このページの本文へ

米Handspring、Palm OSを採用したPDA『Visor』を発表--「J-OSはVisorに対応させる」とJ-OS開発者の山田氏

1999年09月21日 00時00分更新

文● 千葉英寿/編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

米Handspring社は14日(現地時間)、Palm OSを搭載したハンドヘルドデバイス『Visor(バイザー)』を発表した。Visorは、米スリーコム社からPalm OSの正式なライセンシーを受けた初めての製品となる。

米Handspring社の『Visor』 米Handspring社の『Visor』



Visorには3モデルがラインナップされている。RAMを2MB搭載し、クレードルが付属しない『Visor Solo』が149ドル(約1万5900円)。クレードルが付属する『Visor』が179ドル(約1万9000円)。RAMを8MB搭載し、クレードルと皮製ケースを付属した『Visor Deluxe』が249ドル(約2万6600円)となっている。ちなみに2MBのRAMとクレードルを付属した『Palm III』の実売価格は260ドル程度(約2万7800円)となっており、これと比較するとVisorには戦略的な価格設定がなされている。

Visorのサイズは、縦121×横76×厚さ18mm/重さ約150g。色はVisorとVisor Soloがグラファイトのみ、Visor Deluxeではグラファイト/ブルー/アイス/オレンジ/グリーンの5色を用意。製品の出荷は10月を予定している。

外部との接続はクレードル経由でUSBを利用できるほか、同社が特許を出願中の“Springboard(スプリングボード)”という独自のインターフェースを備えている。本体背面上部に用意されたスプリングボード用のスロットは、“オープンフェース”方式を採用しており、モジュールの形状を自由に設計することが可能となっている。

両側の溝にスライドさせることでモジュールを装着する“スプリングボード”。ゲームボーイのスロットに似ているが、モジュールの厚みに制限がないのが特徴だ 両側の溝にスライドさせることでモジュールを装着する“スプリングボード”。ゲームボーイのスロットに似ているが、モジュールの厚みに制限がないのが特徴だ



現在のところ、FAXモデム(33.6kbps)/フラッシュメモリー(8MB)/バックアップ/ゲームソフト『Tiger Woods PGA Tour Golf』という4種類のモジュールがラインナップされている。なお、モデムの価格は129ドル(約1万3800円)、ゲームソフトは29.95ドル(約3200円)。

ascii24では、このVisorについて、Palm/WorkPadの代表的なユーザーとして知られる田中ポチ氏と、J-OS開発者である山田達司氏に感想を伺った。聞き手はフリーライター/エディターの千葉英寿。

--Visorでもっとも評価したいところはなんですか?

山田氏 「端的に言うと、やっぱりすごいのはスプリングボードだと思います。コンシューマー向けデバイスにとって拡張性が必要だ、というのは一見当たり前な理屈に見えます。しかし、その方法論がすごいですね。ふつう拡張性と言うとPCカードとか、コンパクトフラッシュを考えるのですが、独自の規格を持ってきたのは、すごくチャレンジングなことです」

「今回は天才Jeff*がやることだから、と肯定的に受け止めていますが、これをふつうのメーカーがやったら、“なんでわざわざ独自の物を”とか、“コンパクトフラッシュだったらいっぱい製品があるのにバカだねぇ”とか言われていたことでしょうね」

*
Jeff Hawkins(ジェフ・ホーキンス):Handspring社会長。PalmおよびPalm OSの開発者で、米Palm Computing社(現在は米スリーコム社の一部門)を'92年に創立。'98年、Donna Dubinsky氏と共同でHandspring社を創立した。

「これもすべて、現状のPCカードやコンパクトフラッシュでは真のプラグ・アンド・プレイが実現できない、という判断に基づくものなんでしょう。いかに彼らが本質的に重要な物を見抜き、その実現のためにはチャレンジをおそれないということを示していると思います」

「ともかくiMacがさまざまな批判を浴びながらレガシーなデバイスをすべて切り捨てて、結果的には成功したのと似ています。いや、本質的なメリットが非常に大きいことを考えるとよりすごいことかもしれません」

--やはりスプリングボードは話題の中心になりますね。デザインについてはどうでしょう?

田中氏 「製品のデザインはやっぱりスリーコムのものにかなわないと思いますが、あのスペックをあの価格で出してきたことは評価に値すると思います。製品コンセプトもスリーコムがやっていないところを狙ってきているので、ユーザーとしては手放しで歓迎できる製品ですよね。Visorの登場でPalm OS搭載製品の選択の幅がぐっと広がった感じがします」

--これまでのPalm/WorkPadは、パソコンとの協調性に対する評価が大変高かったわけですが、それについてはどうでしょうか?

田中氏 「iBookのことなどを考えると、個人的にはUSBクレードルに一番そそられています」

山田氏 「そうですね。USBを標準にしてしまったのは、互換機だからこそできたと言えます。スリーコムではなかなかできないことだと思います」

「とにかく、互換機=チャレンジャーとしては非常によくできたモノだと思っています。開発者の多くはHandSpring社にものすごい敬意を表わしていますから、Visorは多くのハード、ソフトを集め、商業的にも成功するのではないかと思っています」

--お2人はVisorを手に入れますか?

田中氏 「Macに標準で対応していますので、Macユーザーとしてはこれは買って試してみる価値ありでしょう(笑)。もし製品の使い勝手、Macとの相性がよかったら、“自分で日本語化する”というハードルはあるけど、iBookやiMacユーザーにも勧めたいですね。楽しみにしています。ちなみに山田さんは5台買うらしいですよ!?」

--山田さんはまたカバンから出すデバイスが増えちゃいますね。日本語化の話がでましたが、J-OSはどうしますか?

山田氏 「もちろんJ-OSはVisorに対応させるつもりです。私にとってはそれが一番の関心事ですね」

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン