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ついに動き始めた国内インターネットデータセンター(その1)

インターネットデータセンターが必要な理由

2000年10月17日 02時51分更新

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 今年に入って、日本でも「インターネットデータセンター(IDC)」という言葉をよく耳にするようになった。実際、国内では、現在サービス開始ラッシュを迎えており、IDCへの関心は日々高まる一方である。確かに、これまでにも「データセンター」という顧客のシステム運用を受託するサービス(施設)はあった。だが、ここにきて注目を集めているのは「インターネット」という冠を付けたデータセンターである。まずは、この新しいタイプのデータセンターがどのような背景で生まれてきたのかを踏まえながら、今必要とされている理由を整理しておこう。

アメリカのEビジネスを支えたインターネットデータセンター

 「インターネットデータセンター」と呼ばれるだけあって、IDCは「インターネットに接続したデータセンター」であることには違いない。だが、旧来のデータセンターのように顧客から預かった業務システムの運用管理を目的としたアウトソーシング事業ではない。では、顧客はIDCに何を求めているのか?答えは「施設(ファシリティ)」と「バックボーン回線(コネクティビティ)」だ。誤解を恐れずにいえば、IDCの最も基本的な機能は、インターネットサーバを安定して動作させる環境と、高品質のネットワークコネクティビティを提供することである。このように考えれば、IDCを利用する顧客の姿が見えてくるだろう。信頼性があり、かつ高いパフォーマンスが求められる、ミッションクリティカルなサーバ運用を必要としているEビジネス企業である。

 IDCの起こりは、アメリカでドットコム企業と呼ばれるEC企業が生まれ始めた1995年~1996年頃である。「早い者勝ち」「一人勝ち」の世界であるインターネットビジネスでは、ドットコム企業はできるだけ早期に、しかも信頼性のあるインフラを整備することが成功の第一歩である。だが、それは特に新興の企業にとっては時間的にもコスト的にも難しい。IDCはそうした背景を受け誕生したものだ。ピーエスアイネットといったISPは自社のサーバ設備の一角を貸し出すことで(ホスティング)、あるいはエクソダスやアバヴネット、グローバルセンターといったIDC事業者は専用の施設を作ってそこにサーバを持ち込んでもらうことで(ハウジング)、Eビジネスに必要なネットワーク回線とサーバ運用環境を提供し始めた。IDCはこうしたECのスタートアップ企業に対するインフラのアウトソーシングビジネスとして始まったものである。

 また、無事に事業を開始できたとしても、ビジネスが軌道に乗れば当初のインフラは早晩足りなくなる。ECサイトのインフラには、ユーザーのアクセス状況に応じていつでも設計を見直し、再構築できるというスケーラビリティが必要だが、アウトソースのインフラであるIDCはこうした要求にも柔軟に対応できる。極端な例では、新製品のセールや特別キャンペーンといった「イベント」がある時だけ、回線の帯域を確保するといったことも可能である。ユーザーが自前でサーバ構築を行なうインハウス運営でこれを行なおうとすれば、ROI(Return On Investment:投資収益率)の面からほとんど不可能である。

 このように、インターネットビジネスでの成功は、アイデアをいかに早く事業化できるかという「スピード」、サーバを24時間365日確実に連続運用できる「信頼性」、良好な接続環境を常に維持するための「スケーラビリティ」がカギになる。IDCを利用すれば、このすべてが手に入る。インターネットの普及とともに急成長したアメリカのEビジネスは、IDCのインフラによって支えられていたのである。

国内のEビジネスの成熟に欠かせないIDC

 冒頭で紹介した通り、日本では今、IDCがブームである。まずアメリカで成功したエクソダスやアバヴネットといった外資系事業者がサービスを開始し、それに追随する形で国内企業の参入が続いている。アメリカと比べて、単純に4、5年遅れてIDCが注目され始めたことになるが、この4、5年という時間はアメリカと日本の「インターネットの差」に置き換えてもよいだろう。「ユーザーのインターネット利用状況など、今の日本はちょうど4、5年前のアメリカと同じ」である(アバヴネットジャパン・森脇完二社長)。つまり、日本のEビジネスは「まさにこれから」というスタートアップ段階にあるといえる。

 現在、国内では雨後の竹の子のようにIDCが建設され、サービスが開始されている。これは日本のEビジネスが今後、産業として成長・成熟を迎えるためにIDCというインフラが欠かせないためである。このインフラが整備されれば、日本のインターネットは2年でアメリカに追いつくという見方すらある。IDCとは、いったいどのようなインフラなのだろうか?サービスの内容を踏まえながらIDCの内部に迫ってみよう。

素朴なギモン

インターネットデータセンターと、従来のデータセンターは何が違う?

 「計算機センター」とも呼ばれる従来のデータセンターは、企業(特に大企業)のレガシーシステム(メインフレームなど)の受託運用・管理をするためのインフラである。一方、IDCはインターネットというオープンな環境に対する、外向きのシステムを構築するためのインフラである。従って、前者では顧客ごとに独立したインフラ(運用システムやネットワーク)を持つが、後者はスケールメリットを生かすためにバックボーンやネットワーク機器を多数の顧客でシェアする。アウトソーシングするシステムが企業にとって「内向き(クローズド)」であるか「外向き(オープン)」であるかが大きな違いである。

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