27日からの3日間(現地時間)、米マクロメディアが主催するイベント“flashforward
2000 ”が、米サンフランシスコの“Masonic Center”において開催された。同イベントでは、米マクロメディアのFlashテクノロジーを利用する開発者とコンテンツ制作者を対象にしたワークショップやコンファレンス、展示会などが催された。
本稿では、29日催された米アドビシステムズによる基調講演の内容と、『Adobe
LiveMotion日本語版』に関するインタビューの内容をお伝えする。
右は、米アドビシステムズ社のジョン・ワーノック氏。左がマイケル・ニネス氏。この撮影直後、2人は基調講演のために登壇した |
『Adobe LiveMotion 1.0』は米国で5月に発売
29日の基調講演では、米アドビシステムズのCEOを務めるジョン・ワーノック(JohnWarnock)氏、同社でグラフィックス製品のグループプロダクトマネージャーを務めるマイケル・ニネス(Michael Ninness)氏が登壇し、『Adobe LiveMotion 1.0』に関する説明を行なった。基調講演で2つの発表を行なうと前置きしたジョン・ワーノック氏。Adobe LiveMotionはMacintoshとWindowsの両方をプラットフォームにしているが、講演で行なわれた機能紹介ではMacintosh版が使用された |
Adobe LiveMotionは、ウェブ向けにインタラクティブなグラフィックスやアニメーションを作成するためのツール。書き出し可能なフォーマットにはFlash(swfファイル)、アニメーションGIF、JPEG、PNG、Photoshop(psdファイル)などが挙げられる。
『Photoshop』のpsdファイルをレイヤー情報ごと読み込むデモ。スキーヤーが写っているpsd画像ファイル(上段左)を読み込み、スキーヤーのレイヤーのみを表示している(上段中央)。背景のレイヤーは非表示 |
このAdobe LiveMotionは、マクロメディア製品『Flash』に直接対抗する製品。今年2月にボストンで開催された“Seybold
Seminoars Boston 2000”において、初めてそのインターフェースが公開された。アドビシステムズは3月6日に同製品を正式発表し、オンラインでベータ版の配布を開始。わずか3週間で10万人のユーザーがダウンロードしたという。
英語版の発売は、5月中の予定。市場価格は399ドル(約4万2000円)。flashfoward
2000の参加者には、5月1日までに注文した場合、199ドルのキャンペーン価格でオンライン購入することができるURLが知らされた。
Metastream社との密な提携を発表
続いてワーノック氏は、Metastream社との提携を発表した。また、アドビシステムズはMetastream社の親会社であるMetaCreations社が発売する3Dオーサリング製品『Canoma』を買い取る予定であることを明らかにした。この提携により、アドビシステムズはMetastreamの技術を使い、電子商取引サイトでインタラクティブな3Dコンテンツを作成することが可能になった。
Metastreamの技術を使ったデモ。チケット販売を行なう電子商取引サイトをデモしてみせた |
またアドビシステムズでは、MetastreamのフォーマットであるMTSファイルを、『Photoshop』『GoLive』『Illustrator』『LiveMotion』『InDesign』『Premiere』、『After
Effects』を含むすべての同社製品に組み込むことになるという。
すべてのウェブオーサリング製品でSVGをサポート
Adobe LiveMotionの次期バージョンでは、W3Cが勧告しているScalable Vector Graphics(SVG)言語がサポートされる予定だ。SVGとは、XML(The eXtensible MarkupLanguage)をベースにしたベクターグラフィック言語のこと。HTMLコードに挿入するプレインテキストのコマンドによって、グラジエンツ、アニメーション、フィルターエフェクトなどの効果を用いたウェブページをデザインすることができる。
SVGの情報を提供しているウェブサイトを紹介。日本語ページも用意されている
ワーノック氏は、「今後、SVGを『Adobe%20LiveMotion』を含むすべてのウェブオーサリング製品でサポートしていく」と述べ、基調講演を締めくくった。
基調講演が終了した直後に、アドビシステムズはSVGの講習会を開催した |
Adobe Live Motion日本語版は今年6~7月発売
ascii24編集部では、基調講演でAdobe LiveMotionのデモンストレーションを行なったマイケル・ニネス氏と、Adobe LiveMotion日本語版のマーケティングを担当するポール・チャヴェズ(Paul R. Chavez)氏にインタビューを行なった。グラフィック部門のプロダクトマネージャーを務めるマイケル・ニネス氏(左)と、ポール・チャヴェズ氏。インターネット製品のプロダクトマネージャーを務めるチャヴェズ氏は、昨年まで6年ほど日本に滞在していたとか |
--『Adobe LiveMotion日本語版』の発売時期と価格を教えてください
チャヴェズ氏「現在のところ、6月から7月初旬*を予定しています。価格については、未定です」
*米アドビシステムズの日本法人であるアドビシステムズ(株)は、日本語版の発売時は2000年第3四半期、価格は未定としている。
--米国では5月1日までに『Adobe LiveMotion』を注文した場合、200ドルをディスカウント、つまり199ドルで購入することができます。日本でも同じようなディスカウントが用意されているのでしょうか? また、『Macromedia
Flash』からの乗り換えキャンペーンは企画されていますか?
チャヴェズ氏「いいえ。日本市場では、ディスカウント期間を設けてはいません。また、乗り換えキャンペーンも考えてはいません」
--『Adobe LiveMotion』のインターフェースは、今月開発終了となったアドビ製品『Adobe
ImageStyler』に似ています。『Adobe LiveMotion 1.0』を『Adobe ImageStyler 2.0』として発売するといった計画はなかったのでしょうか?
ニネス氏「『Adobe LiveMotion』は、『Adobe ImageStyler』とはまったく異なるコンセプトの製品です。そのような話が出たことはありませんでした」
--『Adobe LiveMotion 1.0』は『Macromedia Flash 4.0』と比較すると、“if~then”の構文を使用できないなどスクリプティングの面で弱点があると思います。今後、スクリプティングを強化し、たとえば『Macromedia
Flash』の構文をサポートする予定はありますか?
ニネス氏「Flashコンテンツの制作者の多くは、強力なスクリプティングを必要としていません。しかし、強化するに越したことはありませんので、『Adobe
LiveMotion1.0』出荷後に検討してゆくことになると思います。『Macromedia
Flash』の構文については、互換性をもたせる計画はありません」
--『Adobe LiveMotion』の次期バージョンでは、SVGのサポートが発表されています。SVG以外に強化される機能について教えていただけますか? たとえば、『AdobeLiveMotion
1.0』ではFlash (swf)フォーマットの出力が可能ですが、次期バージョンで取り込みを可能にするといった計画はないのでしょうか?
ニネス氏「想像のとおりです。『Adobe LiveMotion』の次期バージョンでは、Flash(swf)のリバース機能の追加を計画しています」
--先日インターフェースが紹介された『Macromedia
Flash 5』では、強力なベクター描画機能が追加されていました。これに対抗するための機能強化は計画されていませんか? たとえば、3Dオブジェクト作成ツール『Adobe
Dimensions』の機能を取り込んでしまうような?
ニネス氏「たいへん素晴らしい質問ですね。しかしその質問には、今、はっきりとお答えすることができません。ですから、とても曖昧に答えておきます(笑)。そうですね、『Adobe
LiveMotion』の将来のバージョンでは、『Adobe Dimensions』の機能を取り込み、3Dオーサリング機能を備えた製品となってもよいのではないでしょうか。どうぞご期待ください(笑)」