対応用紙は最大2L判で、同種のフォトプリンターの多くが年賀状などのハガキ印刷用途を重視して、最大でもL判/ハガキサイズまでなのに比べると、デジタルカメラ画像の印刷では非常に見栄えがする。実際の印刷にかかる時間は、L判が1分15秒なのに対して約2分(いずれもメモリーカードからのダイレクト印刷)と、やや時間はかかるものの2倍以下に収まっていることを考えれば、例えば出先でデジカメ撮影した写真をその場で気軽に印刷して配布するといった場面でもそれほど時間的負担にはならないだろう。なお、オプションのバッテリー駆動での印刷でも、ACアダプターと比べて印刷時間が遅くなることはなかった。
表 印刷にかかる時間
2L判印刷(アドバンスフォト用紙) | |
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メモリーカードからの印刷 | 1分59秒78 |
パソコンからの印刷(高画質) | 2分5秒 |
パソコンからの印刷(最高dpi) | 3分25秒 |
L判印刷(アドバンスフォト用紙) | |
メモリーカードからの印刷 | 1分15秒 |
パソコンからの印刷(高画質) | 1分19秒38 |
パソコンからの印刷(最高dpi) | 2分0秒 |
黒インクを用いない3色構成ながらコントラストもはっきりとしており、年賀状/書中見舞いなどポストカードなどの用途であれば十分と言ってよいだろう。メモリーカードからの印刷は、パソコンからの印刷設定における“高画質”モードに相当し、時間的にもほとんど差はない。パソコンから印刷を行なう場合、高画質モードよりもさらに上の画質“最大dpi”と呼ばれるプリンターの最高解像度を用いるモードが用意されている。ぱっと見た印象ではメモリーカードもしくはパソコンからの高画質モード印刷でも十分ではあるが、細部のシャープさを見比べてみると最大dpiモードのほうが明らかに品質の高いものとなっている。
インクジェット方式のポータブルフォトプリンターは、昇華型に比べてランニングコスト面で利点があるものの、デジタルカメラ画像を大量に印刷するのであれば“多色インク”、“分離型インクカートリッジ”を採用するA4機のほうがコストメリットは大きい。また、年賀状/書中見舞いシーズン程度にしか印刷しないというのであれば、イメージスキャナーなど多彩な機能を持つ複合機のほうが普段から活用しやすいという利点はある。
家庭用プリンターは、年賀状・暑中見舞いなど定期用途以外のいわゆる“オフシーズン”にいかに利用され、“持ち腐れ”感を減らすかがポイントとなってきており、複合機はひとつの回答と言えるものだった。これに対して、ポータブルフォトプリンターはデジカメ画像を少数印刷するユーザー向けという、やや中途半端な位置付けにあるわけだが、未使用時は狭い場所にもしまっておけるコンパクトさがひとつのメリットと言える。本機は大型液晶パネルの搭載によって“デジタルフォトスタンド”的な常時利用もでき、パソコンとの接続時にはカードリーダとしても活用できるなど、オフシーズンでもしまい込むことなしにパソコンの横などに常時設置しておきたくなる製品だ。
HP Photosmart A628の主なスペック | |
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製品名 | HP Photosmart A628 |
印刷解像度 | 最大4800×1200dpi |
印刷方式 | インクジェット(3色インク) |
用紙サイズ | 2L判、L判、ハガキ、10×30cmほか |
メモリーカードスロット | CF Type I/II、メモリースティック/Duo/PRO Duo、SD/SDHC/MMC、xDピクチャーカード対応 |
液晶ディスプレー | 4.8インチ(タッチパネル対応) |
インターフェース | USB(TypeA/TypeB)、DC入力 |
電源 | ACアダプター、バッテリー(オプション) |
本体サイズ | 252(W)×117(D)×132(D)mm |
重さ | 約1.52kg(本体のみ) |
対応OS | Windows Vista/XP、Mac OS X 10.3.9~10.4 |