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ケータイもタダの時代到来?

広告ベースの若者向け携帯が英国でブレイク

2008年12月24日 07時00分更新

文● 末岡洋子

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月刊ビジネスアスキー 2009年2月号掲載記事

毎日6通の広告を受信すれば、毎月43分の通話と217通のテキストメッセージ(SMS)が無料……こんなサービスが英国で注目を集めている。

Blyk

画面はミュージシャンThe Kooksのキャンペーン

 無料と聞いて疑う人はいても、嫌な人はいないだろう。Blyk(ブリック)は広告を受信すれば本当に無料なのだ。初期手数料などの料金も一切ない。ただし、この夢のようなサービスは16~24歳に限定される(申し込み時に身分証明書が必要。年齢はごまかせない)。

 欧州は、日本と同レベルの携帯普及率を誇るが、日本とは異なり、プリペイドが多数派。しばりのないプリペイドは、若者には特に人気だ。だから、一定時間は無料で、それを超過するとプリペイド形式でクレジットを追加するというBlykのコンセプトは、若者には非常にわかりやすい。

 欧州の若者が携帯電話でよく利用するアプリは今でも通話とSMS。この2つが無料とあれば、飛びつかない手はない。しかも、合理的な若者は、メリットがあるとわかれば、広告をいとわないようだ。英国の11~20歳のうち、「関心ある内容なら携帯電話での広告はOK」と回答した人は7割以上という調査結果もある。

 このような若者を狙って、現在、L'Oreal、Penguin Books、旅行サービスなど180社以上が広告を出している。多くが画像付きメッセージ(MMS)形式をとる。政府が若者向けにキャンペーンを打った事例もある。

 SIMを差し替えれば1台の携帯電話で他のサービスと併用可能なので、サブとして使うこともできるだろう。

無料携帯Blyk、今後の展開は?

Blykのオフィス

おしゃれなBlykのオフィス

 9月で1周年を迎えたBlyk、経過のほどは?――現在ユーザー数は20万人。英国に760万人いる16~24歳の中の20万人は、シェアとしては少ない。

 だが、Blykの告知戦略は大学のキャンパスなどの街頭キャンペーンと口コミのみで、広告はなし。であれば、1年で20万人というのは、評価できそうだ。Blykは「当初目標の2倍」と満足の様子。BlykのSIMがeBayで出回っていることも、人気を証明している。

 米国ではヴァージンモバイルが'06年から類似の無料携帯サービスを行っているが、SMSは無料にならない。

 Blykは来年、オランダなど欧州数カ国に拡大する。今後日本上陸もあるかも、だ。

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