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ヒットサイトの仕掛け人が語る、女性層とインターネットビジネス――第2回“インターネットビジネスセミナー”パネルディスカッションより(後編)  

2000年01月25日 00時00分更新

文● 服部貴美子 

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本稿では、19日に京都商工会議所で開催された“インターネットビジネスセミナー”の後半を報告する。後半のパネルディスカッションは、人気サイトの企画運営にたずさわる東西2つの会社の女性社長をパネリストに招き、女性とインターネットビジネスをテーマに繰り広げられた。ナビゲーターは(株)京都経済新聞社の築地達郎氏。

京都経済新聞社の築地氏。日本経済新聞社を退職後、'97年に京都経済新聞社を設立。当初のコンセプト“小さな新聞社”のネットワーク作りに常にこだわり続け、地元のIT産業、ネットベンチャーなどを、一般紙とは違う切り口から追いかけている
京都経済新聞社の築地氏。日本経済新聞社を退職後、'97年に京都経済新聞社を設立。当初のコンセプト“小さな新聞社”のネットワーク作りに常にこだわり続け、地元のIT産業、ネットベンチャーなどを、一般紙とは違う切り口から追いかけている



女性向けコンテンツで実績のある2人のパネリストが登壇

ここ数年のインターネットユーザーに占める女性の割合を調べると、特に新規ユーザーの女性比率が著しい伸びを見せている。今後のネットビジネスを考えていく上で、こうした女性層の捉え方が、そのサイト運営の成否を決めるカギといっても過言ではない。

今回、パネリストとして参加した石原亜矢氏、森まりあ氏の2人は、いずれも国内のコミュニティーサイト、ことに女性向けのコンテンツにおいて、すでに成功、実績を上げているプロディーサーであり、コンサルタントである。

石原氏(左)はプロバイターに転職したことがきっかけでインターネットの世界に踏み込み、(株)アールシーワイ・ビジョンを設立。現在は、ホームページの企画制作、データ入力、インターネット接続サービスを含む“WebStyle”事業を3本柱に躍進中。年商は約1億円('99年見込み)。一方、大阪在住の森氏(右)は、元モデルの経歴を持つ経営コンサルタント。海外でのインテリアコーディネーターの経験、Jリーグのキャラクター商品の開発など、ウェブコンテンツの企画立案に多彩な才能を発揮している。在宅ワーカーへのネットワーク“WaiWai-Net”も持つ
石原氏(左)はプロバイターに転職したことがきっかけでインターネットの世界に踏み込み、(株)アールシーワイ・ビジョンを設立。現在は、ホームページの企画制作、データ入力、インターネット接続サービスを含む“WebStyle”事業を3本柱に躍進中。年商は約1億円('99年見込み)。一方、大阪在住の森氏(右)は、元モデルの経歴を持つ経営コンサルタント。海外でのインテリアコーディネーターの経験、Jリーグのキャラクター商品の開発など、ウェブコンテンツの企画立案に多彩な才能を発揮している。在宅ワーカーへのネットワーク“WaiWai-Net”も持つ



独特の難しさがある女性サイト。成功させる3つのキーワード

まずは、自己紹介を兼ねて、運営に携わっている女性向けコンテンツの概要やポリシーについて、意見交換がなされた。

'95年ごろからインターネットに触れている石原氏は「女性ユーザーが3割~4割と言われる現在、“女性向け”という概念が薄れてきている」と語る。とはいえ、「たとえば、20代、既婚、子供なし、無職というプロフィールがあったとして、女性の場合は明日にでもそれらのすべてが変わってしまうかも」という独特の難しさがあることは否めない。

そういった女性ユーザーに満足してもらうために、'98年以来、石原氏の運営する“WebStyle”は3つのキーワードを掲げてきた。1つ目がナビゲーション、2つ目がパーソナライゼーション=会員登録によるページのカスタマイズ、最後がコミュニケーションだ。

コミュニケーションに関しては、個々のコンテンツで完結するのではなく、「他の女性向けサイトの運営者とのつながりを生かし、いくつかのサイトが共同で催しをするといったケースも考えられる」と述べ、実際にWebstyleの冠のついたオフライン試写会を共同開催する予定があることを紹介した。

「私にも、女性ユーザーの考えていることは分からない。ただ、ウェブには、ダメならば比較的容易に低予算で変更できるという強みがあります。たとえば、読み物コンテンツが不評だったら、それをメールマガジンでの配信に変えてみるとか、工夫すればいい」。また、女性は実利に結びつくものが好きなので、「女性向けのオンライントレードや、IR活動*なども考えて、世界の動きに興味を持ってもらうのもいいのでは」と提案した。

*IR活動:investors relationsの略。自社株の投資価値を高めることなどを最終目標とした、株主や投資家向けの広報活動をいう

ちなみに、WebStyleのユーザーのコアが35歳前後だが、最近では50~60歳代の主婦も「ご近所で誘い合って入っているような感じ」で急増しているという。石原氏は「属性を広げるために子供向けサイトを運営したり、先ほどの試写会のようにインターネット以外の世界でも、WebStyleブランドを打ち出していきたい」と語った。

すべてアウトソーシング要員でまかなう

関東出身の森氏は、中小企業の多い大阪を中心に活動拠点を移し、ホームページをつくるだけでなく、売上アップの相談にも乗れるパートナーシップ作りに力を注いでいる。また、全国的に主婦のネットワーク(会員約1万人)を持ち、オンラインのマーケティング調査なども実施している。会員のレベルは、初心者から高度なテクニックと豊富な経験を持つクリエイターまでと幅広く、すべてがアウトソーシング要員だ。

コンサルティングを通じて、女性ユーザーについて感じているのは、「数は確実に増えているし、ショッピングなどの利用も積極的。肝心なのは、“離反率”(一度サイトを訪れながら、二度と来なくなる人の割合)を下げること」と説明。また、「子供向けに企業のイメージアップを図るところも多い」と、子供をターゲットにしたコンテンツに注目している点では、石原氏と共通していた。

サイトの立ち上げから宣伝まで、成功のノウハウを伝授

後半は参加者からの質問が集められ、パネリストが答える形で議論が展開された。

まずは、オリジナルコンテンツを立ち上げるための費用とPR法について。

石原氏は、「初期投資が約1000万円。しかし、作った後もトライ&エラーの繰り返し」と述べた。広告については、「ユーザー層にぴったりはまる、適当な媒体がない」ため、実用的な女性ページを開設しているオーナーに個別に声を掛け、モニター的に使ってもらうなど、口コミの力を活用したという。

さらに、女性ユーザーの特性としては「不満を言いやすい、居心地がいい、安全であるという条件を満たしたお気に入りのサイトを見つけると、ずっと定着する傾向がある」(石原氏)、「プレゼントが大好き。それもパッケージが凝っていたり、メッセージが添えてあるなど、ちょっとしたサービスの付加に敏感。会員制なら、会員限定の割引サービスがあるといい」(森氏)と分析した。こうしたサービスを提供するために、雑誌などでは、かなりの営業力を使うのだが、「それもネットでできてしまうのがいいところ。ネットとリアルイベントをうまくつなげるなど、工夫すればクライアントも納得する」(森氏)。

顧客数の増加による“ワン・ツー・ワンマーケティング”の作業の煩雑化について、森氏は、「ホームページの世界では、3日で1万人動員というのは、あっという間。だから、初期費用がかさんでも、最初から多人数に対応できるプログラム、たとえば自動メール送信の仕組みを準備することなどを、お勧めしている」と述べた。もちろん、定型業務はアウトソーシングするのも一案だ。

実店舗で導線に沿って、購買への落とし込みを考えるのと同じ考えで

また、企業向けのコンテンツのコンサルティングの経験から、「女性向けでも男性向けでも基本は同じ」(石原氏)と強調し、「実店舗で導線に沿って、購買への落とし込みを考えるのと同じように、オンラインショップでもページ展開を考えていけばいい。実店舗を閉鎖してバーチャルのみで成功しているお店は、今までに集めたデータベースを武器に活用できる仕組みを作っただけです」(森氏)と参加者を激励した。

2人は、サーチエンジンの効果的な活用についての質問に対し、メタタグの設定や、ポータルサイトの使い分けなどについて触れながら、「最終的には、“深い話”があるかどうかがポイント。たとえば、マテリアルの会社なら、その素材そのものについて、一般の人が知らないような知識やエピソードを盛り込んでおくことです。そうすれば、雑誌などで取り上られるチャンスが増えて、宣伝効果が上がります」(石原氏)と、マスコミの利用法を紹介。

最後に、ビットバレーに代表されるIT業界のフィーバーぶりについて、同業である石原氏の冷静なコメントが飛び出し、司会の築地氏が「クールな経営者の戦術的な動きに、今後も期待したい」と述べると、場内は拍手に包まれた。

なお、このセミナーは、昨年12月7日に“ネット革命のうねり~盛り上がるインターネットビジネス最前線~”と題して開かれたものの続編にあたり、第3回(最終回)は、来る2月17日の午前10時より、同開場にて開催される。テーマは“アウトソーシングが会社を強くする”。(株)ティー・ディー・エルの代表取締役、山田英司氏らを講師に招く予定である(詳細、申し込みは、京都商工会議所のホームページを参照)。

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