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革命児ソースネクスト、ソフトウェア市場を斬る

2007年07月13日 23時00分更新

文● 小浜雅胤(編集部)

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筆王ZEROはどのようにして生まれたか


 『ウイルスセキュリティZERO』と『携快電話ZERO』に続く、“ZERO”シリーズの第3弾として9日に発表されたのが、『筆王ZERO』だ。

  筆王ZEROは、ソースネクストが今年3月にイーフロンティアから買収したはがき作成ソフト。Windows Vistaの公式サポートが終了するまでの10年間、無償でソフト本体の機能、干支のイラスト、住所の最新データベースなどをダウンロードできる。

 “セキュリティ”“携帯電話”に続くものがなぜはがき作成ソフトなのか? 松田氏は、発売の背景について次のように話す。

 「はがき作成ソフトをバージョンアップする際に、ユーザーが求めているのは、新機能よりも、新しい干支のイラストや(市町村合併などで更新された)住所のデータベースだということが分かりました。調査によると、新機能を求めている人は20.8%だけでしたが、イラスト素材を求めてる人は67%もいたのです。それなら無料で素材のデータを提供すれば、ユーザーの負担を減らせるのではないか、そう考えました」

新規ユーザーを増やす余地がたくさんあるので、更新料をとらないモデルでもやっていける

 はがき作成ソフトは、たいていの人にとっては年に1度しか使わなものだ。利用頻度が低いのに、イラスト素材のために毎年何千円も出すことに抵抗を覚える人が増えてきているのだろう。年率1割程度で、はがき作成ソフトの販売本数は減少しているとも聞く。一方で、1000円程度で買える、安価な年賀状ムックの売り上げが伸びてきている。はがき作成ソフトの市場規模を見てみると、年賀状ムックの年間販売本数は約420万本、はがき作成ソフトは約100万本しかないのが現状だ。

 そんなはがき作成ソフトの市場を活性化するのが筆王ZEROだと松田氏は述べる。

「筆王ZEROの価格は4980円。5年間使ったとしたら、毎年1000円のコストがかかる計算になります。これならムックと比べても遜色のないお得感を出せているでしょう。筆王の年間販売本数は約30万本ですが、潜在的な市場規模はこれの100倍の大きさがあると考えています。まだまだ新規開拓の余地があるのです。」

 筆王ZEROには240ページの詳細なマニュアルも付けた。たいていのユーザーは、はがき作成ソフトを年に1度しか使わないし、高齢者のユーザーも多い。そのため、ユーザーサポートへの問い合わせ内容は、操作方法に関することが圧倒的に多いそうだ。紙のマニュアルを付ければ、ユーザーが操作方法に悩む回数も減る。結果としてサポートにかかってくる電話も減るので、ユーザーにもメーカーにもメリットになるということだ。

 ZEROシリーズの第1弾となる、ウイルスセキュリティZEROは、(株)シマンテックとトレンドマイクロ(株)という二強に次ぐ3位のポジションからスタートして、9ヵ月でトップに立った。筆王は2位からのスタートで、1位との差もセキュリティーソフトほど離れてはいない。もっと早く市場のトップを目指せるというのがソースネクストの見方だ。同社では3つのZEROシリーズで年間100億円の売り上げを目指す意気込みだ。

 松田氏は、取材を次のような言葉で締めくくった。

「今後さらにZEROシリーズを増やしていきます。今はZEROという言葉を強調してますが、タイトルからZEROが消える可能性もあります。いつか更新料がかからないモデルが“普通”になる時がくるかもしれないですからね」

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