前編では、毎年のように噂される軽量かつコンパクトなMacBookが今年も投入される可能性は低いだろうという読みを書いた。
だからといって、MacBook Proの新モデルが出ないわけがない。当然、45nm世代のCPUを搭載したモデルを紹介するのに、これほどふさわしいタイミングと場所はないはずだ。もしかしたらそれは、見慣れたMacBook Proが単にクロックアップしただけかもしれないが、その場合は、いまのアップルはiPhoneを育てることに一生懸命なのだと自分を慰めようと思っている。
大福のようなことができないのか!
だが、われわれはアップルが、時に突拍子もないことをしでかす企業であることを知っている。
例えば2002年に登場した初めての「液晶型iMac」。多くの日本人が「大福」を連想したあのモデルは、いまではすっかり姿を消してしまったが、コンセプトとしては高く評価すべきものだった。指先ひとつで液晶ディスプレーの位置や角度を変えられるというのは画期的なアイデアだったはずだ。当初は現行のiMacのような平面的デザインで作業をしていたジョナサン・アイブをジョブズが呼びつけ、あえてあの形の示唆を与えたという逸話も残っている。
iPod shuffleの初代モデルもそうだ。「人生はランダムだ」なんていうもっともらしいキャッチコピーが付いていたが、多くの人はあれを見て「曲名表示もできない廉価版に過ぎない」と思ったのではないか。だがモデルチェンジを経て、いまでもiPodファミリーの中で重要な位置を占めている。
アップルがもし、ノート型で突拍子もないことをしでかすとしたら、軽量化、つまりモビリティーを促進する方向ではなく、ユーザビリティー、つまり使い勝手を進化させる方向なのではないかと、個人的には考えている。