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アドビ、新ビデオ関連プロダクト『DV Rack』と『Ultra』を発表──その用途と実用性に迫る!

2007年02月07日 19時37分更新

文● 斎賀和彦

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アドビ システムズ(株)は6日、同社のビデオ系製品のラインナップに『Adobe DV Rack HD 2』(以下、DV Rack)と『Adobe Ultra 2』(以下、Ultra)を追加した(参考記事)。

2製品とも同社が昨年10月に買収した米Serious Magic(シリアスマジック)社の単独のアプリケーションで、基本的には生産性や作品のクオリティーをアップさせるために他のビデオ系アプリケーションと併用することになる。その用途と実用性について、アドビが行なったデモンストレーションの写真を交えて紹介しよう。

アドビの発表会

アドビは『Adobe DV RACK HD 2』と『Adobe ULTRA 2』のリリースに合わせて記者発表会を開催。Boot Campを使ってWindowsを起動させた『MacBook Pro』で、DV RACKを動かすというデモも行なった


カメラからパソコンに直録できる『DV RACK HD 2』

『HVR-DR60』

ソニーのHDDユニット『HVR-DR60』

DVやHDVなどのテープ方式のビデオカメラは、パソコン(PC)編集時にキャプチャー作業が必須で、その手間と時間がビデオ制作者にとって問題だった。

ソニー(株)の『HVR-DR60』や米フォーカス・エンハンスメンツ(FOCUS Enhancements)社の『FireStore FS-4PRO HD』など、カメラとつないでDV(HDV)データをHDDに記録する専用HDDユニットも存在するが、価格が十数万円と高価な上に容量も十分に大きいとはいえない。

今回発表されたDV Rackは、ノートPCをその専用ユニットにしてしまうというソフトウェアである。DV RackをインストールしたパソコンをカメラとIEEE 1394(DV端子)でつなぐと、撮影中の映像データをDV/HDV/DVCPRO 50/DVCPRO HDフォーマットで記録することができる。

動作画面

DV Rackの動作画面

プロニーズに応えるモニタリング機能

さらに、単にPCのHDDにダイレクトレコーディングを行なうだけではなく、収録映像のモニタリングができることが既存のHDDユニット製品にない大きな特徴。

モニタリングもPC画面上にビデオを表示するに留まらず、波形モニターやベクトルスコープ、ゼブラパターン表示といったプロニーズに応える信号管理機能を備えているのがポイントだろう。

同時に映像制作の裾野が広がり、従来型のビデオ信号の専門知識がないユーザー向けに、“スペクトラ60”という名の信号分析表示や、フォーカス、ホワイトバランスの正確な調整を支援する機能が搭載されているのもユニークだ。

スペクトラ60

画面左下のパレットが信号分析表示に使う“スペクトラ60”

シュアショット

カメラのフォーカスやホワイトバランスを合わせる“シュアショット”機能も搭載



撮影中に持ち運びできないのが難点


ただし、PC画面をモニターに使うところが、既存のHDDユニットにないアドバンテージであるとともに、不利な点にもなっている。HDDユニットと異なりカメラや腰(ベルト)にマウントして走り回るということはできないのだ。

その意味でDV RACKは、ニュースやドキュメンタリーといったENG(取材撮影)用途には向いていない。スタジオでの固定撮影や、デジタルシネマのように大がかりなクルーを組んで撮影を行なうときに最も有効だと言えよう。

なお、アドビが行なったデモや製品パッケージでは映像の保存先としてノートPCが使われているが、スタジオ撮影などなら高速で大容量のHDDを積んだデスクトップPCと高品質な大型ディスプレーを使うほうがより効果的だろう。


このように撮影現場に合わせて柔軟なレコーディングシステムを構築できるのも、ソフトウェアベース製品の強みで、その応用性も考えると4万8000円という価格がとてもリーズナブルにも感じられる。

しかし、現場状況にあわせてノートPCやデスクトップPCを使い分ける場合、ライセンス認証の問題が起こりうる。ライセンスについては今回確認できなかったが、両方にインストールできる形態になっていることを期待したい。


また、波形モニターやベクトルスコープなど、画面を見れば使い方もイメージできるプロユーザーならともかく、英語版のまま販売するというのはビデオ信号の専門知識のない制作者にとっては辛そうだ。

せめて詳細な日本語マニュアルや、ステップバイステップで調整方法を解説した資料を期待したい。(次ページに続く)

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