このページの本文へ

会員数15万人の人気携帯電話ゲームに、多数の企業が群がる

飲食店コンサルのノウハウが活きたゲーム内広告の新モデル

2007年07月24日 01時27分更新

文● 外村克也(編集部)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

月刊アスキー 2007年9月号掲載記事

デクスター日根氏

デクスター 代表取締役の日根弘樹氏。「プロミスドランドはゲームの企画書の書き方から学び、アイデアはネットから広く募集して、ユーザーとともに育ててきたゲーム。学生や若者以外のターゲットを狙った新作も企画したい」と前向き。

 昨年秋にスタートした携帯電話向けオンラインゲーム「Promised Land」(プロミスドランド)が、異様な盛り上がりを見せている。対応機種はNTTドコモの900iシリーズのみ、勝手サイトであるという制限がありながら、無料でプレイできる点が受けて、6月には会員数が15万人を突破。アクティブユーザーは4万人前後という。  プロミスドランドが人気な理由は、オンラインゲームが持つ面白さのほかに、ユーザーが得をする仕掛けを組み込んだ点にある。

 ユーザーがゲーム内で稼いだポイントを、飲食店のクーポン券と交換できるというものだ。加盟店は串家物語やフライングガーデンなど、全国180店舗以上(7月1日現在)にのぼる。

 プロミスドランドを運営するのは、新宿区新小川町にオフィスを構えるデクスター。設立2年目のベンチャー企業だ。デクスターの代表取締役 日根弘樹氏は、かつて飲食店の経営コンサルティング会社に勤めていた経歴を持つ。

「以前から、クーポンの費用対効果は疑問だった」(日根氏)

 クーポンは広範囲に配布しても、使うか使わないかは、消費者の気分と懐具合に左右される。そのため、狙い通りの効果を生むことが難しい。それに対し、本ゲーム内で発行されるクーポンは、ユーザーが頑張ってイベントをクリアして手に入れる。価値を実感してもらえる仕組みだ。もし、外食の予定がなければ、ゲーム内で使えるアイテムにも交換できる。

 このアイデアが飲食店の心をつかみ、現在加盟している多くの店舗がリピーターとしてゲーム内広告を出稿。今年3月以降は、毎月130~150%ほど売り上げが増え続けている。

 日根氏は「この仕事を始めたころは、経験も実績もなく、企業から相手にされなかった」と振り返る。「ゲーム開発の知識なんて、最初は全然なかった。開発会社に企画を持ち込んでも、予算の話をした途端、(相場とかけ離れており)笑われたこともある」と日根氏。CGやBGMの制作に有志を募るなど、ゲームの完成度の高さからは想像できないほど、制作過程は手作り感が満ちていた。

 5月、同社と広告代理店のアドウェイズはゲーム内広告の分野で業務提携。飲食店以外にも、着うたや求人情報サイトの広告など、営業領域の拡大に意欲を示す。

 今年、携帯ゲーム市場とゲーム内広告市場の急成長している先進国では、ゲーム産業が486億に達し音楽産業と肩を並べるという予想(PricewaterhouseCoopersによる)もある。広告を軸とした携帯ゲームビジネスはモンスター級に成長するのか、見所だ。

中心世界から、スポンサー企業が提供する空間「ワールド」へ移動することでゲームは進む。インテリジェンスが提供するワールドでは、ゲーム内キャラクタが喋る台詞に、同社の求人検索サイト「oppo」にちなんだアルバイト情報がちりばめられている。気になる仕事があれば、台詞中にあらわれるoppoへのリンクをクリックする。 ※7月からリニューアル予定。画面はリニューアル前のもの。

ワーズギア、アクセルマークがスポンサーを勤めるワールドでは、電子書籍や、着うたの仮想ショップが造られている。実際に購入するには、店頭のポップの内容や店員の台詞に入るリンクから、各社のサイトへ移動する。台詞にはゲームを解くヒントも隠されているから、ユーザーはしっかり読んでくれるという。

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中