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「パソコン」から「オーディオ」の世界に進んだ理由──西和彦氏に聞く

2008年03月03日 18時00分更新

文● 編集部、写真●小林 伸

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西和彦氏

デジタルドメイン社長の西和彦氏

 「この年で床に寝て仕事するなんて、思いもよらなかった。まるで20年前のアスキーに戻ったような気分です」

 (株)デジタルドメインの社長・西和彦氏はそんな風に話す。編集部が取材にうかがったのは2月27日。パシフィコ横浜で、同社第1弾の製品群を一般公開した直後のことだ。ほんの少し疲れた様子だったが、同時に何かをやり遂げつつある充実感も感じさせた西氏。試聴室も用意された東京・神田の事務所でお話をうかがった。



ビジネスの世界に戻るつもりはなかった


 西氏は1977年に20代前半の若さでアスキーを設立。黎明期であった日本のパソコン業界に大きな影響を与えた。1999年にアスキーを離れたのちは、主に教育の分野で活躍し、中高一貫教育の須磨学園の学園長や尚美学園大学大学院の教授を務める傍ら、コンサルティング業にも携わってきた。

デジタルドメイン

デジタルドメインのウェブサイト(http://www.digital-do-main.com/)

 デジタルドメインは2007年3月に設立された高級オーディオメーカーで、会長には元ヤマハ専務の持田康典氏を迎えている。持田氏はヤマハで電子楽器とオーディオを中心としたエレクトロニクス事業を手がけ、西氏とは旧知の関係。西氏が博士号取得のため、工学院大学に在籍していた折には同校で教鞭を振るっていた。

 「僕としては(ビジネスの世界からは)さっさと足を洗って、まったく違った世界である学校の先生をやろうとしていたんです。でも商品化したほうがいいよと、ウチの副社長の田中など背中を押してくれる人がいた。100億円の会社にいまさらするつもりはないけれど、数億円の規模の会社なら安全に作れるし、やってみようかなと思ったんです」

 博士課程を取得する過程で学んだ映像・音響工学。その研究の成果に基づいて試作したオーディオ機器が、こだわりを持つ知人の間で話題となった。そんな声援に後押しされる形で、製品化する決意が固まった──西氏はデジタルドメイン設立の経緯をそんなふうに説明する。オーディオのプロが応援すると言ってくれた。

 「ハイディフィニション・オーディオの研究を続けているうちにいろいろなことが分かってきたんです。研究室にやってきて『これを製品にしませんか』と言ってくる人もいました。中には『試作品でもいいですから、持って帰りたい』とお金を握りしめてやってくる人もいてね──」

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