(株)富士通研究所は、ペン入力の手書き文字認識で利用者が入力した文字のくせを学習して認識精度を高める技術を開発した、と発表した。
手書き文字認識は字の形を認識して候補文字を複数出力する字形認識部と、前後の文字との連なりから最終的に出力する文字を決定する文脈処理部の2つで構成されている。新技術は、従来のように字のくせを字形で認識するのではなく、文脈から判断する点に特徴がある。
例えば利用者が“富士通”と手書き入力した場合、くせのある字形から誤って“富さ通”と出力されたとする。この時、利用者が候補選択を使って“富士通”に訂正すると、この訂正結果を自動的に学習して“富士通”の文字列を辞書に登録する。次回からは同じ文字列が入力された場合、字形認識部が誤って認識しても、文脈処理部が辞書に登録された文字列と入力された文字列とを照合して自動的に訂正し、正しく出力されるようになる。
従来の方式では、くせのある字の字形そのものを登録する必要があったため、1文字ずつ登録する作業が必要だった。新技術では出力結果を利用者が訂正するという通常の操作で学習が行なわれるため、従来方式と比べ学習の手間が省けるという。また1つ1つの字形ではなく文字列を登録するためメモリー量も少なくて済むという。
富士通では今後、新技術を同社のペン入力製品に採用していく方針だ。
技術の詳細は、今月20日に大阪大学で開かれる第84回情報処理学会ヒューマンインターフェース研究会で発表される。