2026年9月15日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで「第4回 GMO大会議・秋・フィジカルAI 2026」が開催された。昨年の大会では、AIがロボットという身体を得て現実世界へ出てくる「ヒューマノイド元年」を前に、日本がこの波をどう生かすのかが議論された。今年はそこから一歩進み、AIロボットをどう産業に育てるのかという具体論が交わされた。
今回は、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表、高市早苗内閣総理大臣、片山さつき財務大臣兼金融担当大臣、開催当時デジタル大臣だった松本尚氏が、日本がフィジカルAIを成長産業として育てるために必要な取り組みについて、それぞれの立場から語った。
「角度じゃない、垂直です」熊谷氏が感じるAI革命の速度
大会は複数のヒューマノイドによるダンスで幕を開けた。熊谷氏は約1年前の同じ機体の映像を示し、現在ではバク転や自律的な格闘動作までこなせるようになったと紹介。注目してほしいのはダンスの器用さではなく、わずか1年間の「変化率」だと強調した。
「GMOは1995年に事業を開始して、今年で31年目です。60代になったらもう少しゆっくりできるかと思っていましたが、正直、今年が一番危機感を持って経営に当たっています。一方でモチベーションも一番高い。その理由が、足元で世界を巻き込んでいるAI革命です。今年に入ってからは、もう角度じゃない、垂直です。朝起きると、前の晩に米国で何が起きた、中国では何が起きたと、日々すべてが変わっているような状況です」(熊谷氏)
熊谷氏は、AI自身がソフトウェア開発を担い始めたことも加速の一因だと見ている。人間と違って24時間稼働でき、複数を並列に動かせるため、進化はさらに速くなるという。
問題は、その競争の中で日本がどこにいるかだ。熊谷氏は、インターネット革命では米国から多少遅れても日本は追いつけたが、生成AIが登場してからの数年間については危機感を隠さなかった。
「31年間この業界を見てきました。前半の28年間、インターネット革命の時代は世界の標準にさほど遅れていなかったと思います。もちろんインターネットは米国発ですが、一歩遅れてもすぐキャッチアップできた。一方、この3年10ヵ月は、やばい。AI、ロボティクスでは日本は周回遅れもいいところです。世界との差が今日も急速に広がっているというのが、私の業界人としての感覚です」(熊谷氏)
中国では政府もリスクを取って人型ロボット産業への投資を後押しし、米国でもテスラなどが巨額の資金を投じている。一方、日本にはモーターや精密機械、部品、製造現場など、これまで蓄積してきた技術があり、熊谷氏はまだ巻き返す余地があると訴える。
日本にとってフィジカルAIが重要になるもう一つの理由が人口減少だ。工場や物流、介護、建設などの働き手が減っていくなら、AIロボットを新たな労働力として活用する必要があるという。
「これまでGDPは労働人口かける生産性だと考えられてきましたが、これからは、労働人口プラスヒューマノイド、かける生産性になっていくと思っています。世界中の指導者がこれに気付けば、必ずヒューマノイドの導入競争が始まります。それまでに残された時間はわずかです。日本でも国産ヒューマノイドの産業を立ち上げて、世界に供給できる国にならなければいけません」と熊谷氏は語った。
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