3月1日~3日にかけて、日本コンベンションセンター(幕張メッセ)にて「IBM総合フェア2000」が行なわれた。最終日である3日にはLinux Dayが設けられ、米IBMのLinux Solutions Markting DerectorであるScott Handy氏と、Emerging Technologies DirectorのSteve Burbeck氏による「Linux/オープンソースに対するIBMの取り組み」と題された講演が行なわれた。
IBM Linux Strategy
Linux Solutions Markting Derector Scott Handy氏 |
- ユーザーや開発者などからの、Linuxサポートの要望があり、IBM社内でも、新しい市場の開拓、コストコントロールなどの必要性から、Linuxの採用に対する圧力が高まっていた
- 現在e-buisinessは重要で、緊急課題でもある
- パフォーマンス、コスト、現在のマーケットシェア、e-buisinessへの適合性などから、Linuxのサポートが決まった。現在IBM社内でもLinuxを使用している
- 昨年の夏、テニスのウィンブルドン大会のWebサイトを開設し、記録的なアクセスがあった。同サイトはLinux上のDB2で構築されており、Linuxが高負荷のWebアプリケーションに対応できることを実証した
ことなどを語った。
次に、2000年度はLinuxのパッケージソリューションを提供する年度であるとし、IBMの戦略として5つの柱があること、そしてその各々について以下のように語った。
Hardware
- 「RS/6000」、「Netfinity」、「Thinkpad」、「Intellistation」が、Linuxに対応
- 「S/390」用のカーネルパッチが、次期Linuxカーネルのバージョン2.4に含まれる
- AS/400とLinuxの相互運用性の実現
Software
- 「Application Framework for e-business」を提供
- アプリケーションサーバ/統合ソフトウェアとして「Lotus Domino」、「WebSphere」、「DB2 Universal Database」が、Linuxに対応。「Lotus Domino」、「DB2 Universal Database」に関しては日本語版も出荷している
- IBM独自のJavaバーチャルマシンを提供
- AIX上にLinux互換レイヤを設けて、Linuxアプリケーションを動作可能に
Services
- 24時間体制のテクニカルサポート
- Webベースのサポート-developerWorks Linuxゾーン
- コンサルティング-米Caldera Systems、米Red Hat、独SuSE、米TurboLinuxと共に提供
- 教育サービス-Webベースの、無償での教育など
Alliance
- 提携している米Caldera Systems、米Red Hat、独SuSE、米TurboLinuxに対して中立的な立場で、平等なサポートを行なう
Open Source
- JFSをオープンソースコミュニティに還元するため、専任のエンジニアを用意
- S/390のカーネルパッチを提供
IBM's Road to Open-Source Software
次にSteve Burbeck氏が、オープンソースの重要性とIBMの取り組みについて語った。
まず、IBMが、Linuxやオープンソースをサポートするにあたり研究会を発足し、自分がその議長を務めたことなどを語り、オープンソースの定義や、その有効性、開発スタイル、ライセンス形態について説明した。
そして、現在オープンソースがますます重要になってきており、オープンソースをサポートする企業として、
- 米America Online(Mozilla)
- 米Novell(ディレクトリサーバ技術の一部)
- 米IBM(JFSなど)
- 米Apple(MacOS X関連)
を挙げ、また、各国の政府レベルでも、
- EUがオープンソースを支持を表明
- ブラジルが調査会を開設
といった例を挙げ、その盛り上がりを示した。
そして、IBMの取り組みについては、
- 「WebSphere」におけるApacheの採用
- すべてのサーバ製品でLinuxに対応
- 「Mozilla」開発への協力
- 「Jikes」Javaコンパイラや、JFSのオープンソースへの寄贈
などを挙げ、現在いくつかの製品についてもオープンソース化を検討中であることを語った。
最後に有用なURLとして、
- IBMのオープンソースへの取り組みを伝える-developerWorksのOpen Sourceゾーン
- オープンソースのライセンスについて-Open Source Initiative
- オープンソースコミュニティの雰囲気がわかる-Slashdot
を紹介して、講演を締めくくった。
今回の講演は、2人合わせて1時間あまりと短めだったが、その内容は1時間では足りないほど、IBMのLinuxへの意気込みを感じさせる中身の濃い講演であった。