仕事がはかどる、職場が明るくなる、会社に来たくなる――そんなオフィス環境は理想だが、実現するのはなかなか難しい。
それなら、すでにある「カッコいいオフィス」の写真や情報を共有して、それをお手本にすれば理想に近づけるのでは? そんな願いを叶えてくれるWebサイトが、アスクルが12月10日にサービス開始した「みんなの仕事場」だ。
アスクルが実際に足で稼いだ
理想的オフィスの数々
このサイトは、登録無料で誰でも写真や情報を投稿して共有できる、オフィス作りの情報を持ち寄るWebサイト。
現在掲載されている仕事場の9割程度は、実はアスクルが独自に取材したオフィスだという。といっても、オフィス文具通販のアスクルが利用者の中からセレクトしたわけではなく、「カッコいい、コンセプトのあるオフィス」を探して取材を重ねたもの(秋号のカタログで予告したり、ティザーサイトで話題作りは進めていた)。
広報・IR担当の梅田氏に、実際に取材してみて印象に残ったオフィスを聞いてみたところ、
- 南青山の骨董通り沿いにある経営コンサルタントの「バリュークリエイト」さん
- エントランスを抜けると正面に大きなキッチンのある「クックパッド」さん
- シンプルなデザインの中に、キラリと光る個性やこだわりが見られる建築事務所の「建築設計白川冨川」さん
を挙げてくれた。
バリュークリエイトのオフィスは、マンションの一室という限られた空間ながら、緑を巧みに使って「感激するほどキレイに彩られ」ていたという。インテリアにお金をかけなくても、創意工夫次第で快適なオフィス空間を作り出せるという好例だ。
クックパッドは、企業理念が「毎日の料理を楽しみにする会社 ~毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす~」という、レシピ検索サービスの運用会社。そんな社長の熱意を具現化したオフィス作りで、キッチンは実際に社員が使っており、「自分たちも率先して料理を楽しもう」という仕事への意気込みが、オフィス環境作りという投資にも明確な戦略として表われている。
一方、オフィス作りを受注する側の建築事務所にもいくつか取材しているが、そこに共通しているのは、「一見して分かる派手なデザインではなく、機能性を追求したシンプルなデザインの中に、椅子や床面の素材、統一した色使いなど、設計者自身のこだわりを感じさせる空間演出がうまいこと」だという。オフィス作りのプロだからこそなせる技だが、ぜひ参考にしたい。
サイトオープンの狙いは? アスクルのメリットは?
アスクルがこうしたオフィス作り、インテリアの共有サイトを始めた狙いとは、いったい何だろう? 単純に考えれば、理想的なオフィスの数々を紹介することで、それに近付けるためにアスクルを通じて製品を購入してほしい、ということだろうが、実はそれだけにはとどまらない。
アスクルが利用者向けにアンケートを採ったところ、「オフィス環境を整えるのが大変で、よそのオフィスやインテリアデザインの事例を見てみたい」という声が多かった。また、アスクルで取り扱いがなくても、オフィス家具メーカーやインテリアデザイナーと、オフィス環境を構築するユーザーとの接点を作り、互いに要望を出し合ったり新製品のアイデアを模索する場を提供していきたい、と狙いを語ってくれた。
快適なオフィス作りを目指すなら、まずカタログ写真をぱらぱらめくるような感覚でこのサイトを眺めてみて、会社や職場の意図に近いものを見つけてみるのが、理想への近道になるだろう。