「世界で最も薄い、ノートブック」というキャッチフレーズでお披露目されたアップルの新型ノートブック「MacBook Air」(関連記事1、2)。
その薄さと軽さに注目が集まる一方で、あまりに多くの機能を削ぎ落したことに「それはどうなのか」という意見も出ている。
例えば、USB 2.0/DVIビデオ出力/ヘッドホン出力しか備えていないI/Oがいい例だろう。HDDやデジタルカメラ、マウスにプリンターといった周辺機器があれこれ出揃う中、それらをつなぐ端子がUSBポートひとつだけというのは、何とも心もとない。光学式ドライブがオプションなので、そのままでは音楽CDからiTunesに曲を取り込めないし、出先のホテルで不便だからやっぱり有線LANは標準で付いていてほしいと指摘する声もある。
そうした批判は確かに的を射ているのだが、一方でアップル流のモノ作りで言えば、MacBook Airのような絞り込まれた仕様の製品が出てきても不思議ではない。
MacBook Airは、「引き算のデザイン」を実践した極めてアップルらしいプロダクトなのだ。「あれもこれもあれば便利だろう」と機能を追加してお得感を出すのではなく、機能を削ってシンプルで分かりやすくするという手法になる。
では「引き算」でMacBook Airを作るにあたって、アップルは何を重視したのだろう。アップルジャパンが16日に開いた製品説明会であれこれ質問して、考えてみた。
MacBook Airは「サブノート」ではない
筆者がMacBook Airで気になったのは、その製品の位置付けだ。今まで、Macのノートと言えば、プロ向けの「MacBook Pro」、コンシューマー向けの「MacBook」の2種類だったが、ここにMacBook Airが追加されて合計3種類となった。あえてラインアップを新設した意味は何だろう?
個人的には、アップルはMacBook Airを「サブノート」としてユーザーに提案しているものと思っていた。メインマシンを別に用意して、外出時にだけ軽くて薄いMacBook Airを使うという利用スタイルを考えていたのだ。
しかし、その考えは違っていたようだ。16日に行なわれた製品説明会で、アップルジャパンはMacBook Airについて「まったく新しいポジショニング」であることを強調する。一般に言われているような「サブノート」とは異なる位置付けであるという主張だ。
「ポイントは、iSightやフルサイズキーボードといったMacのバリューが、どのマシンでも同じように提供されているということです。その中でモビリティーを重視する人にはMacBook Air、価格的な魅力を求める人にとってはMacBook、ワークステーションクラスのパフォーマンスが欲しい人にとってはMacBook Proという選び方になります」(アップルジャパン)
そういえば基調講演にて、スティーズ・ジョブズは「uncompromise」(妥協しない)という単語を繰り返し使っていた。自分たちのこだわりについては妥協せず、持ち運びに重きを置いて「引き算のデザイン」をしていった結果が、MacBook Airということになるのだろう。
