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アドビの新・電子書籍ビューアーは、“PDF版iTunes”になれるか?

【レビュー】Adobe Digital Editions 1.0

2007年06月23日 23時30分更新

文● 板井博史

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米アドビ システムズ(Adobe Systems)社は現地時間の19日、PDFや電子書籍を閲覧/管理できるソフトウェア『Adobe Digital Editions 1.0』を公開した。米アドビの製品ページから無償でダウンロードできる。

これまで同社が開発中のソフトを公開しているウェブサイト“Adobe Labs”にてβ版を提供していたが、今回、正式版をリリースすることとなった。

Digital Edition画面

『Adobe Digital Editions 1.0』の動作画面。対応OSは、Windows XP(SP2)/2000(SP4)か、Mac OS X 10.3.9以上で、Adobe Reader 8のインストールが必要になる

Digital Editionsは、DRMがかけられたファイルの閲覧に対応しており、電子書籍販売に使われることを想定されたビューアーになる。対応フォーマットは、PDFおよびIDPF Open Publication Standard(OPS)。

アドビによれば、Digital Editions対応のコンテンツは、『Adobe InDesign CS3』で簡単に制作できるとのこと。現状ではO'Reilly MediaやRandom Houseなどの出版社がサポートを表明しているほか、ソニーも自社の電子書籍リーダーで対応するという。

電子書籍といえば、これまで多くの会社がチャレンジしつつも、なかなかスタンダードを築けずに終わってきている分野だ。プロ向け印刷ソリューションで絶対的な地位を占めるアドビならば、今度こそ電子書籍を普及させてくれるのではないか──。そんな期待のDigital Editionsの実力を早速試してみた。



Adobe Readerいらずの軽快さ


サンプルライブラリー

米アドビが無償公開しているサンプルライブラリー

論よりは証拠、まずはDigital Editionsを使ってみよう。ダウンロードしてDigital Editionsを起動すると、何もない空白のライブラリ画面が表示される。まずは無償公開されているサンプルライブラリーから電子書籍をダウンロードしてみよう。

ウェブサイトのライブラリーで読みたい書籍を見つけたら、脇にある“Read”ボタンをクリックすると、ダウンロードされたファイルが自動的にDigital Editions側のライブラリーに追加される。これだけで書籍の購入は終了だ。DRM認証などの作業はすべてバックグラウンドで行なわれるので、ユーザーが特に意識する必要はない。

閲覧は非常に快適。Adobe Readerのもっさり感とは無縁で、ページ送りも拡大縮小もきわめて機敏に動作する。もちろん手持ちのPDFファイルを読み込むことも可能なのだが、PDFインタラクティブフォーム、JavaScript、電子署名、3Dグラフィック、注釈、JPEG 2000で圧縮された画像──などを含むPDFには対応していない。これは、軽快な動作を実現するためのものだろう。実際、電子書籍の閲覧に的を絞るとしたら、これらのPDF機能はそれほど必要ではないわけで、適切な判断といえる。

見開きで表示

見開きでページ表示したところ

拡大表示

拡大表示をしたところ

もちろん、しおり、目次、ブックシェルフ(フォルダー)など、書籍の閲覧や整理に必要な機能はひと通り揃っている。アプリケーションのサイズがわずか3MB程度で、しかも軽快とくれば、Adobe Readerから乗り換えたいと思う人もいるのではないだろうか。

プロパティ

電子書籍のプロパティ。ちなみにファイル自体は、書類(Windowsならマイドキュメント)に作られる“Digital Editions”というフォルダーの中に保存される

しおり

好きな位置にしおりをつけられる。しおりのメモは現在のところ英語しか入力できない

リスト表示

所有している電子書籍をリスト表示したところ。ページ数、著者、入手日などでソートすることも可能


(次ページに続く)

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