ブランド名は変わる。でも、受け継がれるものがある
ブランドが変われば、中身が変わると考えるのは自然だ。変わらないのであれば、そもそもブランドも変える必要がない。では、玄人志向からCrowxisになることで何が変わり、何が変わらないのだろうか。
玄人志向の時と変わらない、受け継がれるものとしてあげられたのが、長年培ってきた品質への姿勢、合理を極める思想、そして積み重ねてきた信頼だ。
「今回のリブランドでは、過去の断絶ではなく、継承と進化を重視しています。とくに価格と性能のバランス、品質管理、パーツを厳選する姿勢あたりは、従来のユーザーから評価されている部分です。今の玄人志向は、『玄人志向がいい』といって選ばれるのではなく、『玄人志向でいいよね。ココを買っておけばハズレはないし』という風に選ばれていると感じています。この意味を考えると、価格と性能バランスの良さがそういう印象になっているのかな、と。これは非常にいい部分だと思っているので、しっかり受け継いでいきたいところです。そのうえで今度は『Crowxisでいい』ではなく『Crowxisがいい』にしていきたいと考えています」(黒川氏)
「いろいろなOEM元から仕入れてブランド化していますが、選定基準を変えるつもりはありません。探せばもっと安いものは見つかりますが、「これはちょっと……」というものも多くて。品質を確保するため、そこのラインは玄人志向でもずっと守ってきた部分です。うーん、と悩んだ時は出しません。ブランドが変わったからといって、粗悪なものが出ることはありません」(三谷氏)
これ以外にも、既存製品のサポートや、過去に発売した製品のデータ、Webで公開している情報なども引き継がれるとのことだ。
一方で変わる部分、進化について聞いてみると、「見せ方・伝わり方・体験」だという。
「選びやすくするためにはどうするのがいいか、というのを常に考えています。例えば、日本語のローカライズが必要な製品であれば、ここに力を入れていくとかですね。また電源であれば、どういう構成であれば何ワット必要か、と伝えるだけではなく、「どのモデルがオススメか」という推奨までしていきます」(黒川氏)
また、昔と違ってちゃんとサポートがあるというのも、しっかり伝えていきたいとのことだった。サポートの窓口を広げることも考えているとのこと。これは、ユーザーが連絡したい方法、タイミングで連絡できなければ、不便に感じてしまうからだ。このほか、ユーザーの声をどうやって受け取り、拾い上げていくのかといった、コミュニケーション方法についても考えているとのことだった。
さらに、情報発信も積極的に行なおうとしている。
「まだ構想段階ですが、SNSの情報発信の仕方は変えたいですね。また、YouTubeでのコンテンツの展開も考えています。あとは、別企業さんとコラボレーションでしょうか。玄人志向でできなかったのは、『伝えていく』という部分だと思いますので、何を伝えるのか、どうやって伝えるのかを変えていきたいです」(黒川氏)
結局、Crowxisから何が出るの?
「玄人志向でずっとやってきた、ビデオカードや電源ユニットは当然展開していきます。また、SSDやゲーミング向けのメモリーなど、今までCFDブランドで展開してきたものも、Crowxisブランドへと移行していきます。あとはCPUクーラー、PCケース、HDDケース、ゲーミングチェアなどでしょうか」(黒川氏)
新規で扱うものに関してはいろいろ考えているものの、まだ公開できる物はないとのこと。まずは玄人志向のラインアップをしっかり継承し、それが落ち着いてから、という話だった。
「今まであったのに新ブランドになった途端になくなるとなると、それはユーザーに対する裏切り……とまでは言いませんが、悪い印象になってしまいます。ですので、順序としてはまずは継承。こちらを最優先にやっていくべきだと思っています」(黒川氏)
「この機会にラインアップを整理しちゃおう、という考えはないですね」(三谷氏)
なお、玄人志向からいきなりCrowxisへと総入れ替えとなるわけではなく、時間をかけて移行していくとのことだった。そのため、急に玄人志向のブランドが消えてしまうということはなく、しばらくはCrowxisと併売されるとのことだった。
また、「キワモノシリーズ」に関しては、玄人志向ブランドで残るそうだ。
「最近製品を出していないですが、キワモノシリーズは玄人志向で残します。これは立案者のD2000がやりたいって言ってたので、やりたいならどうぞと社内で決まりました」(三谷氏)
「価格で選ばれる」から「理由を語れる」へ
Crowxisが目指しているのが、「選ぶ理由を語れるブランド」となれること。単に安いからこれにしよう、ではなく、購入するユーザーが製品を理解し、納得して買える状態になるのが理想だという。
「なんとなく『Crowxisでいいや』ではなく、納得して『Crowxisがいい』になって欲しいです。ただ、それには『この用途にはこの性能が必要で、この構成が最適』という、自分の中の判断軸が必要です。それに必要な情報や判断基準などが伝わるように、こちらから発信していきたいです」(黒川氏)
「ユーザーが選んだ理由を言語化できて、人に勧めたくなるようなブランドを目指していきたいですね」(三谷氏)
ブランドの理念としては、「創造環境の最適解を導き、ひとりひとりの創造活動を支え続ける」というもの。PCパーツを購入するのは上級者の割合が多いが、初級者や上級者といったレベルで分断せずに、誰もが納得して選べる状態を作っていきたいとのことだった。
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