デジタル一眼は本当に奥が深い。したがって、製品選びも活用方法も、様々な視点から深堀していける。というわけで、カメラと写真を愛する編集者、プロカメラマン、ライターなどが新機種、旧機種問わず語っていきます。
今年4月に発売されたフルサイズデジタル一眼レフ『K-1』に注目が集まるペンタックスだが、先月登場した『K-70』も地味ながら(失礼!)かなり侮れないスペックを備えた一台だった。
このクラスのカメラでは、ニコン/キヤノンをしのぐコスパと機能
解像感に優れるローパスレスの有効2424万画素APS-C撮像素子を搭載。手ブレ補正機構内蔵し、悪天候でも安心の防塵防滴仕様。ピントの山がつかみやすいペンタプリズムを採用した視野率100パーセント倍率0.95倍の光学ファインダーなど、キャノン『EOS kiss X8i』やニコン『D5500』といった同価格帯のライバル機達と比べボディー性能はワンランク上だ。
個人的にはボディ前後に2つのコマンドダイヤルを備えているのも高ポイント(この価格帯では1つしかない機種が多い)。また日差しの強い今の時期に役立ったのがアウトドアモニター。要は背面液晶の明るさを変える機能だが、背面の「INFO」ボタンで表示されるメニュー画面から即座に変更できるのが便利だった。
撮影機能の充実ぶりもハンパなく、高精細画像の「リアル・レゾリューション・システム」や偽色モアレ防止の「ローパスセレクター」、天体追尾撮影ができる「アストロトレーサー」(別途GPSユニット「O-GPS1」実売1万8230円前後が必要)といった手ブレ補正を活用した機能に、豊富な仕上り設定やデジタルフィルターといった画像処理機能など、現状ペンタックスが持つ撮影機能がほとんど搭載されている。
なかでも注目なのが撮像素子を1画素ずつ動かし4枚撮影した画像を合成し、高精細な画像を生成する「リアル・レゾリューション・システム」(以下RRS)。
当然画像合成なので三脚での固定は必須。動いている被写体の撮影も不向き・・・なのだが、動きを検知した部分だけ合成せずに画像を生成する「動体補正」という機能を備え、これがなかなか面白い。
画面上部の橋の部分を見ると動体補正オンオフにかかわかず、精細な描写で「RRS」の効果があることがわかる。画面下部の揺れる水面を見ると、動体補正オフでは全体に画素ズレによるまだら模様が確認できるが、動体補正オンでは多少改善されている。もちろん「RRS」オフではまだら模様は無い。
さすがに完璧に補正されるわけではないが、それでもこれだけの効果があるのはお見事。ちなみに「RRS」で撮影する際にRAWで記録しておけば、カメラ内RAW現像で「RRS」のオンオフ、動体補正のオンオフを変更することができる。
また高感度撮影の画質でも「RRS」による恩恵が受けられる。『K-70』は従来機より高感度画質が改善されISO6400程度までは安心して使うことができるが、「RRS」で撮影すると、さらにノイズレスな画質が得られる。
もちろん三脚で固定して撮影するので、高感度で撮影するメリットはあまりないかもしれないが、それでも「リアル・レゾリューション・システム」という新しい技術によって、今までより高画質な写真が撮れるのはスゴイことだと思う。これからもさらなる進化を期待したい。
まだある『K-70』の撮影機能。ということでペンタックスならでは魅力的な機能をいくつか紹介していこう。
主なカスタムイメージの作例
主なデジタルフィルターの作例
明瞭コントロール
被写体の質感をコントロールする機能で、+に設定すれば水しぶきの透明感がクッキリと現れる。
自動水平補正
手ぶれ補正機構を利用し、自動的に水平に補正する機能。建物などの撮影に活躍する。
などなど、全ては紹介しきれないほど機能が満載。価格的にはエントリークラスだが、上級者もでじっくりと使いこなす楽しみが味わえる。カメラ任せで撮るだけでは物足りない写真好きに使って欲しいカメラだ。
なお、RRSの効果が確認できるものについては、各画像の元データ(原寸大サンプル)を倶楽部会員向けに掲載する。
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