ネットワークプロバイダーのアジア・グローバル・クロッシング社は、(株)インターネット総合研究所(IRI)と合弁で、データセンターの運営を主な業務とするグローバルセンター・ジャパン(株)を設立すると発表した。
新会社は現在設立準備中で、社員は20人程度の予定。社長は数週間以内にアナウンスするという。すでに都内に1万平方mの新築社屋を確保しており、4月のサービス開始を予定している。同社に対する出資比率はアジア・グローバル・クロッシング社が89パーセント、IRIが11パーセント。初期投資額は約6000万ドル(約63億円)で、年内にサービスの拡充を図るとしている。
新会社では、サーバーとネットワークの設備を備えたデータセンターを運営し、主にウェブホスティング事業を行なう。ネットワークは米グローバル・クロッシング社が敷設する太平洋横断ケーブルの“PC-1”に接続され、同社のネットワーク網と直結する。同社は世界中で7ヵ所のデータセンターを運営しており、今回の東京を含め、12ヵ所のデータセンターを新設するとしている。
都内のホテルで開催された設立発表会の席上、アジア・グローバル・クロッシング社CEOのジャック・スキャンロン(Jack
Scanlon)氏は、データセンターの重要性について、「ソフトウェアを製品としてではなく、サービスとして供給することができるようになる」と説明。また、「ヤフーはサービスをFDで提供していないでしょう」と語り、サービスがネットワーク経由で提供されている現状を指摘した。
また、米グローバル・クロッシング社が太平洋地域と東南アジアで光ファイバー網を敷設していることをアピール。グローバルセンター・ジャパンが同社のケーブルによって欧米と直結していることを示し、「東京にデータセンターを置くことで、顧客への対応をより素早く行なうことが可能になる」と強調した。
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アジア・グローバル・クロッシング社のCEOで、米グローバル・クロッシング社の副会長を兼任するジャック・スキャンロン氏 |
グローバル・クロッシング・ジャパン(株)の社長を務めるダリル・グリーン(Darryl
E. Green)氏は、ウェブホスティング事業の重要性について、「今後は年85パーセントの成長を見せ、2003年には50億ドル(約5250億円)超の市場となる」と、具体的な数字を挙げて説明した。
グローバルセンター・ジャパンを設立した狙いについては、「あらゆるサービスはインターネットで供給されるようになる」と前置きした上で、「今後はより高い安全性が要求されるようになる」と指摘。そのため、「ダイレクトにバックボーン(米グローバル・クロッシング社のケーブル網)に接続していることが、大きなアドバンテージになる」と語った。
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グローバル・クロッシング・ジャパン(株)の代表取締役社長であるダリル・グリーン氏。'99年8月に、日本AT&T(株)の社長から転進したばかりだ |
発表会への出席を予定していた藤原洋IRI所長は、米東部の大雪により帰国が遅れたため欠席。代わりに、ビデオストリーミング映像による挨拶が放映された。
ASPコンソーシアム・ジャパンの副会長も務める藤原氏は、グローバルセンター・ジャパンにおける目的の一つとして、ASPのインキュベーションを挙げた。ASPの育成を視野に、ASP向けのウェブサーバーを収容する拠点として、同センターを活用していきたいと語った。
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出張先のボストンから、ビデオストリーミング映像で挨拶を行なった藤原洋IRI所長 |
IRI取締役の大和田廣樹氏は、データセンターとユーザーを結ぶ“ラストワンマイル”について、「IRIは(DSLや無線など)常時接続の提供会社に対してコンサルティングを行なっているので、それらの企業とアライアンスを組んでいきたい」と語った。またASP事業に関しては、IRIがノウハウの提供やコンサルティングを行ない、それに併せてデータセンターを活用したいとした。
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IRI取締役の大和田廣樹氏 |
