けて以下のように語った。「レコード会社は、著作権者からコンテンツを責任を持ってお預かりしている立場であり、ユーザーにきちっとお渡しするのが務め。バックヤードが不安定では困る--」
![]() | ポニーキャニオン副社長の佐藤修氏。同社所属のアーティストは、GLAY、深田恭子など |
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一方、ポニーキャニオン副社長の佐藤修氏は、「全く音楽と関係ない業界の企業が、1曲100円で音楽配信をするという構想を出した。ユーザーのニーズを考えての価格設定ということのようだが、我々の考え方は違う--」と、異業種参入をけん制する発言を行なった。
パッケージ流通ビジネスとの棲み別け?
会見の席でキングレコード社長の寺島昭彦氏は、「あくまでパッケージ販売が機軸」と語った。ダウンロード販売ビジネスの拡大は、既存のパッケージ流通を脅かすものとなるという見方があるが、レコード会社はこれまで、これについて慎重な発言を行なっていた。今回、新会社は、ポータルサイト“Label Gate”の特徴として「ユーザーがレコードレーベルを意識せずに、目的の音楽データを購入するための、総合検索サイト」ということを挙げている。販売サイドはレコード会社が担当するとはいえ、各社の販売データを一望できるという点では、ある種レコード店的な役割を果たすサイトとも言えるだろう。
このことについてSCN・レーベルゲートの山本氏は、「インターネット産業そのものが、他の産業を潰すわけではない。楽曲のダウンロード販売についても、1つのメディアとして、パッケージ販売と並行で残っていくのではないか」と語り、「この問題は音楽レコード会社に聞くべき内容」とした。
