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日本でも電話機能モジュールを計画――『Visor Edge』発表会詳報

2001年04月04日 23時16分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ハンドスプリング(株)は4日、都内のホテルで記者発表会を開催し、米ハンドスプリング社のドナ・ダビンスキー(Donna Dubinsky)社長兼CEO(※1)らが薄型アルミボディーの新モデル『Visor Edge』を発表した。ダビンスキー氏は「Visorはスプリングボードがポイント」と多数のモジュールを紹介し、ほかのPalm製品との違いを強調した。

※1 ドナ・ダビンスキー氏は、現ハンドスプリングジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)会長が'92年に米パームコンピューティング社(現パーム社)を設立した際に参画し、米U.S.ロボティクス社に買収された後の'96年、初代のPalm OS搭載PDAである『Palm Pilot』を発売した。さらにU.S.ロボティクスが米スリーコム社に買収された後、'98年7月にホーキンス氏とともにハンドスプリングを設立した。

米ハンドスプリング社のドナ・ダビンスキー社長兼CEO
米ハンドスプリング社のドナ・ダビンスキー社長兼CEO

ダビンスキー氏はスピーチで「これまでハンドヘルドコンピューター市場は初代Palmが'96年に登場して以来、驚異的な普及を見せてきた。この市場は今後の20年間革新を続けていくと考えている」と切り出した。Visorの特徴であるスプリングボードモジュールについて「VisorをほかのPalmハンドヘルドと差別化する上で、電源を入れたままプラグ&プレイが可能なスプリングボードの採用は非常に重要。最近スプリングボードモジュールとして、Visorを電話に変える『VisorPhone』を発表した。VisorPhoneは残念ながらGSM方式で日本では利用できないが、年末までにはVisorPhoneに代わる製品を提供できるように考えている」と、電話機能モジュールを開発中であることを示唆した。

電話機能モジュール『VisorPhone』
ハンドスプリングが米国で発表した電話機能モジュール『VisorPhone』

またソフトウェアについては「2000年12月に買収した米Bluelark Systems社も重要な会社」として、Bluelark Systemsのウェブブラウザー『Blazer』で表示した画面を見せながら「年末には日本でも(Blazerを)紹介できると考えている」と自社製のウェブブラウザーソフトを提供する考えを明らかにした。

『Blazer』によるウェブサイト表示サンプル
『Blazer』によるウェブサイト表示サンプル

そして「現在6ヵ国後の製品を発売しており、海外市場からの売り上げは非常に伸びてきており、ハンドヘルド市場が今後爆発的に伸びることを確信している。ハンドスプリングはこの市場で、製品、マーケットシェア、ユーザーに対する企業の姿勢までを含めてリーダーになりたい」とVisorにかける思いを語った。

ハンドスプリングの四半期ごとの売り上げ推移グラフ
ハンドスプリングの四半期ごとの売り上げ推移グラフ。1年間で3.5~4倍にも伸びている
ハンドスプリング(株)の小見山茂樹代表取締役社長
ハンドスプリング(株)の小見山茂樹代表取締役社長

ダビンスキー氏の後を受けて挨拶した小見山茂樹社長は、「日本のハンドヘルド市場におけるPalmハンドヘルドのシェアは約5割、残りをZaurusとWindows CE機が分け合っている状況だ。米国ではPalmハンドヘルドのシェアは9割に達しており、日本でもまだまだ伸びる。またスプリングボードモジュールは日本でも20種以上が発売され、今後もGPS、Bluetooth、バーコードスキャナーなどのモジュール(※2)が発売予定だ」と述べ日本市場でもVisorが着実に受け入れられていることをアピールした。実際、2001年1~2月期の売り上げ台数ベースのシェアでは18%と、Palmハンドヘルド機中トップとなっており、これにEdgeが加わることを考えると、小見山氏の言葉には説得力がある。

※2 日本で出荷中または出荷予定のモジュールは以下の種類がある。Bluetooth、デジタルカメラ、見えるラジオ、電子辞書、ゲーム、コミック、GPS、赤外線リモコン、モデム、ボイスレコーダー、MP3プレーヤー&ボイスレコーダー、バーコードスキャナー、ICカードリーダー/ライター、計測・制御用ADコンバーター、万歩計、ゴルフスコア管理、メモリー、無線通信、メモリーメディアアダプター。

2001年1~2月期の携帯情報端末の売り上げシェア
コンピュータ・ニュース社による2001年1~2月期の携帯情報端末の売り上げ台数シェア。ハンドスプリングは18%で、Palmハンドヘルド中トップ。2位パーム11%、同率3位ソニー、日本IBM9%。ちなみに全体のトップはシャープの25%

なお、Visor Edgeで採用された薄型スロット『エッジコネクタ』については、「仕様は公開しており、米国企業からいくつかの製品が登場する予定だが、ハンドスプリングとしてはあくまでメインはスプリングボードと考えている。日本では具体的な製品の話はない」(ダビンスキー氏)として、エッジコネクタは薄型化のための苦肉の策であり、今後もスプリングボードを標準拡張仕様として進めていくことを確認した。

ハンドスプリングは2000年6月に『Visor Deluxe』を発表以来、高いコストパフォーマンスと、数色のカラーリングを用意するといった戦略で、着実に売り上げを伸ばしてきた。

今回のEdgeでは、「厚い」「プラスチックで高級感がない」といった不満に応える薄型のアルミボディーを採用した。重さは136gと、『Palm Vx』(113g)や『m500』(101g)よりも重いことが多少気にはなる。ただしこれは、ボディーと同色としたアルミ製カバーや、ずっしりとしたスタイラスペンによるものと考えられ、ユーザーの満足感を重視した結果だろう。2001年に入ってPalmハンドヘルドは、今回のVisor Edge、パーム社のm500/m505、ソニーの新CLIE『PEG-N700C』など各社の独自色が強まり、ユーザーには選択肢が広まって一層面白くなったといえる。

クレードルに載せたVisor Edge(メタリックシルバー)
クレードルに載せたVisor Edge(メタリックシルバー)
Visor Edge(メタリックレッド)
Visor Edge(メタリックレッド)。右下の切りかきのように見える部分が充電インジケーター/アラーム兼用のLEDの付いた電源ボタン
Visor Edge(メタリックブルー)と、WorkPad、CLIEとの比較
1色だけ5月発売となったVisor Edge(メタリックブルー)と、WorkPad、CLIEとの比較
Visor Edge(メタリックブルー)のカバーを閉じた
Visor Edge(メタリックブルー)のカバーを閉じたところ。ハンドスプリングのロゴが見える
Visor Edge(メタリックブルー)の背面
Visor Edge(メタリックブルー)の背面。こちら側にはハンドスプリングロゴと“Palm Powered”ロゴが入っている
Visor Edge専用ハードケース
Visor Edge向けオプションとして登場したハードケース。閉じた状態でもアラームがわかるよう、LEDの部分に穴があいている
Visorと携帯電話を無線で接続し、インターネットアクセスを可能にするアダプター
(株)ケンウッドが発売を検討している、Visorと携帯電話を無線で接続(Bluetoothではなく独自仕様)し、インターネットアクセスを可能にするアダプター。左に見える金色のものがスプリングボードモジュール

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