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2009年にCPU/GPUを統合したAccelerated Processor登場? AMDが来年以降の戦略を発表

2006年12月20日 00時00分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本AMDは都内で記者説明会を開催し、今年のビジネスの成果、ならびに来年以降に投入予定の新製品や技術を紹介した。

製品の構成比が市場の平均に近づいた2006年

 AMDはこれまで、(1)一般消費者向けが多く、(2)デスクトップPC用製品が中心、(3)OEMよりもチャネルに強い、(4)先進国の市場が中心であった。米AMDのワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者ヘンリー・リチャード氏は、2006年にこれら4つの切り口のいずれもが改善されており、ワールドワイドの市場平均に近づいてきたと説明する。すなわち、(1)ビジネス用途が増加、(2)サーバやモバイル用製品の割合が増加、(3)大手メーカーの採用事例が増し、(4)新興国市場での売り上げが高まってきており、この傾向は2007年も続くとリチャード氏は予想する。

 またグラフィック関連製品の大手であるATIと合併したことで、PC市場向け中心の製品に加え、家電製品や携帯デバイス向けの製品も持つことになった。そして今後は両社が融合する領域へも製品の投入を検討するとしている。そして、来年1月のWindows Vistaについても言及し、CPU・GPU・チップセットを1社で提供できるAMDが、高いグラフィック性能を要求されるVistaに最適なシステムを実現できるとした。

CPU+GPU=Accelerated Processorへ

 CPUの領域に関しては、自社の工場とファウンドリー(半導体製造の受託する企業)を併用しつつ、今後3年間で以下の6つの分野に重点を置くという。具体的には(1)サーバ用の8コアCPU(2009年)、(2)HPC向けのストリームプロセッサ、(3)ソフトウェアでのサポート、(4)Hyper Transportで接続されるコプロセッサ“Torrenza”(トレンザ)(2007年後半)、(5)CPUとGPUを統合した“Fusion”プロセッサ(2009年)、そして(6)CPU/GPU/チップセット統合プラットフォーム戦略の6つだ。

今後3年間で、8コアのサーバ用CPU、CPUとGPUを統合したFusionプロセッサなどの開発が予定されている

今後3年間で、8コアのサーバ用CPU、CPUとGPUを統合したFusionプロセッサなどの開発が予定されている

 AMDは用途にあわせて設計されたコプロセッサにより、システム全体のパフォーマンスの向上を目指しており、強力な浮動小数点演算機能を備えたGPUコアがこれに用いられる。“Torrenza”は、コプロセッサを拡張スロットやCPUソケットを介してCPUと接続するシステムで、さらにこのコプロセッサを半導体レベルで統合した製品が計画されており、AMDはこれを“Accelerated Processor”または“Fusion”と呼んでいる。2009年のリリースが予定されているFusionプロセッサにより、単に統合するコアの数を競う「コア数戦争」は終わると予想されている。

拡張スロットを介してCPUとコプロセッサを接続するTorrenzaから、半導体レベルで両者を統合するAccelerated Processorへ進化する

拡張スロットを介してCPUとコプロセッサを接続するTorrenzaから、半導体レベルで両者を統合するAccelerated Processorへ進化する

 最後に11月15日付けで日本AMDの代表取締役社長に就任した森下正敏氏(元ATIテクノロジーズジャパン社長)と、これまで日本AMDの社長を務めていたディビッド・ユーゼ氏が同社代表取締役会長に就くとともに、米AMDアジアパシフィックコマーシャルセールス&マーケティング担当の上級副社長を兼任することが紹介された。

左から米AMDワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者ヘンリー・リチャード氏、日本AMD代表取締役会長ディビッド・ユーゼ氏、日本AMD代表取締役社長森下正敏氏、日本AMD取締役 マーケティング本部 本部長吉沢俊介氏

左から米AMDワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者ヘンリー・リチャード氏、日本AMD代表取締役会長ディビッド・ユーゼ氏、日本AMD代表取締役社長森下正敏氏、日本AMD取締役 マーケティング本部 本部長吉沢俊介氏

■関連サイト
日本AMD株式会社
http://www.amd.com/jp-ja/

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