最新パーツ性能チェック 第48回
【最新パーツ性能チェックVol.48】
FSBを制するものがCPUを制す? FSB 1333MHz版クアッドコアCPU「Core 2 Extreme QX6850」登場
2007年07月17日 23時59分更新
インテルは17日、4つのCPUコアを内蔵するクアッドコアCPUのハイエンドユーザー向けモデル、“Core 2 Extreme QX”シリーズに、最上位となる「QX6850」を追加した。
従来の最上位モデルが「QX6800」の2.93GHzだったのに対し、今回の「QX6850」は3GHz。クロック的に1グレード(266MHz)は上がっていないためか、プロセッサナンバーの100の位は変えず、10の位が50増えている。というとマイナーバージョンアップのようにも聞こえるが、そうともいえない部分がある。というのは、今回FSBが、従来の“Core 2”シリーズの1066MHzから、1333MHzにアップしているためだ。
ご存じのように、インテルが今年中に発売するという45nmプロセスの新モデル、コードネーム“Penryn”は、FSBが1333MHzになることが伝えられている(強化点は他にも多数あるが)。それに対応するチップセット“P35/G33”を搭載したマザーボードもすでに一部メーカーが出荷している。“Q6850”は、このFSBをオフィシャルに生かせる最初のCPUということになる。
基本的にはKentsfieldコア
今回は、Asustekの“P35”チップセット搭載マザー「P5K」に、「Core 2 Extreme QX6850」のサンプルを搭載してテストを行なった。「CPU-Z」などで素性を見る限り「QX6850」は、すでに販売されているクアッドコアのシリーズの高速版である。「QX6700」(2.66GHz)と比べると、ステッピングとリビジョンが若干上がっている。キャッシュも従来同様、2コアにつき4MBだ(したがって計8M)。
注目は、FSBが従来の1066MHz(システムクロックは266MHz)から1333MHz(同333MHz)にアップしたことの効果。これによって間違いなくアップするのは、メモリの帯域だ。従来のチップセットでもDDR2-800MHzのメモリをデュアルチャネル(128bit)で接続でき、これをフルに生かせば12.8GB/秒の能力が得られる。しかし、CPUのFSBが1066MHz/64bitだったために、CPUとしては8.53GB/秒までのデータしか読み書きできなかった。逆に言うと、DDR2-533/デュアルチャネル相当の能力しか持っておらず、メモリの能力をフルには生かせていなかった。これに対し、FSBが1333MHzにアップすれば、FSBの能力は10.6GB/秒となり、これはDDR2-666/デュアルチャネル相当。DDR2-800の本来の能力にかなり近づく。
下のグラフ1は、「Core 2 Duo E6700」および「Core 2 Extreme X6800/QX6700」と、「Core 2 Extreme QX6850」のメモリ性能の違いである。実は”Core 2 Duo”においては、使用したメモリモジュールとマザーボードの相性の問題で、メモリはDDR2-533の状態で動かしていた。「QX6700」ではDDR2-666となっているが、この2つにおいては性能はどちらもほぼ5.3GB/秒で、性能差はほとんどない。明らかにFSBがボトルネックになっていることがわかる。
一方FSB 1333MHzの「QX6850」は、一気に6.2GB/秒までスコアが伸びている。FSB比で言えば25%伸びてほしいところだが、18%にとどまっているのは、「E6700/X6800/QX6700」がハイエンドの“X975”チップセットのマザーであるのに対し、今回使用したマザーがメインストリーム向けの“P35”チップセットだったからかもしれないが、単にFSBと正比例はしないのかもしれない。

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