25日に東京ビックサイトで開催された“ワンダーフェスティバル2007 [冬]”をいちばん熱くしたものは、これ以外のナニモノでもないっ! テレビアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」長門有希役を演じた声優の茅原実里ライブだ!
「涼宮ハルヒの憂鬱」は、ほぼ1年前にオンエアされたアニメだが、昨年12月末日のコミケレポートにある「イタ車特集」においても、多くの熱狂的なマニア達に支えられていることが分かる。ここまで人気が長続きするアニメは昨今稀に見ず、ブームと言うよりは、劇中の“HARUHI ISM(ハルヒ主義)”にあったように、ツンデレ文化としてオタク界に定着しまった感すらある。
ツンデレ最新事情
はじめはツンツンした女の子が、後の主人公に好意を抱くようになりデレデレするキャラクターの総称。最近は複雑化し、ツンデレツンやらツンツンデレ、複数のキャラクターがツンとデレを演じるなどがある。
ちなみに「涼宮ハルヒの憂鬱」のDVDボックスはバカ売れし、原作の小説も売れまくり。角川書店の懐を温めるホカロンとなっているらしい。かたやアニメーション製作に携わった京都アニメーションは、単なるアニメスタジオなのに通称“京アニ”ファンを増大させ、オリジナルキャラクターデザインのいとうのいぢ氏はエロゲー原画氏(小説の挿絵以外のお仕事もしているのだ)の神として祭られるほどになっている。
なによりファンを虜にしたのは、劇中のキャラクター。傍若無人っぷりで利己主義の主人公、涼宮ハルヒは話題の“ツンデレ”のツン役を演じ人気沸騰。そして、ロリキャラで“デレ”を演じる朝比奈みくるとファンを奪い合う。今回ワンフェスでライブを行った茅原実里さんが演じるは、エヴァンゲリオンの綾波レイに通じる“ダウナー”系キャラ長門有希だ。感情のない極端に短いセリフで、周りの空気をすべて“ドヨ~ン”とダウンさせるキャラである。が、しかーし! 綾波と同様に熱狂的な信者を多く持っているのだ。
そんなキャラクターを演じる茅原実里ライブとあって、特設ブースはステージ開始30分前からほぼ満席。舞台が始まるころには数百人規模で人が集まり、スタッフがローブからはみ出る人波を整理するのに大あらわになっていた。
そこにスモークの向こうから茅原実里さんが現れると、会場のマニア達からは雄叫びが湧き上がる!
「ごおおぉぉぉ~~~」
あまりの観客数に「オー」という声は共鳴し合い、「ゴー」というノイズに聞こえるほどだ。そして、歓声に込められたファンの熱気は衝撃波となってステージを揺らしたのだ。
ライブをで熱唱したのは「雪、無音、窓辺にて。」「純白サンクチュアリィ」「Peace of mind~人魚のささやき」の3曲。渾身の力をこめてペンライトを振りまくるマニアに、飛び跳ねて踊るマニアも現れ、燃えに萌えまくったミニライブとなった。
曲の合間のトークでは、生で長門有希を演じてみせる。ステージはエアコン音が耳に届くほど静まりかえり、ボソリと一言。
「だめ」
静かなステージは一気に、ヒートアップし
「ごおおぉぉぉ~~~」
という歓声で包まれる。たった2文字のセリフでも、重さが違うのだよ。重さが!
途中でステージは「涼宮ハルヒの憂鬱」のフィギュアを製作している有限会社マックスファクトリー代表のMagnum渡辺氏も加わり、よりいっそう濃いトークとなる。氏もまた茅原実里さんの個人的なファン。読者のみなさんが“ポカ~ン”とするほど濃い内容が語られたが、ここでは割愛しよう。しかしその熱意は、製作中の長門有希のフィギュアの原型が完成したにも関わらず、“顔がイマイチ”という渡辺氏の一声で、原型を作り直したことが語られた。
こうして30分のミニライブは幕を閉じたが、歌声に魅了されたファン達は、熱気も冷めなやらぬまま再び美少女フィギュアを買い求めに、東京ビックサイト東館に消えていったのである。