「アスキー.日本」というような、日本語のトップレベルドメイン名を使えるようにするための議論が大きく進展している。トップレベルドメイン(TLD:Top Level Domain)とは、インターネットにおいて住所を表すドメイン名の最上位となるものだ。例えば「ascii.co.jp」や「ascii.jp」の「jp」がそれである。
トップレベルドメインの国際化は確実、残るは割り当ての問題
当初、インターネットのドメイン名として許されていたのは英数字と「-」(ハイフン)のみであった。しかし、インターネットが世界に広まっていく中で、文化的、社会的背景などから英数字以外の文字を使いたいという要求は確実に強くなってきた。
そこで考え出されたのが、漢字やアラビア文字といったような英数字以外の文字を使ってドメイン名を記述できる「国際化ドメイン名」(IDN:Internationalized Domain Name)という技術である。日本語JPドメイン名もこの技術を使って実現されている。
インターネットのIPアドレスやドメイン名などを全世界的に調整/管理している米国の非営利団体ICANNは、2007年10月15日にトップレベルドメイン名の国際化に関する技術評価試験を開始した。現時点で日本語を含む11ヵ国語による評価試験が進行中だが、技術的には特に目立った問題もないようだ。
となると、残る問題は「どの文字を実際に割り当てるか」である。
日本の場合は日本語しかありえないので、国名の「日本」をそのまま使えばよい。しかし、国によっては、例えばスイスのように4つの公用語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)を持つ場合もあるし、gTLDのように国や地域と密接に結びついていない場合にどうすべきかという問題も存在する(コラム参照)。国名やその略称のように関係がはっきりしている文字はともかく、例えば「会社」という文字を誰が使っていいかは今後議論を呼ぶかもしれない。
トップレベルドメイン名として何を使えるようにするかはICANNによって決定されるが、具体的に何の文字を使うかは「調整と合意」で決まる部分が大きい。この部分は、必要以上に議論を重ねることなく、できるだけスムーズに解決されることを望みたい。
