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BtoCビジネスの変化~アメリカの最新事例をさぐる! バーチャルドールが画面上で試着も――第2回“インターネットビジネスセミナー”講演より(前編)

2000年01月25日 00時00分更新

文● 服部貴美子 

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去る19日に、京都商工会議所にて、“インターネットビジネスセミナー”が開催された。このセミナーは、昨年12月7日に“ネット革命のうねり~盛り上がるインターネットビジネス最前線~”と題して行なわれたものの続編にあたる。

京都商工会議所での模様
京都商工会議所での模様



近年、一般ユーザーにもインターネットが急速に普及しはじめ、インターネット主導で情報化社会が進行している。本セミナーは京都能率協会の主催により、インターネット市場の変化を一早くつかみ、素早く市場に即応した国内外の優良サイトと注目サイトの成功の秘訣を紹介するもの。伸びる会社・成長企業への新たな一歩となるヒントを経営者たちに見つけてもらおうというのが目的で、参加者は、同協会に加入している会員を中心に、数十名にのぼった。本稿は、午前に行なわれた講演の模様を報告する。

最初から買物を目的にアクセスするユーザーが急増。女性は80パーセント増という脅威的な伸び

午前中には、グローバルリンクコンサルティンググループの有元美津世氏を講師に招き、“インターネットビジネスのしくみ”~先進国・米国の注目企業をチェック~をテーマに、2時間にわたる講演が行なわれた。

まず、最初に名前が挙がったのが、自動車販売業の『オートバイテル』である。インターネットの持つリサーチ力やスピード感をフルに活用し、性能・価格の比較表示から、問い合わせに対する48時間以内のクイックレスポンス、さらに電話による価格交渉など、従来の店頭販売にはない特徴が消費者を引きつけている。

「オートバイテルのディーラーは、自動車販売業以外から入った人が多い。マーケティングやインターネットに関する知識のある人を、企業サイドは求めている」と説明。3000人以上の専属ディーラーによるきめ細かいサービス、例えば自動車保険などの申し込みも購入時に済んでしまえば、購入者にとってもメリットは大きい。
有元氏によれば「米国のネット元年と言われた'98年のEC売り上げは149億ドル。'99年は2倍以上になることが確実視されている」。さらに、詳しくデータを見てみると、インターネットユーザー自体の伸び率が十数パーセントであるのに対し、買物客(ショッピング目的でネットに接続した人)は、4割増、なかでも女性は80パーセント増という脅威的な伸びを見せており、それにともなって、ネット販売の商品構成も衣料品が急伸するなど、大きな変化を見せた。

しかし、これは既存のマーケットとは別の新しい市場が生まれ、消費が拡大したわけではない。「インターネットショッピング体験者のうち、35パーセントはオフラインで買物をする機会が減ったと答えており、38パーセントはカタログを使用する機会が減ったとこたえている」ことからも、既存システムに食い込み、そのポジションにとって代わっているオンラインショップの姿が見えてくる。

物流ラインを補完する、オンラインとオフラインの融合によるマルチチャネル化

そこで、大手小売店が、新規立ち上げ、提携、買収等のあらゆる手法で、オンラインストアに進出してきた。逆に、オンラインで名を挙げたショップが、オフラインの世界と手を結ぶ例もある。AOLによるタイムワーナーの買収などは、記憶に新しいところだろう。「たとえば、在庫状況を事前に確認できたり、チェーン展開や提携により、自宅の近くで商品の受取や返品ができたりすれば、従来の通販の欠点を補うことができる。物流ラインなど、インフラの強さがバーチャルの弱点であることに、ネット系の企業は気がつき始めているのでは?」

こうしてオンオフのいずれかに統合するのではなく“マルチチャネル化”を実現することで、消費者から見ると“いつでもどこでも何でも買える”というサービスが完成することになる。

では、成功しているネットショップは、具体的にどのようなサービスを行なっているのだろうか。

“パーソナルモデル化”が進むネットショップ。ドラッグストアコムは売上ゼロという実績のまま、株式公開

まず、女性ユーザーの増加でマーケットが膨らんだ衣料業界では、“パーソナルモデル化”が進んでいる。たとえば、『ランズエンド』では、ユーザーが、自分の髪型や肌の色、体型などを登録することにより、自分とそっくりのバーチャルドールが、画面上で試着。また、電話かチャットを使って、店員と直接話ができる“ライブサポート”も好評だ。その他、家族や友人と、同じにアクセスし、一緒に買物をしたり(一方が支払いを負担することも可)もできる。

同様に、パーソナライズが求められているのが、1600億円の大市場と言われているドラッグ業界である。『ドラッグストアコム』は、1700点もの商品を検索できるほか、対面販売では抵抗のある商品の購入が気軽にでき、薬剤師にもメールで相談しやすいなど、オンラインならではの利点も多い。米国独特の保険法のからみから、多くのショップがリアル店と提携しているが、いち早く提携を決めた同社は、なんと売上ゼロという実績のまま、株式公開を果たした。

切手販売の『スタンプス・コム』は、'99年8月にデジタル切手の商業化の認可が下りたことによって、台頭してきた。大企業ならメーリングマシンの方が便利だが、SOHOをターゲットに、ワードやアウトルックといったビジネスソフトとの機能統合や、宛名ラベルメーカーとのマッチングを進めることで、業績を伸ばす可能性を秘めている。

有元氏は、カリフォルニア大学経営学部修士過程を卒業、在米14年という経歴の持ち主で、米国EC調査、および技術ライセンスや製品のしくみなど、日米ハイテク企業の戦略に詳しい。今回は、著書『インターネットビジネスのしくみ』にも掲載できなかった、'99年度後半のアメリカのEC業界のビジネスプラットフォームについても、詳しく説明していた
有元氏は、カリフォルニア大学経営学部修士過程を卒業、在米14年という経歴の持ち主で、米国EC調査、および技術ライセンスや製品のしくみなど、日米ハイテク企業の戦略に詳しい。今回は、著書『インターネットビジネスのしくみ』にも掲載できなかった、'99年度後半のアメリカのEC業界のビジネスプラットフォームについても、詳しく説明していた



新しいビジネスモデルのサイトが続々と登場。10代ユーザーの増加による、新市場の登場も?

もともとは、集客目的で開設されはじめた“コスト割れ販売”のサイトにも変化が見られる。ソフトバンクが出資している『バイ・コム』は、「他のサイトの価格を比較表示した上で、他社より高ければ値下げ交渉に応じる」と低価格保証制度を採用し、昨年度9ヵ月間ですでに4億ドルを売り上げる大ヒット。ほかにも航空券やホテルの宿泊予約の価格を買い手が提示できる『プライスライン・コム』、買い手がッ欲しい商品を掲載する逆オークションの『イーウォンテッド』など、新しいビジネスモデルのサイトが続々と登場してきた。

「ショップの比較の基準は、価格だけではない。たとえばパソコンならば、デザイン、重量、RAMサイズなども重要なポイントであり、それらの総合評価を求めるユーザーが増えてきた」。また、店頭からもアクセスできるよう、スリーコムのパーム仕様にしたり、居住地域や趣味、嗜好などを事前に登録しておくパーソナリゼーションを進めているサイトも増えている。

有元氏は、最後に“年令別インターネット利用者数”で10代の伸びが目立つことについて触れ、「ジェネレーションYと呼ばれる5~20歳の若年層は、不景気を知らずで楽天的な上、ベビーブーム世代の親と2代そろって購入意欲が旺盛」と分析。親のクレジットカードで、子供がオンラインショッピングをできる“子供向けEC市場”もすでにスタートしており、これからの市場動向に注目したいと述べて講演を締めくくった。

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