ASCII Power Review 第252回
パンケーキ26mmと20-60mm、28-200mmの描写もチェックしました!
最新性能を超小型ボディに凝縮した2420万画素フルサイズカメラ「LUMIX S9」実機レビュー
2024年06月25日 10時00分更新
パナソニックがコンパクトなフルサイズミラーレス「LUMIX S9」(以下「S9」)を発売した。撮像素子や画像処理エンジンは上位モデル「LUMIX S5Ⅱ」(以下「S5Ⅱ」)と同等だが、EVFやメカシャッターなどを大胆に削ぎ落すことで小型軽量化を実現した。
パナソニックから試用機を借りることができたので、実際に撮影して感じた印象をお伝えしていこう。
LUMIXフルサイズSシリーズの
完全新デザインカメラだ
ボディーはコンパクトカメラのようなスクエアの箱型スタイル。当然ながら一眼スタイルの「S5Ⅱ」よりかなりコンパクトで重量は約254gも軽い。
前面はグリップのないフラットな形状なのでホールド感が心配だったが、背面のサムレストが効いていて、さらに背面液晶での撮影はEVF撮影より自然としっかり構えることを意識するので、思いのほか構えやすかった。
削ぎ落した静止画機能のひとつがストロボの非対応。上面にシューがあるので油断していたが、カバーを外してみると接点が無い・・・・非積層型撮像素子の電子シャッターなので、同調速度を考えるとストロボが実用的でないのはわかるが、いっそシュー自体も排除したほうがより軽量化できるのではと思ったりもする。
背面ホイール周りのボタン類は出っ張りが浅く、配置も小型ボディーだけにやや狭め。対して背面上部の「LUT」と「AF-ON」ボタンは大きめでストロークもあるが、ふとした拍子に押してしまうこともあり、慣れが必要かもしれない。
専用ボタンとスマホアプリで
LUTを徹底活用できる
「LUTボタン」も「S9」の特徴の一つで、「S5Ⅱ」から採用された、LUT=色調整のプリセットを利用する「リアルタイムLUT」の画面を即座に呼び出せる。
従来はメニューの「フォトスタイル」から選択と少々手間がかかったので、それに比べると断然素早く設定ができる。また呼び出した画面からLUTの適用を即座に解除できるようになったのも便利だ。
LUTをより手軽に活用できるスマホ用アプリ「LUMIX Lab」も公開された。「S9」と接続しカメラ内の写真の取り込みはもちろん、スマホで編集した調整をLUTとして転送することもできる。オリジナルの色調を楽しみたい人は試してみるといいだろう。
端子類は右側面にHDMIとUSBタイプC。左側面にマイクという配置。タイプCでは充電にくわえ給電も可能。ただ端子にケーブルを付けた状態ではグリップに干渉する。HDMIがタイプDなのもボディーサイズからすると妥当だろう。
バッテリーは「DMW-BLK22」で「S5Ⅱ」と共通。よりボディーをコンパクトにするなら小型バッテリーを採用するという手もあっただろうが、買い替えや2台併用を考えているユーザーにとっては、同じバッテリーを使い回せるのはうれしい。
公称の撮影可能枚数は約470枚(「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」使用時)と「S5Ⅱ」の370枚より増えている。ただ実際の感覚ではRAW+JPEGで200枚ほど撮影したときに残量目盛は3分の1と、公称値ほどの差は感じられなかった。
コンパクトなボディーだとレンズを装着した時のバランスが心配だが、今回用意されているレンズキットの2本はともに軽量なので、特に不満を感じることはない。
注目なのが同時に発売される「LUMIX S 26mmF8」だ。マニュアルフォーカスで絞りも固定になるが、全長18.1mmとスリムなので「S9」との相性はバッチリ。ボディーキャップ代りに常備するのもいいだろう。
新登場のパンケーキ26mmがいい描写
20-60mm、28-200mmも便利なのだ
次にこの3本のレンズで撮影した作例を紹介していこう。まずは各レンズの画角の違いを定点撮影で。各作例とも絞りF8・シャッタースピード1/200秒・ISO100。フォトスタイルスタンダード・周辺光量補正オンだ。
「LUMIX S 26mmF8」はシンブルなレンズ構成で絞り値F8と控えめ。そのおかげかピント部はとてもシャープで、周辺部も像の乱れはない。マニュアルフォーカスは通常のレンズのようにピントリング操作で自動拡大する機能は省かれているが、液晶画面をタップすれば拡大表示はできる。ピント部を強調表示するピーキング機能と合わせれば、それほどピント合わせは難しくない。
「LUMIX S 20-60mmF3.5-5.6」は通常の24mmより広い20mmスタートの広角側が特徴の「LUMIX S」シリーズ定番標準ズームだ。コンパクトな「S9」と合わせは街中のスナップに向いている。
「LUMIX S 28-200mmF4-7.1」は高倍率ズームとは思えない小型軽量レンズ。「S9」に装着してもフロントヘビーにならず軽快に撮影ができた。広角側のワイド感が少し物足りないが、そんな時は「LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO」(345gと軽量で、なにより一部量販店では10万円切りと超広角ズームではリーズナブル)と組み合わせて使うのもいいだろう。
撮像素子は2420万画素とフルサイズ機ではスタンダードクラス。実際に撮影した写真をみると細部の解像感も十分に高く、自然な発色で階調再現も豊かだ。
すべてのミラーレス機に搭載してほしい超便利機能
「ハイブリッドズーム」
ユニークな新機能として搭載されたのが「ハイブリッドズーム」だ。画像の一部を拡大することで望遠効果が得られる「クロップズーム」(ちなみにコチラも新搭載)と組み合わせた機能で、光学ズームのズームリングでシームレスに拡大できる。例えば20-60mmのズームでは、広角端からズームリングを3分の1回したところで60mmになり、その先はデジタルズームで、リングを回すと180mmの画角まで選択できる。
「S9」のようなコンパクトなボディーでも手軽に望遠撮影が楽しめる、今まで在りそうで無かった優れた機能だ。ぜひ、ずべてのミラーレスカメラに搭載して欲しいものである。
高感度はISO6400程度までほぼ画質劣化は感じらない。常用感度最高の51200も実用範囲内で、拡張感度も102400なら拡大して見なければ許容できる。
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