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“発注者視点”で外部設計書を標準化、NTTデータなど9社がガイドライン

2007年09月18日 21時10分更新

文● アスキービジネス編集部

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NTTデータなど大手SIベンダー9社が参加する「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会」は、9月18日、都内で会見し、同検討会の成果の第1弾として、「発注者ビューガイドライン(画面編)」を公表すると発表した。

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発注者ビュー検討会に参加する9社の代表者ら


参加企業は9社へ拡大、各社のノウハウ取り入れた「大きな一歩」


 「実践的アプローチに基づく要求仕様の発注者ビュー検討会」(発注者ビュー検討会)は、情報システムを構築する際、ユーザー企業の視点での分かりやすい要求仕様の記述方法を検討するための検討会である。ユーザー企業とSIベンダー間の齟齬をなくし、プロジェクトの失敗を防ぐために、業界統一のガイドライン作成を目的として活動している。2006年4月の検討会発足当初、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、構造計画研究所、東芝ソリューションの6社でスタートし、今年8月から新たに3社(日本ユニシス、沖電気工業、TIS)が加わった。

 今回の会見で発表されたのは、同検討会の成果の第1弾となる「発注者ビューガイドライン(画面編)」。外部設計工程(機能要件)における、画面設計関連の記述のポイントをまとめた文書で、「表現」「記述確認」「レビュー」の3部構成からなる。

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ガイドラインには具体的な記述が盛り込まれている

 ガイドラインは、参加するベンダー各社が自社の実際の事例を持ち寄り、ベストプラクティスとして取りまとめたもの。たとえば、画面遷移の記述方法について、「上から下、左から右に遷移するように配置する」といった、具体的な文書の書き方の“コツ”が明記され、かつ「望ましくない例」「望ましい例」が併記されている。

 また、東京証券取引所(東証)とAGSの2社がユーザー企業の視点でレビューを実施しており、「特に東証では、過去に構築したシステムの設計図を、今回のガイドラインに基づき作成し直した結果、成果が上がるとの評価を得た」(NTTデータの木谷 強氏)という。

 NTTデータの常務執行役員技術開発本部長の山田伸一氏は、「現場レベルでは我々参加企業はライバル同士で戦う立場。その各社がノウハウを持ち出して公開しあって作ったのが今回のガイドラインだ。そういう意味では小さくとも大きな一歩といえる」とガイドラインの意義を強調した。

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検討会の今後のスケジュール

 今回公表されたガイドラインは、同検討会のWebサイトに掲載されており、参加企業は年内もしくは年度内に実際に自社の開発標準に取り込む予定。また、検討会ではこのほか、「システム振る舞い」「データモデル」に関する2つのガイドラインの作成も進めており、来年3月までには公表する見通し。

 同検討会の活動は来年3月で終了する予定だが、現在、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のソフトウェア・エンジニアリングセンター(IPA SEC)と、活動の引継きを含めた連携を協議中。また、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)との連携についても、「打診中」(発注者ビュー検討会)だという。

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