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「紅」がドラマCDで再登場! 松尾監督にその真意を聞く【前編】

2008年11月22日 20時00分更新

文● コンテンツ計画 清水

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───だいぶ編集の段階で間の調整などをしたと伺いましたが。

【松尾監督】 やりました。やっぱり声優の整理だけではできないことがあって、音だけだったら成立することと、映像があったら成立しない間があるんですね。映像として、映像のテンポ感、カット割りみたいなことを考えるとテンポが遅すぎる、間が空きすぎるってことがある。でも整理してみると、ちょっとここは考えてから答えるんじゃないかなって思うと、その間があるじゃないですか。それが半秒から1秒とかあったときに映像では致命傷になるときがあるんです。で、そういうときにはやっぱり切ります。

 それをいちばんうるさく言うのは沢城で、彼女は終わった後、音声をちゃんとヘッドフォンで聴いているんです。そうすると自分の息が切れてるのを感じてるんです。だから今日も言われたけど、「この間は後で切られたりしますかね?」というようなことを言うわけです。でもそういう意識を持ってくれていれば、映像のやり方、音声だけのやり方、あるいは顔を出さなきゃいけないときのしゃべり方、舞台のやり方をいろいろと考えるきっかけにもなるだろうっていう意味で、いいことだと思いますね。
 このキャスト達は、僕に対していろいろなことを容赦なくしゃべってくれるので、僕も思ってることをちゃんとストレートに言えるから非常にやりやすいし、何かを考えて役作りはもちろんするんだけど、その時に映像っていう前提があってやるんだっていう録り方をきちんと頭の中で作れているなって思います。
 プレスコって初期の頃には「ドラマCDみたいなものですか?」って言われたんだけど、「いやそうじゃないよ」って言うことがはっきりとできたと思いますね。

───テレビシリーズとドラマCDの違いで苦労した点は?

【松尾監督】 シチュエーションを絵で見せられないので、ここはこういう演技で、あるいはこういう表情で解決するということが解決しない。たとえば、なるべく会話の最初のほうに名前を言ってくれみたいな。
 そういう部分に対して、「あっそうだよなぁ」って思いながらやってた。やっぱり僕はアニメの映像を作ってるほうがメインだから、ドラマCDの仕事をやると、「ああそうか」って思うことがたくさんある。だからラジオドラマとかをやってる人を尊敬するんですよ。
 いろいろなことが音だけだから好きにできるとは言いながらも、やっぱり表現が難しいことってたくさんあるなぁって思いましたね。

───逆に録音してて絵をつけたくなりませんか?

【松尾監督】 あぁ、今回はなかったですね。これが不思議なもので、絵が頭の中にはあるんですけど、それを作りたいっていう気にはなりませんでした。アフレコだろうとプレスコだろうと先に絵コンテを描くので、そうなるところの映像に対してという考え方で聞くんですけど、ドラマCDは完全に頭をスイッチできますね。映像がまったくない状態で音だけ聞いてますから、そうすると「これでだいじょうぶか?」という聞き方になり、そこは意外と耳をスイッチできるというか脳をスイッチできました。

 映像があると、「おまえここでアップなんだからさぁ」っていう話をたまにするんですね。「ここでアップショットなんだよ」、「ここで向き合ってるんだ」、「ここで振り向くんだ」っていうことがある。それがドラマCDの場合は声優に全部投げることができるので、「自分でそういう想定で勝手にやっていいよ」っていう話ができる。映像だとそのカット割りがもう僕の中ですでに決まってるから、「ここで手をあげるんだ」、「ここで目線を合わせるんだ」、「このタイミングのこのセリフでやって」っていうことはよく言うんです。でも今回はいっさいない。だからそういう意味では楽ですよ(笑)。指示の仕方がもう全然違うし。

───今回のドラマCDでやり残したことはありませんか?

【松尾監督】 とりあえず溜まっていたものは出したなぁって感じです。もう僕の中でこのキャラクター達ってかなり自由に動いてくれているので、無茶な注文がない限り、もういくらでも作れるなと思いました。
 でも、たとえば温泉っていう無茶振りがあるから、ああいうおかしな発想もできるので、そういう意味ではやっぱり他の意見というのも必要なんですね。

───ということはまだまだ続きを作れるぞということですね?

【松尾監督】 それは……マンガと小説のほうでがんばっていただいて(笑)

───もし続編ができるということになったらやる気はありますか?

【松尾監督】 きっとできると思いますね。で、やるならもう少しやっぱり違うアプローチの仕方をしたいですね。たとえばテレビシリーズの後の話であったりとか、きっとできるだろうし、そこでじゃあ紫ってどういう形で関われますかっていうところで考えると、きっとおもしろいチャレンジだと思います。
 とにかく紫が外に出る、外に出てみんなとわいわいする、おおっぴらに遊ぶっていうことがまったく描けなかったので、そういうことができるともう少し違う見せ方というか、違うキャラクターの動き方もしてくれるでしょうから、そういうのもちょっとやってみたいですね。

(後編に続く)

TVアニメーション ドラマCD「紅」

原作:片山憲太郎(集英社「スーパーダッシュ文庫」)
原作イラスト:山本ヤマト
脚本:松尾衡
形式:ドラマCD 1枚組
発売予定日:2008年12月20日(土)
構成内容:オリジナルドラマ
価格:定価2,940円(税込み)
特典:初回封入特典ステッカーマウスパッド

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