パソコンソフト市場に風穴をあける
「このままだとパソコンソフトの未来は明るくない。特殊だったパソコンソフトの市場を改めて見直す必要がある」ソースネクストが下した決断は、“メーカーの視点”から“ユーザーの視点”に立ち返るということだった。
そのために同社が打ち出したのが“コモディティ化戦略”だ。価格を一律1980円という低価格に加え、書店やコンビニなどへも流通チャネルを広げた。高価なイメージのパソコンソフトを日用品のように気軽に買えるようにした。
続いて行なわれたのが、更新料無料の“ZERO”シリーズの発売だ。“ZERO”シリーズに対するユーザーの支持は高く、『ウイルスセキュリティーZERO』は、セキュリティー業界の2大ソフトである“ノートン”シリーズと“ウイルスバスター”を打ち破り、個人向けのパッケージソフトの分野では販売本数1位に成長している。
「店頭に足を運ばせたり、クレジットカード情報をネットで入力させたり。更新作業というのはお客さんに手間を強いるのです。これをなくすためにはどうすればいいか? たどり着いたのが更新料金をもらわないという考えです。『こうやったらもうかる』が先に来るのではなく、まず『この価格と機能ならお客さんにとって得になる』と考える。それをあらゆる方法を検討しながら、成し遂げるのがメーカーの責務です」
ユーザーのためになることは、メーカにとってもプラスになると松田氏は話す。更新作業がなくなれば、更新に関する問い合わせがなくなる。結果として、メーカーのコストも減らせるのだ。