このページの本文へ

「IBM総合フェア2000」Linux Dayレポート: 「Linux/オープンソースに対するIBMの取り組み」

2000年03月05日 02時26分更新

文● 沖中 弘史

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 3月1日~3日にかけて、日本コンベンションセンター(幕張メッセ)にて「IBM総合フェア2000」が行なわれた。最終日である3日にはLinux Dayが設けられ、米IBMのLinux Solutions Markting DerectorであるScott Handy氏と、Emerging Technologies DirectorのSteve Burbeck氏による「Linux/オープンソースに対するIBMの取り組み」と題された講演が行なわれた。

IBM Linux Strategy

Scott Handy氏画像
Linux Solutions Markting Derector Scott Handy氏
 最初にScott Handy氏により、IBMのLinuxに対する戦略が語られた。Handy氏はまず、

  • ユーザーや開発者などからの、Linuxサポートの要望があり、IBM社内でも、新しい市場の開拓、コストコントロールなどの必要性から、Linuxの採用に対する圧力が高まっていた
  • 現在e-buisinessは重要で、緊急課題でもある
  • パフォーマンス、コスト、現在のマーケットシェア、e-buisinessへの適合性などから、Linuxのサポートが決まった。現在IBM社内でもLinuxを使用している
  • 昨年の夏、テニスのウィンブルドン大会のWebサイトを開設し、記録的なアクセスがあった。同サイトはLinux上のDB2で構築されており、Linuxが高負荷のWebアプリケーションに対応できることを実証した

ことなどを語った。

 次に、2000年度はLinuxのパッケージソリューションを提供する年度であるとし、IBMの戦略として5つの柱があること、そしてその各々について以下のように語った。

Hardware

  • 「RS/6000」、「Netfinity」、「Thinkpad」、「Intellistation」が、Linuxに対応
  • 「S/390」用のカーネルパッチが、次期Linuxカーネルのバージョン2.4に含まれる
  • AS/400とLinuxの相互運用性の実現

Software

  • 「Application Framework for e-business」を提供
  • アプリケーションサーバ/統合ソフトウェアとして「Lotus Domino」、「WebSphere」、「DB2 Universal Database」が、Linuxに対応。「Lotus Domino」、「DB2 Universal Database」に関しては日本語版も出荷している
  • IBM独自のJavaバーチャルマシンを提供
  • AIX上にLinux互換レイヤを設けて、Linuxアプリケーションを動作可能に

Services

  • 24時間体制のテクニカルサポート
  • Webベースのサポート-developerWorks Linuxゾーン
  • コンサルティング-米Caldera Systems、米Red Hat、独SuSE、米TurboLinuxと共に提供
  • 教育サービス-Webベースの、無償での教育など

Alliance

  • 提携している米Caldera Systems、米Red Hat、独SuSE、米TurboLinuxに対して中立的な立場で、平等なサポートを行なう

Open Source

  • JFSをオープンソースコミュニティに還元するため、専任のエンジニアを用意
  • S/390のカーネルパッチを提供

IBM's Road to Open-Source Software

 次にSteve Burbeck氏が、オープンソースの重要性とIBMの取り組みについて語った。

 まず、IBMが、Linuxやオープンソースをサポートするにあたり研究会を発足し、自分がその議長を務めたことなどを語り、オープンソースの定義や、その有効性、開発スタイル、ライセンス形態について説明した。

 そして、現在オープンソースがますます重要になってきており、オープンソースをサポートする企業として、

  • 米America Online(Mozilla)
  • 米Novell(ディレクトリサーバ技術の一部)
  • 米IBM(JFSなど)
  • 米Apple(MacOS X関連)

を挙げ、また、各国の政府レベルでも、

  • EUがオープンソースを支持を表明
  • ブラジルが調査会を開設

といった例を挙げ、その盛り上がりを示した。

 そして、IBMの取り組みについては、

  • 「WebSphere」におけるApacheの採用
  • すべてのサーバ製品でLinuxに対応
  • 「Mozilla」開発への協力
  • 「Jikes」Javaコンパイラや、JFSのオープンソースへの寄贈

などを挙げ、現在いくつかの製品についてもオープンソース化を検討中であることを語った。

 最後に有用なURLとして、

を紹介して、講演を締めくくった。


 今回の講演は、2人合わせて1時間あまりと短めだったが、その内容は1時間では足りないほど、IBMのLinuxへの意気込みを感じさせる中身の濃い講演であった。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード