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「価格で選ばれる」から「理由を語れる」へ

玄人志向がCrowxisに生まれ変わる真相を直撃取材! あのサングラス男はどうなるのか?

2026年09月30日 10時00分更新

文● 宮里圭介 編集●北村/ASCII

提供: CFD販売株式会社

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自作PCの楽しさを教えてくれた「玄人志向」

 ここからは、玄人志向の登場初期を振り返ってみよう。

 玄人志向の産声ともいえる製品が登場したのが、2000年の12月に発売されたAthlon/Duron用のオーバークロックシール「PK-OCK7」だ。当初は500枚を限定販売して終了の予定だったが、予想外の反響から追加販売を決定したという経緯がある。この時は「Produced by D2000」ブランドだったが、のちに玄人志向の“顔”となる、サングラス男のロゴが付いていた。

玄人志向誕生のきっかけとなったAthlon/Duronオーバークロックシール。「Produced by D2000」のD2000は、開発スタッフの名で、サングラス男のモデルとなった人だ(記事末に本人インタビューあり)

 2001年3月には、Athlon/Duronの倍率変更ゲタ「PK-OCK7/EV6」を発売。この製品もまだ「D2000」ブランドだが、その後の玄人志向「キワモノシリーズ」の特徴ともいえる方針が採用されていた。それは、「マニュアルなし」「保証なし」「サポートなし」「すべて自己責任」という、非常に尖ったものだ。

Athlon/Duronの倍率変更ゲタ「PK-OCK7/EV6」。キワモノシリーズのきっかけとなった製品

 続く製品として登場したのが、「GeForce2MX-AGP32」というビデオカード。このビデオカードからは「玄人志向」のブランド名が使われるようになった。この製品は「セレクトシリーズ」に属するもので、1年間の製品保証はあるものの、日本語マニュアルやサポートがないという割り切ったもので、そのぶん低価格となっていた。

GeForce2 MXを搭載するビデオカード「GeForce2MX-AGP32」。茶箱+サングラス男のロゴはこの頃から始まった

 当時は自作PCブームだったこともあり、ショップへ行けば、初期不良のみ対応というバルク品が多く売られていた時代。そのバルク品に近い価格で売られていた玄人志向のセレクトシリーズは、そのコスパの良さから瞬く間に人気となっていった。

 尖った製品として記憶にあるのは、2001年発売の「CHANPONボード」。複数の機能をもつコンボカードというのはあったが、Ultra SCSI+100BASE-TX+USB1.1という欲張りな仕様が特徴だ。

Ultra SCSI、100BASE-TX、USBといったインターフェイスを1枚のボードに搭載した「CHANPONボード」

 また2003年に登場した、PCIバスのノイズを低減するという「NO-PCI」も印象深い。基板全面にある銅箔層と電源周りに配置したコンデンサーでノイズを低減する、という怪しさのある製品だったが、非常に人気があった。

PCIバス間のノイズを軽減するとうたうシールドボード「NO-PCI」。三洋製のコンデンサが搭載されているものの、基板には回路パターンらしきものはほとんど見えない極めて怪しい製品だったが、大人気となった

 大ヒットした製品でいえば、2004年発売の「玄箱(KURO-BOX)」は外せないだろう。Linuxが動作する小さなコンピューターで、HDDを追加するだけで手軽にNASを自作できること、そして、改造ができることから人気となった。なお、当時バッファローが発売していたNASシリーズ「LinkStation」と見た目が似ていたのは、たぶん偶然だ。

自分でハードディスクを組み込んで使用するNAS組み立てキット「玄箱(KURO-BOX)」。サーバーや家電制御など、ファームウェアを改造して遊ぶLinuxボックスとして人気を集めた

 その後も自作PCに必要な定番パーツを数多く発売し、PCパーツブランドとして定着。とくに、電源ユニットやビデオカードのシリーズは存在感が大きく、今も人気が高い。

玄人志向の立役者、サングラス男はどうなってしまうのか?

 玄人志向はサングラス男ことD2000氏の活躍が大きく影響しているわけだが、新ブランドCrowxisに変わることで気になるのが、今後サングラス男はどうなってしまうのかだ。そこで、サングラス男ことD2000氏に直接質問をぶつけてみた。

サングラス男ことD2000氏(写真は2012年の「玄人志向大感謝祭 in AKIBA」にて)

――そもそも、どのような経緯でサングラス男になったのでしょうか?

【D2000】玄人志向の創立者がTM NETWORKのファンで、私がサングラスを掛けると木根尚登さんに似ているのではないか、また裏方である開発担当がロゴになったらおもしろいのではないか、と考えたことがきっかけだったようです。

 玄人志向ブランドが立ち上がる前、自作PCイベント「CUSTOM PC WORLD」で好評だったAthlonオーバークロックシールを一般販売した際、BUFFALOブランドでの展開が難しかったこともあり、製品の袋に「サングラス男」と「Produced by D2000」の文字を入れたシールを貼付したのが始まりでした。

このD2000氏の顔を使ったロゴが、のちの玄人志向ロゴの原型となった

――サングラス男として活動してきた中で印象に残っている出来事は?

【D2000】一つに絞るのは難しいですが、イベントなどを通じて多くのユーザーの皆さまと一緒に楽しめたことがなにより印象に残っています。

――キワモノシリーズは残ると聞いたのですが、今後どのような製品を出したいですか?

【D2000】やはり原点でもある変換基板系ですね。それと、遊び心があって挑戦的な体験ができる製品を出せたら良いなと思っています。

“怪しい”変換基板の歴史を作ってきた玄人志向のキワモノシリーズ。写真はPCI-Express x1→PCI-Express x16変換の「KRHK-PCIEX16toX1」

――長年PCパーツ業界を見てきて感じる変化を教えてください。

【D2000】かつての自作PCは、より安価にPCを組み立てることが大きな目的の一つでした。しかし現在では、自分の用途や目的を実現するための手段として自作を楽しむ方が増えたように感じます。以前は相性問題や動作検証に時間を費やすことがありましたが、ハードウェアとソフトウェアの安定性が向上したことで、ゲームやアプリケーションなど、本来やりたいことに時間を使えるようになりました。

 また、ノートPCの普及や内蔵グラフィックス性能の向上によって、「PCパーツ市場そのものが縮小してしまうのでは」と感じる時期もありました。しかし、BTO PCやゲーミングPC市場の成長、近年のAI需要などにより、デスクトップPCには今なお新しい可能性を感じ続けています。

――Crowxisへリブランドすることへの率直な思いや期待は?

【D2000】玄人志向は長年にわたり多くのユーザーの皆さまに支持していただいたと考えていますので、正直なところ寂しさを感じるところもあります。一方で、玄人志向は「分かる人向け」というイメージが定着していたため、Crowxisにはベテラン自作PCユーザーはもちろん、これから挑戦する方々にも安心して選んでいただけるブランドへ成長してほしいと期待しています。

――今後サングラス男はどうなるのでしょうか?(ヤタガラス男になる予定は……)

【D2000】すでにサングラス男としての活動はしておらず、別の姿で現れる予定もありません。今後は若い現役スタッフが時代に合ったブランドづくりを進めていきます。

――ありがとうございました。

 玄人志向の良さを残しつつも、変えるべきところは変えていく。あえて変化の道を進んだCrowxisの取り組みから、今後目が離せなくなりそうだ。

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