このページの本文へ

コンピューターを使って、開かれた“未来のまなびや”を作るためには?――第4回情報通信セミナー開催より(前編)

2000年02月03日 00時00分更新

文● 天野憲一

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

1月30日、兵庫県立姫路工業大学において“ネットディで創ろう、開かれた学校”と題して第4回情報通信セミナーが開催された。兵庫県では、昨年10月から11月にかけて県内6つの小中学校で“ネットディ”が実施され、大きな関心を集めている。

同セミナーは、兵庫ニューメディア推進協議会代表幹事の光森史孝氏によるあいさつからはじまった。

「“ネットディ”に関わることで大きな人間のつながりができ、学校とコミュニティーのつながりを見直せるきっかけとなった。今後、地域、社会、教育などを考えていくうえで、“ネットディ”は大きな契機になるだろう。この運動をさらに広めて、新しいコミュニティーとの関係を作っていく場にしていきたいと思っている」

光森氏によるあいさつ 光森氏によるあいさつ



コンピューターがあっても、情報の通り道がなければ意味がない

基調講演は、千葉大学および関東学院大学講師で1級建築士、そして未来教育デザイナーである鈴木敏恵氏により、“~それは、新しい絆~ ネットディで未来教育!”と題して行なわれた。氏の自己紹介と自身の学校の思い出から、女性がまだ少なかった建築業界へ進んだ当時のこと、そこでいろいろなことを学び、自分が図面にしたものを現場で形にしてくれる人々がいることに大きな感動を覚えたことなどを回想した。

未来教育デザイナー、鈴木敏恵氏未来教育デザイナー、鈴木敏恵氏



やがて、鈴木氏は学校建築に関わるようになる。新規に建てられる学校はたくさんあるが、その中で情報通信を考慮した設計が少ないことに懸念を感じたという。それが“ネットディ”に関わるきっかけともなったようだ。

続いて、鈴木氏はさまざまな学校での教育への取り組みを紹介した。まず、沖縄本島と北大東島を衛星通信で接続した遠隔教育を紹介。モニターを介しての合同授業だが、生徒にも先生にも380km離れているという意識はない。授業上の班分けも2校の児童が混ざり合っているなど、非常にうまくいっている例である。

自ら設計した校舎について語る鈴木氏自ら設計した校舎について語る鈴木氏



カナダの学校では、教育にもコンピューター技術にも詳しいテクノロジーコーディネーターが学校に配置されており、重要な役割を果たしていると言う。カナダのバーナディーセカンダリースクールでは、授業内容をモニターに映像として、あるいは文字情報として表示することで、聴覚障害がある子供たちも普通に授業を受けられる。

こうした体験を通じて鈴木氏は「コンピューターがあっても、情報の通り道がなければ意味がない」と考え、ネットディが日本でも必要と思ったという。

ネットは“縁”、ディは“日”、ネットディは“縁日”

基調講演の後半は、少し趣向を変えて会場で参加者を対象に“私にとってネットディは○○○”という質問に対するアンケート調査をした。

会場内の参加者に用紙を配り、その場で集計した結果、“情報テクノロジー”、“未来”、“心”、“人(絆)”、“教育”という大きな5つのカテゴリーに分けられた。このような結果に対し、鈴木氏は、「ネットは“縁”、ディは“日”、ネットディは“縁日”だ」とした。

アンケート結果の発表アンケート結果の発表



そのほかにも基調講演の中では、壇上では“ネットディ”を実施した安室東小学校の児童たちが、“ネットディ”のメンバーに手作りの感謝状を手渡すというセレモニーも催された。

“ネットディ”メンバーに感謝状を手渡す児童“ネットディ”メンバーに感謝状を手渡す児童



最後に鈴木氏は、受賞した某電器メーカーのショールームの設計についてのエピソードを語った。「教室内だけでなく、校内LANを装備した“未来のまなびや”を目指した。新しいものだけでなく、ぎしぎし音がするような古い階段を取り入れた。自分の行動に反応が返ってくることが重要だ。愛はこたえ合うこと」とし、基調講演をしめくくった。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン